生死不明なので相続が発生しない。あるいは、共同相続人の中に生死不明者がいるので、遺産分割協議が成立しない。
上記のような場合は、失踪宣告により解決することが可能です。
失踪宣告が認められると、生死不明者は死亡とみなされます。死亡とみなされるので相続も発生しますし、遺産分割協議の参加者ではなくなります。
今回の記事では、失踪宣告について広く浅く説明しています。細かい部分については、関連記事へのリンクを貼っているので、興味がある箇所があれば参考にしてください。
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1.失踪宣告とは生死不明者を死亡とみなす制度
失踪宣告とは、生死不明者を死亡とみなす制度になります。
生死不明とは、単なる行方不明や音信不通ではなく、調査等をしても生存・死亡の確認が取れない状態のことです。
1-1.失踪とは生存・死亡の確認が取れない状態
日本語としての「失踪」と失踪宣告の「失踪」では、意味が違います。
以下は、失踪を国語辞典で調べた結果です。
日本語としての失踪は行方不明のことです。
ですが、失踪宣告の失踪は、単なる行方不明ではなく、失踪者の生死不明が求められます。
たとえ行方不明であっても、生存の痕跡(手紙や電話)があれば、生死不明には該当しません。
1-2.死亡の確認ができない限り相続は発生しない
生死不明者が何十年行方不明であっても、死亡の確認ができない限り相続は発生しません。
なぜなら、生死不明者の死亡が確認できない限り、戸籍上は生存していると判断されるからです。
また、生死不明者が共同相続人の場合、遺産分割協議が成立しないので、相続手続きも進みません。たとえ生死不明者が100歳を超えていても、遺産分割協議から除外することはできません。
生死不明者に対する失踪宣告が認められると、生死不明者は死亡とみなされます。生死不明者の相続も発生しますし、遺産分割協議の参加者ではなくなります。
関連記事を読む『失踪宣告により相続が開始する|相続人を間違えないように注意』
1-3.なぜ、生存も死亡も確認できないのか?
失踪宣告の対象となる生死不明者は、大きく分けると3つあります。
- すでに身元不明者として亡くなっている
- 身元不明者として保護されている
- 痕跡を残さずに生活している
それぞれ簡単に説明します。
すでに身元不明者として亡くなっている
生死不明者が、すでに身元不明者として亡くなっているケースです。
すでに亡くなっているので生存の確認はできません。身元不明者なので死亡の確認もできません。
日本では年間約700人が、身元不明者として亡くなっているそうです。
身元不明者として保護されている
生死不明者が、身元不明者として保護されているケースです。
身元不明者として保護されているので生存の確認はできません。生存しているので死亡の確認もできません。
日本全体では約4,000人が、身元不明者として保護されているそうです。
痕跡を残さずに生活している
生死不明者が、痕跡を残さずに生活しているケースです。
痕跡を残さずに生活しているので生存の確認はできません。生存しているので死亡の確認もできません。
一般的には、日雇い労働で生計を立てていると、公的な記録に残らない可能性が高いです。
1-4.失踪宣告は民法により認められている
生死不明者の死亡が確認できなければ、いつまで経っても相続は発生しません。
そのため、民法で解決策として失踪宣告を定めています。
- 民法30条(失踪の宣告)
- 民法31条(失踪の宣告の効力)
- 民法32条(失踪の宣告の取消し)
失踪宣告に関する条文は3条しかないので、失踪宣告を検討しているなら、一度は確認しておいてください。
関連記事を読む『失踪宣告に関する民法の条文は30条・31条・32条を確認』
2.失踪宣告は普通失踪と特別失踪の2種類
失踪宣告は2種類あり、生死不明になった原因により違います。
- 普通失踪|一般的な行方不明
- 特別失踪|危難に遭遇して行方不明
それぞれ説明していきます。
2-1.生死不明の期間が7年以上なら普通失踪
普通失踪は生死不明になった原因は問われず、生死不明の期間が7年以上あれば該当します。
分かりやすく言うなら、一般的な行方不明は普通失踪です。
例えば、同居していた家族が行方不明になって、7年以上生死不明であれば普通失踪の条件を満たします。
生死不明の期間が7年以上というのは、失踪宣告の申し立ての段階で必要です。失踪宣告を検討しているなら、いつから行方不明なのか確認してください。
関連記事を読む『普通失踪とは生死不明が7年以上の人を死亡とみなす制度』
2-2.危難に遭遇して生死不明なら特別失踪
特別失踪は危難に遭遇して生死不明となり、生死不明の期間が1年以上であれば該当します。
普通失踪の7年以上に比べて期間が短いのは、危難に遭遇して生死不明になっているので、死亡している可能性が高いと判断されるからです。
例えば、客船が沈没して、乗客が生死不明になると特別失踪に該当します。
特別失踪と普通失踪では生死不明の期間が違うので、特別失踪を検討しているなら気をつけてください。
関連記事を読む『特別失踪|行方不明になった事情により1年で失踪宣告できる』
3.失踪宣告により死亡とみなされる日
失踪宣告により死亡とみなされる日は、失踪宣告の種類により違います。
- 普通失踪|7年経過した日
- 特別失踪|危難が去った日
それぞれ説明していきます。
3-1.普通失踪なら7年経過した日が死亡日
普通失踪の場合、生死不明になった日から7年経過した日が、生死不明者の死亡日となります。
失踪宣告の申し立てをした日は関係なく、調査等により最後に生存が確認できた日から7年経過した日です。
申立人が想定していた死亡日と、実際に死亡とみなされる日は違うことも多いので、申し立てをする際は気を付けてください。
関連記事を読む『失踪宣告による死亡日はいつなのか|相続発生日となるので重要』
3-2.特別失踪なら危難が去った日が死亡日
特別失踪の場合、危難が去った日が生死不明者の死亡日となります。
特別失踪を申し立てるには、生死不明になってから1年必要ですが、死亡とみなされるのは危難が去った日です。
特別失踪と普通失踪では、死亡とみなされる日が違うので気を付けてください。
関連記事を読む『特別失踪の危難が去った時|いつになるのかを確認しておこう』
4.失踪宣告の申し立て手続き
生死不明者が死亡とみなされるためには、家庭裁判所に失踪宣告の申し立てをする必要があります。
生死不明の期間を満たしていても、何もしなければ生死不明者は生存していると判断されます。
関連記事を読む『失踪宣告の手続き|申立ての要件を満たしているか』
4-1.失踪宣告の管轄家庭裁判所は最後の住所地
失踪宣告の管轄家庭裁判所は、生死不明者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
最後の住所が分かっている場合は、生死不明者の住民票を取得します。
一方、最後の住所が分からない場合は、生死不明者の戸籍の附票を取得します。戸籍の附票は本籍地のある役所で取得可能です。
4-2.失踪宣告の申し立ては利害関係人に限られる
失踪宣告の申し立てができる人は、法律上の利害関係人に限られています。
- 生死不明者の配偶者
- 生死不明者の推定相続人
- 生死不明者が作成した遺言書の受遺者
- 生死不明者の生命保険金の受取人
上記以外の人でも法律上の利害関係があれば、失踪宣告の申立てをすることができます。
関連記事を読む『失踪宣告の利害関係人の範囲|申立てができる人は限られる』
4-3.失踪宣告の申し立てに必要な添付書類
失踪宣告の申し立てをするには、申立書以外にも添付書類が必要です。
- 生死不明者の戸籍謄本(450円)
- 生死不明者の住民票・戸籍の附票(約300円)
- 失踪を証する資料
- 利害関係を証する資料(戸籍謄本等)
失踪を証する資料に決まりはないのですが、以下の書類を添付することが多いです。
- 職権消除された住民票
- 行方不明者届受理証明書(旧捜索願)
- 家族からの上申書(事情説明書)
失踪を証する資料については、下記の記事も参考にしてください。
関連記事を読む『失踪を証する資料|申立ての添付書類として必要になる』
4-4.失踪宣告の申立費用は限られる
失踪宣告の申立て費用は2種類あります。
- 申立手数料(800円)
- 予納郵券(家庭裁判所により違う)
失踪宣告の申立手数料は、すべての家庭裁判所で800円になります。
一方、予納郵券は家庭裁判所により違うので、必ず管轄家庭裁判所に確認してください。専門家に依頼する場合は、専門家が確認するので問題ありません。
不在者財産管理人の申し立てと違い、失踪宣告に予納金はありません。
関連記事を読む『【失踪宣告の費用は5つ】失踪者の事情により金額が違う』
5.失踪宣告が認められるまでの流れ
失踪宣告の申し立てをしても、失踪宣告が認められるまでには時間がかかります。
通常、失踪宣告が認められるまで半年から1年ほどです。
関連記事を読む『失踪宣告の流れ|審判確定までには10ヶ月から1年ぐらい必要 』
5-1.失踪宣告の申立後に家庭裁判所の調査
失踪宣告の申し立てがあると、家庭裁判所も生死不明者の調査をします。
- 関係機関に生死不明者の履歴調査
- 申立人や家族に聞き取り調査
家庭裁判所は、運転免許証の更新履歴や雇用保険の履歴を調査します。申立人や家族に詳しい事情を聞くこともあります。
家庭裁判所が調査しても生死不明者の行方が分からなければ、失踪宣告の官報公告に移ります。
関連記事を読む『【失踪宣告の調査は2つある】それぞれ微妙に目的が違う』
5-2.失踪宣告に関する官報公告の期間
家庭裁判所の調査終了後、失踪宣告に関する官報公告をします。
簡単に言えば、生死不明者が生きていたら名乗り出てくださいという内容です。
官報公告の期間は失踪宣告の種類により違います。
- 普通失踪:3カ月以上
- 特別失踪:1カ月以上
上記期間内に生存が確認できなければ、家庭裁判所は失踪宣告の審判を決定します。
関連記事を読む『失踪宣告に関する官報公告は2回行われる』
5-3.失踪宣告の審判決定から2週間経過で審判確定
失踪宣告の審判が決定しても、生死不明者や利害関係人は即時抗告することが可能です。
誰も即時抗告しなければ、失踪宣告の審判決定から2週間経過で、失踪宣告の審判が確定します。
失踪宣告の審判が確定したら、確定証明書を取得して戸籍の変更手続きに移ります。
6.失踪宣告が確定したら戸籍に記載する
失踪宣告の審判が確定しても、生死不明者の戸籍に変更はありません。家庭裁判所が戸籍の変更手続きをするわけではありません。
失踪宣告を戸籍に記載するには、失踪宣告の申立人が市役所等に失踪届を提出する必要があります。
失踪届の提出先は、以下の市役所等のどちらかです。
- 失踪者の本籍地
- 申立人の住所地
失踪届の提出する際は、以下の書類も必要です。
- 失踪届の申請書
- 審判書謄本
- 確定証明書
生死不明者の戸籍に失踪宣告が記載されたら、相続手続で戸籍謄本が使用できます。
関連記事を読む『失踪宣告を戸籍に記載するには失踪届の提出が必要』
7.失踪宣告により相続手続を進めることが可能
失踪宣告により、生死不明者の戸籍に「死亡とみなされた日」が記載されると、相続手続を進めることができます。
失踪宣告が関係する相続は2つあります。
- 生死不明者が相続人
- 生死不明者の相続
それぞれ簡単に説明します。
7-1.生死不明者が相続人になっていたケース
生死不明者が相続人になっていたケースでは、死亡とみなされた日が重要になります。
被相続人と生死不明者(死亡とみなされた人)の死亡日を比べて、生死不明者が相続人になるのか確認します。
被相続人の死亡日よりも死亡とみなされた日が前
被相続人の死亡日よりも死亡とみなされた日が前であれば、生死不明者の代襲相続人を確認します。
生死不明者に代襲相続人がいれば、代襲相続人が相続人になります。
一方、生死不明者に代襲相続人がいなければ、生死不明者は被相続人の相続とは無関係です。
被相続人の死亡日よりも死亡とみなされた日が後
被相続人の死亡日よりも死亡とみなされた日が後であれば、被相続人から相続する分も生死不明者の財産になります。
7-2.生死不明者の財産を相続するケース
生死不明者に財産があれば、失踪宣告により相続が開始するので、相続手続きを忘れずに行いましょう。
生死不明者が不動産を所有していれば相続登記
生死不明者が不動産を所有していれば、相続登記を申請する必要があります。
相続登記を申請する際には、失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出します。
関連記事を読む『【失踪宣告と相続登記】不動産も移転するので忘れずに申請』
生死不明者に借金があれば相続放棄
生死不明者に借金があれば、相続放棄をする必要があります。
相続放棄の申述先は、生死不明者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
関連記事を読む『失踪宣告が認められた後なら相続放棄できる』
8.死亡とみなされると年金や保険金も支給
失踪宣告により生死不明者が死亡とみなされると、遺族年金や生命保険金も支給されます。
8-1.遺族年金の要件判断日は通常と違う
失踪宣告による死亡でも支給要件を満たしていれば、遺族に遺族年金は支給されます。
ただし、要件判断日が通常の死亡とは違います。
生死不明になった日 | 死亡とみなされる日 |
---|---|
生計維持関係 | 身分関係 |
保険料納付要件 | 年齢 |
被保険者の資格 | 障害の状態 |
通常の死亡であれば、すべて死亡日で判断します。
一方、失踪宣告による死亡では、「生死不明になった日」と「死亡とみなされる日」で判断する要件がちがいます。
遺族年金を請求する際は、要件判断日の違いに注意してください。
関連記事を読む『失踪宣告による死亡でも遺族年金は受給できる 』
8-2.団体信用生命保険で住宅ローンの支払い
生死不明者が団体信用生命保険に加入していれば、失踪宣告により住宅ローンも支払われます。
ただし、失踪宣告が認められるまでは、住宅ローンの支払いが続くので注意してください。
普通失踪なら最低でも7年以上かかるので、資産状況等を確認して判断しましょう。
関連記事を読む『失踪宣告により住宅ローンは支払えるが問題点もある 』
9.失踪宣告後に生死不明者が生きていた
失踪宣告が認められたからといって、生死不明者の死亡が確認されたわけではありません。生存も死亡も確認できないので、死亡とみなしているだけです。
つまり、失踪宣告が認められても、生死不明者が生きていることはあります。
9-1.失踪宣告があっても権利能力に影響はない
失踪宣告が認められても、生死不明者の権利能力に影響はありません。
生死不明者は買い物をすることもできますし、仕事をして報酬を得ることもできます。
ただし、戸籍上は死亡とみなされているので、戸籍謄本が必要な手続きはできません。
関連記事を読む『失踪宣告を受けても権利能力に影響はない』
9-2.失踪宣告を取り消すには申立てが必要
失踪宣告が認められた後に、生死不明者の生存が確認されても、戸籍から失踪宣告が消えるわけではありません。戸籍上では死亡とみなされたままです。
戸籍から失踪宣告を消すには、家庭裁判所に失踪宣告の取消しの申し立てをする必要があります。
失踪宣告を取り消すにも、家庭裁判所の調査があるので、生存を証明できる資料を用意しておきましょう。
関連記事を読む『失踪宣告を取消すには家庭裁判所の手続きが必要』
10.失踪宣告が取り消されると権利関係はどうなる
生死不明者が生きていたことにより、失踪宣告が取り消されると、権利関係にも影響があります。
- 失踪宣告後に再婚している
- 失踪宣告後に財産を受け取っている
それぞれ簡単に説明します。
10-1.失踪宣告後に生きていても再婚は有効
失踪宣告後に再婚している場合、生死不明者が生きていても再婚は有効です。
ただし、再婚当事者が善意であることが条件となります。
簡単に言えば、生死不明者が生きていることを知らなければ、失踪宣告が取り消されても再婚は有効です。
ちなみに、失踪宣告が認められても離婚ではないので、間違えないように気を付けてください。
関連記事を読む『失踪宣告をすると離婚ではなく婚姻関係の消滅』
10-2.失踪宣告により受け取った財産等は返還
失踪宣告により受け取った財産等があれば、返還する必要があります。
- 生命保険金
- 年金
- 相続財産
上記の財産は死亡により発生するので、生存していれば発生していません。
ただし、返還するのは現に利益を受けている限度になります。受け取った金額を全額返還するのではなく、現存利益を返還します。
関連記事を読む『失踪宣告の後に生きていたことが判明すると相続はどうなる』
11.失踪宣告と他制度の違い
生死不明者に関しては失踪宣告だけでなく、他の制度も関係する可能性があります。
- 認定死亡
- 不在者財産管理人
- 高齢者消除
それぞれ失踪宣告との違いについて説明していきます。
11-1.失踪宣告と認定死亡の違い
失踪宣告と認定死亡は、両方とも対象者を死亡とする制度です。
ただし、認定死亡は生死不明ではなく、死亡が確実な場合に適用されます。
例えば、災害に巻き込まれて死亡していることは確実だが、遺体が見つからない場合等に認定死亡が行われます。
死亡が認定されると戸籍にも死亡が記載されるので、相続の発生や生命保険金の受取も可能です。
関連記事を読む『【認定死亡と失踪宣告の違い】4つのポイントで比較説明』
11-2.失踪宣告と不在者財産管理人の違い
失踪宣告と不在者財産管理人は、両方とも行方不明者に対する制度です。
ただし、不在者財産管理人を選任しても、行方不明者は死亡とはみなされません。
何のために不在者財産管理人を選任するかというと、行方不明者の代わりに不在者財産管理人に法律行為を行ってもらうためです。
例えば、行方不明者が共同相続人であれば、不在者財産管理人が代わりに遺産分割協議に参加します。遺産分割協議が成立することにより、相続手続きを進めることができます。
遺産分割協議を成立させたいだけなら、不在者財産管理人の選任でも達成は可能です。
関連記事を読む『不在者財産管理人と失踪宣告の違いを5つの項目で比較』
11-3.失踪宣告と高齢者消除の違い
生死不明が長期間に及ぶと、戸籍から職権消除されることもあります。
なぜなら、誰も失踪宣告の申立をしないと、生死不明者が何歳になっても戸籍上に存在するからです。
100歳以上で戸籍の附票に住所の記載がない人については、許可を得て職権で戸籍から消除できます。
ただし、生死不明者が高齢者消除されても、相続の開始原因にはなりません。戸籍上の手続きとして消除しているだけです。
高齢者消除されている人が相続に関係するなら、失踪宣告の申立をする必要があります。
関連記事を読む『【高齢者消除と失踪宣告の違い】4つのポイントで比較説明』
12.失踪宣告にデメリットはあるのか?
どんな制度にもデメリットがあるように、失踪宣告にもデメリットはあります。
- 失踪宣告の申立人が限られる
- 失踪宣告の審判確定まで時間がかかる
- 死亡とみなされる日が決めれない
- 生死不明者が生きている可能性
失踪宣告の申立人は限られるので、失踪宣告を利用できない人も存在します。共同相続人である甥・姪が生死不明でも、叔父(伯父)や叔母(伯母)は申し立てできません。
失踪宣告は申し立ての準備だけでなく、申し立てから審判確定までも時間がかかります。一般的には、8ヶ月から1年はかかると思ってください。
生死不明者の死亡とみなされる日がいつになるかは、調査等により家庭裁判所が決めます。申立人が想定していた死亡日と違う可能性はあります。
生死不明者の死亡は確認できていないので、生死不明者が生きている可能性はあります。生きていることが判明すると、失踪宣告の取り消しをする必要があります。
関連記事を読む『【失踪宣告のデメリット】4つの欠点を確認しておこう 』
13.まとめ
今回の記事では「失踪宣告」について説明しました。
失踪宣告とは、生死不明者を死亡とみなす制度のことです。
- 普通失踪|生死不明から7年経過
- 特別失踪|危難が去った時から1年経過
上記の期間を経過すると、家庭裁判所に失踪宣告の申し立てができます。
失踪宣告が認められると、生死不明者は死亡とみなされるので、生死不明者の相続も発生します。
また、生死不明者が共同相続人であれば、失踪宣告により遺産分割協議から除外されます。
失踪宣告が認められるまでには、申し立てから半年から1年ほどかかるので、急いでいる場合は注意してください。
失踪宣告について興味のある箇所があれば、関連記事も参考にしてください。