失踪宣告の効力が発生すると、失踪者の相続手続を進めます。相続手続では失踪者の戸籍謄本等を使用することになります。
ただし、失踪宣告の効力が発生しても戸籍は変更されていません。戸籍を変更させるには失踪届の提出が必要です。
相続手続で必要になる戸籍謄本等を取得する参考にしてください。
目次
1.失踪宣告の効力発生は確定してから
失踪者が死亡とみなされるのは、失踪宣告の審判が確定してからです。
たとえ10年以上行方不明であっても、失踪宣告の申立てをして確定させなければ死亡とはみなされません。
申立が済んでいない場合は『失踪宣告の申立て手続き|確認と準備を済ませておこう』をご覧ください。
失踪宣告の申立てが認められると、家庭裁判所から審判書謄本が送られてきます。
1-1.審判決定から2週間経過で確定
審判書謄本が送られてきても、審判が確定したわけではありません。審判が決定してから2週間経過で審判確定となります。
2週間以内であれば失踪宣告の決定に不服がある人は、不服申し立てをすることができます。
1-2.確定証明書を取得する
失踪宣告の申立てが確定したら確定証明書を取得します。
家庭裁判所に備え付けの申請書がありますので、150円の収入印紙を貼り付けて提出してください。郵送の場合は返送用封筒(切手貼付)も同封して送ります。
確定証明書は失踪届の提出をする際に必要となります。
2.失踪届を提出しなければ戸籍は変更されない
失踪宣告が確定しても、戸籍が自動的に変更されるわけではないです。行方不明者の戸籍変更は、失踪宣告の申立人がしなければいけません。
失踪宣告の審判確定から10日以内に、市区町村役場へ失踪届の提出をします。
- 失踪者の本籍地
- 申立人の住所地
提出先は、上記いずれかの市区町村役場となります。
2-1.失踪届の提出に必要な書類等を準備
失踪届の提出に必要な書類を準備します。
- 失踪届の申請書
- 審判書謄本
- 確定証明書
- 失踪した人の戸籍謄本
*失踪者の本籍地以外では必要
失踪届の申請書
失踪届の申請書は役所にありますので、前もって確認しておいてください。
以下は『大阪市のホームページ』からダウンロードできます。
*大阪市と印字されています。
届出人とは、失踪宣告の申立てをした人のことです。印鑑を押印する箇所があるので気を付けましょう。
失踪した人の戸籍謄本
失踪届を申立人の住所地で提出する場合は、失踪した人の戸籍謄本も必要です。
失踪した人の本籍が遠方だと取得するのに時間がかかるので、審判書謄本が届いた時点で郵送請求しておいてください。
2-2.失踪届の提出は届出人以外でも大丈夫
失踪届を役所に提出するのは、届出人以外でも大丈夫です。ただし、失踪届には届出人が署名捺印してください。
届出人以外の人が提出する場合でも委任状は必要ありません。代理人ではなく使者として提出するだけです。
2-3.戸籍の変更には時間がかかる
失踪届を提出しても戸籍はすぐには変更されません。死亡届を提出した場合も変更に時間がかかるので、失踪届の場合も同じように時間がかかります。
本籍地の役所に提出した方が変更は早いと思います。
3.失踪宣告が記載された戸籍の記載事項
失踪届を提出すると戸籍の記載が変わるので、記載事項を確認しておきましょう。
何が変わるかというと、戸籍の身分事項欄に失踪宣告が記載され、失踪宣告に関する事項も記載されます。
失踪宣告に関する事項は4つです。
- 死亡とみなされる日
- 失踪宣告の裁判確定日
- 届出日
- 届出人
戸籍に死亡とみなされる日が記載されることで、戸籍謄本等を相続手続で使用することができます。
4.戸籍謄本等は相続手続で使用する
死亡とみなされる日が記載された戸籍謄本等は、失踪者に関する相続手続で使用します。
- 銀行口座の解約等
- 相続登記
- 遺族年金の発生
- 生命保険金の受け取り
上記の手続きをするには、失踪者の戸籍謄本等が必要です。
戸籍謄本または除籍謄本を取得した際は、必ず死亡とみなされる日を確認してください。記載されていなければ使用することができません。
5.さいごに
失踪宣告の審判が確定すると、相続が発生するので戸籍謄本等が必要になります。
ただし、審判が確定しても戸籍は変更されません。申立人が役所に失踪届を提出することで、失踪者の戸籍に死亡とみなされる日が記載されます。
あらかじめ戸籍謄本等を取得するまでの流れを確認しておき、相続手続をスムーズに進めましょう。
司法書士に失踪宣告の申立書作成を依頼する場合は、相続手続についても一緒に相談してみてください。