【高齢者消除と失踪宣告の違い】4つのポイントで比較説明

高齢者消除と失踪宣告の違い
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高齢者消除と失踪宣告は、行方不明者に関係する手続です。

ですが、2つの手続きは目的が違うので、要件や効力にも違いがあります。

行方不明者に関する戸籍を取得するのであれば、違いについて知っておいてください。

今回の記事では、高齢者消除と失踪宣告の違いについて説明しているので、悩みを解決する参考にしてください。

目次

1.高齢者消除と失踪宣告では目的が違う

高齢者消除と失踪宣告は目的が違う

高齢者消除と失踪宣告の違い1つ目は、目的です。

高齢者消除と失踪宣告では、目的が違います。

1-1.高齢者消除は戸籍の整理が目的

高齢者消除の目的は、戸籍の整理です。

行方不明者が生存していると考えられない年齢になっても、死亡届(失踪届)が提出されない限り、戸籍はいつまでも残り続けます。

そこで、戸籍を整理するため、高齢者消除が実務上認められています。

戸籍に高齢者消除が記載されると、行方不明者は除籍されるので、戸籍を整理することが可能です。

1-2.失踪宣告は行方不明者の死亡が目的

失踪宣告の目的は、行方不明者の死亡です。

行方不明者の死亡が確認できない限り、何十年経過しても戸籍上は生存扱いとなります。

そこで、行方不明者を死亡とみなすため、家庭裁判所に失踪宣告の申立てが可能です。

失踪宣告の審判確定後に、失踪届を市役所に提出すると、行方不明者は死亡により戸籍から除籍されます。

2.高齢者消除と失踪宣告では対象者の年齢が違う

高齢者消除と失踪宣告では対象年齢が違う

高齢者消除と失踪宣告の違い2つ目は、対象者の年齢です。

  • 高齢者消除は90歳以上が対象
  • 失踪宣告の対象に年齢要件はない

高齢者消除と失踪宣告では、対象者の年齢に違いがあります。

2-1.高齢者消除は90歳以上が対象となる

高齢者消除という言葉どおり、高齢者が対象になります。

何歳から対象になるかというと、90歳以上の行方不明者です。

  • 90歳以上100歳未満
  • 100歳以上
  • 120歳以上

年齢により高齢者消除の要件は違いますが、最低でも90歳以上からが高齢者消除の対象となります。

2-2.失踪宣告の対象に年齢要件はない

失踪宣告の対象となる行方不明者に、年齢要件はありません。

その代わり、行方不明期間に要件があります。

たとえ行方不明者が100歳以上であっても、行方不明期間を満たしていなければ、失踪宣告は利用できません。

一方、行方不明期間を満たしていれば、行方不明者が20歳代でも30歳代でも失踪宣告は可能です。

3.高齢者消除と失踪宣告では相続の開始に違い

高齢者消除と失踪宣告では相続に違い

高齢者消除と失踪宣告の違い3つ目は、相続の開始です。

  • 高齢者消除は死亡の推定
  • 失踪宣告は死亡とみなす

高齢者消除と失踪宣告では、相続の開始に違いがあります。

3-1.高齢者消除されても相続は開始しない

行方不明者の戸籍に高齢者消除が記載されても、相続は開始しません。

なぜなら、高齢者消除されても、行方不明者に死亡の効力は発生しないからです。あくまでも、戸籍上の整理をするため、死亡している可能性が高い高齢者を除籍しています。

行方不明者が死亡していない以上、高齢者消除されても相続は開始しないです。

3-2.失踪宣告により相続は開始する

失踪宣告により行方不明者の相続は開始します。

なぜなら、失踪宣告の審判が確定すると、行方不明者は死亡とみなされるからです。

行方不明者の戸籍にも「死亡とみなされた日」が記載されるので、相続手続でも使用できます。

行方不明者の相続を開始させたいなら、失踪宣告の申立てを検討しましょう。

4.高齢者消除と失踪宣告では取消方法が違う

高齢者消除と失踪宣告では取消方法が違う

高齢者消除と失踪宣告の違い4つ目は、取消方法です。

  • 高齢者消除は届出をするだけ
  • 失踪宣告は取消しの審判が必要

高齢者消除と失踪宣告では、取消方法に違いがあります。

4-1.高齢者消除は届出により訂正される

高齢者消除の記載がされた後で、行方不明者の死亡が確認されたり、失踪宣告が確定することもあります。

そして、行方不明者の死亡届(失踪届)が提出された場合、高齢者消除は錯誤により訂正されます。

市役所等の手続きとして訂正されるので、届出人が何かするわけではありません。

4-2.失踪宣告を取消すには審判が必要

失踪宣告の審判が確定した後で、行方不明者の生存または死亡が確認されることもあります。

ただし、行方不明者の生存(死亡)が確認できても、失踪宣告の記載は削除されません。

失踪宣告を取消すには、家庭裁判所に失踪宣告の取消しを申し立てる必要があります。取消しの審判が確定すれば、戸籍から失踪宣告の記載を削除できます。

5.まとめ

今回の記事では「高齢者消除と失踪宣告の違い」について説明しました。

高齢者消除失踪宣告
目的戸籍の整理死亡とみなす
年齢90歳以上無し
相続×
取消届出審判

高齢者消除の目的は、戸籍の整理です。失踪宣告の目的は、行方不明者を死亡とみなすことです。

高齢者消除は戸籍の整理をしているだけなので、行方不明者の相続は発生しません。失踪宣告は行方不明者を死亡とみなすので、相続が発生します。

高齢者消除を取消すには、届出をするだけで訂正されます。失踪宣告を取消すには、家庭裁判所の審判が必要です。

高齢者消除と失踪宣告は行方不明者に関する手続ですが、内容はまったく違うので確認しておいてください。

高齢者消除と失踪宣告に関するQ&A

高齢者消除されている人に失踪宣告できますか?

できます。

高齢者消除が記載された戸籍で相続登記できますか?

できないです。

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