失踪宣告により相続が開始する|相続人の変更に注意!

失踪宣告により行方不明者が死亡とみなされると、行方不明者に関する相続が開始します。

失踪宣告の確定までに亡くなっている人がいると、死亡日の前後によって相続に影響がでます。

行方不明者の相続人が変更になったり、行方不明者が相続人になることもあります。

また、遺産分割協議の参加者の変更や、行方不明者の子どもが代襲相続する可能性もあります。

今回の記事では、失踪宣告による相続について説明しているので、相続人を確定させる際の参考にしてください。

1.失踪宣告により死亡とみなされる日が相続開始日

生死不明者の失踪宣告が確定すると、生死不明者は死亡とみなされます。

そして、死亡とみなされたことにより、生死不明者の相続が発生します。

相続発生日は死亡とみなされた日になります。

(失踪の宣告の効力)
第三十一条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

出典:e-Govウェブサイト(民法31条)

以下が、死亡とみなされた日(相続発生日)になります。

普通失踪と特別失踪では相続発生日が違います。

失踪宣告の申立てまでに亡くなった人がいると、どちらが先に亡くなったかで相続人が変更する可能性があります。

特に、普通失踪は相続発生日が7年経過後であり、相続人が変更しやすいので気をつけてください。

失踪宣告の申立てをしてから審判確定までには数ヶ月はかかるので、亡くなっている人の死亡日は必ず確認しておきましょう。

 

2.失踪宣告による相続開始日より前に亡くなった人がいる

行方不明者が死亡とみなされる日より前に、家族が亡くなっているケースです。

死亡とみなされる日より前に亡くなっている

相続においては以下の2つが考えられます。

  • 行方不明者の相続人が変更になる
  • 行方不明者が相続人になる

それぞれ説明していきます。

2-1.行方不明者の相続人が変更になる

行方不明者が死亡とみなされる日より前に相続人が亡くなっていると、相続人が変更することになります。

代襲相続が発生する

行方不明者より先に亡くなった相続人に子どもがいれば、代襲相続が発生して相続人となります。

例えば、行方不明者の子どもが先に亡くなっていれば、孫が代わりに相続人となります。

失踪宣告より前に死亡

行方不明になってから数年後に子どもが亡くなっていると、代襲相続が発生しやすいです。

次順位相続人に変更になる

行方不明者より先に亡くなった相続人に子どもがおらず、かつ、同順位の相続人が他にいなければ次順位の相続人に相続権が移ります。

2-2.行方不明者が相続人になる

亡くなった人の相続人に行方不明者がなることもあります。

  • 行方不明の間に配偶者が亡くなる
  • 行方不明の間に親が亡くなる
  • 行方不明の間に子どもが亡くなる
    *先順位相続人がいない場合
  • 行方不明の間に兄弟姉妹が亡くなる
    *先順位相続人がいない場合

上記のケースでは行方不明者が相続人となります。行方不明者の財産には亡くなった人の相続財産も加算されます。

 

3.失踪宣告による相続開始日より後に亡くなった人がいる

失踪宣告の申立てまでに時間が経過していると、行方不明者が死亡とみなされる日より後に亡くなっている人もいます。

死亡とみなされる日より後に亡くなる

例えば、行方不明になってから10年後に失踪宣告の申立てをしても、死亡とみなされる日は行方不明になってから7年後です。

死亡とみなされる日より後に亡くなっている人がいると、相続関係をしっかり確認しておく必要があります。

3-1.遺産分割協議の参加者が変更になる

行方不明者が遺言書を残していなければ、相続人全員で遺産分割協議をしなければ相続手続を進めることができません。

相続人の1人が遺産分割協議成立前に亡くなっていれば、相続人の子どもが遺産分割協議に参加することになります。

誰が行方不明者の遺産分割協議に参加するのか、戸籍謄本等でしっかりと確認しておきましょう。

3-2.行方不明者の子どもが代襲相続

行方不明者が死亡とみなされた日より後に、親や兄弟姉妹(先順位相続人がいない場合)が亡くなっていると、行方不明者の子どもが代襲相続人となります。

例えば、行方不明者が死亡みなされた日より後に親が亡くなっていると、行方不明者の子ども(孫)が代わりに相続人となります。

行方不明者の子どもが代襲相続

誰の相続人になっているのかを、間違えないように注意しましょう。

 

4.失踪宣告により生死不明者の財産は相続人に移転する

失踪宣告により行方不明者は死亡とみなされるので、行方不明者の財産は相続人に移転します。

失踪宣告による相続であっても、通常の相続と同じ手続きが必要です。

4-1.行方不明者が不動産を所有しているなら相続登記

行方不明者が不動産を所有しているなら、不動産の相続登記を申請しましょう。

基本的に通常の相続登記と同じなのですが、戸籍謄本に失踪宣告の記載がされているか確認してください。

また、死亡とみなされた日を確認して、不動産の相続人を間違えないように注意しましょう。

4-2.行方不明者の相続を放棄することもできる

失踪宣告により相続が開始した場合でも、相続を放棄することはできます。

失踪宣告により死亡とみなされたことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所で相続放棄の手続きをしてください。

死亡とみなされた日から3ヶ月以内ではないので、間違えないように気を付けてください。

 

5.さいごに

今回の記事では「失踪宣告と相続」について説明しました。

失踪宣告により行方不明者が死亡とみなされると、行方不明者に関する相続が開始します。

ただし、死亡とみなされる日の前後に亡くなった人がいると、相続が複雑になりやすいのでご注意ください。

行方不明者よりも先に亡くなっている人がいれば、相続人変更や行方不明者が相続人になることもあります。

一方、行方不明者より後に亡くなっている人がいれば、遺産分割協議の参加者変更や代襲相続が発生することもあります。

行方不明者の家族に亡くなっている人がいる場合は、死亡日を確認して相続関係を把握しておきましょう。

長期間に渡り生死不明な人がいると、以下のような問題があります。

  • 何十年経過しても相続が発生しない
  • 遺産分割協議ができない
  • 気持ちの整理ができない

行方不明者の失踪宣告をご検討されている方は、以下よりご確認いただけます。

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