特別失踪により失踪宣告の申立てを検討する際には、危難が去った時という言葉を目にするはずです。
特別失踪にとって危難が去った時は重要です。なぜなら、申立てができる日や死亡とみなされる日に関係するからです。
危難に遭遇し行方不明になっている人がいるなら、危難が去った時がいつになるのか確認しておいてください。
目次
1.特別失踪の申立ては1年経過してから
失踪宣告の申し立てをするには、生死不明の期間に条件があります。
特別失踪により失踪宣告の申立てができるのは、危難が去った時から1年以上行方不明になっている場合です。
普通失踪の申立てには7年以上必要なので、特別失踪の方が短い期間で申立てが可能になります。
特別失踪の方が短い理由としては、危難に遭遇したことにより行方不明になっている人は、亡くなっている可能性が高いからです。
失踪宣告の申立てを検討されているなら、『失踪宣告の申立て手続き|確認と準備を済ませておこう』もご覧ください。
2.特別失踪により死亡とみなされる日
特別失踪により失踪宣告がなされると、危難が去った時に死亡とみなされます。つまり、危難が去った時が死亡日となります。
1年経過してから申立てをするのですが、死亡日は危難が去った時なのでご注意ください。
危難が去った時が相続開始日となりますので、相続人の中に亡くなっている人がいる場合は死亡日を確認してください。
普通失踪に比べると相続人が変更になる可能性は低いですが、『失踪宣告により相続開始|財産を取得する順番を確認しておこう』も参考にしてください。
3.特別失踪は個別の事例ごとに判断
危難が去った時は個別の事例ごとに判断されます。
ただし、ほとんどのケースでは危難に遭遇した時と危難が去った時は、結果として同じになると思います。
3-1.船舶が沈没した時
船舶に関しては民法に例示として記載されています。
(失踪の宣告)
第三十条
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
(失踪の宣告の効力)
第三十一条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。出典:e-Govウェブサイト
船舶に乗っていた人が沈没により行方不明になった場合、沈没時に亡くなったとみなされます。ちなみに、沈没した船舶の大小は関係ありません。
沈没ではなく船舶から海に転落して行方不明になっているなら、海に転落した時に亡くなったとみなされます。
3-2.航空機なら墜落した時
旅客機やヘリコプターに搭乗していた人が、墜落したことにより行方不明になっているなら、航空機の墜落時に亡くなったとみなされます。
3-3.地震や洪水等があった時
地震や洪水等の災害により行方不明になった場合、地震や洪水等があった時に亡くなったとみなされます。
地震等に関しては特別失踪とは別の制度もあります。認定死亡によっても戸籍には死亡の記載がされます。
3-4.山崩れや雪崩に巻き込まれた時
山崩れや雪崩に巻き込まれて行方不明になっているなら、巻き込まれた時に亡くなったとみなされます。
4.さいごに
特別失踪により失踪宣告の申立てをする際には、危難が去った時がいつなのかが重要になります。
なぜなら、申立てができるのは危難が去った時から1年経過後ですし、亡くなったとみなされる日は危難が去った時だからです。
危難に遭遇した時と危難が去った時は基本的に同じになります。船舶であれば沈没時が危難に遭遇した時であり、危難が去った時となります。
危難が去った時がいつなのかを把握したら、失踪宣告の申立てを検討してみてください。