普通失踪とは失踪宣告の一つであり、生死不明が長期間の場合に利用できます。
最後に生存を確認できた時から7年以上経過していれば、普通失踪の条件を満たすので失踪宣告の申立てが可能です。
失踪宣告が認められると生死不明者は死亡とみなされます。
今回の記事では、普通失踪について説明しているので、生死不明が長期間に及んでいるなら参考にしてください。
目次
1.失踪宣告には普通失踪と特別失踪がある
生死不明の期間が長期間であっても、不明である以上は死亡とはなりません。
たとえ生死不明の期間が20年以上であっても、死亡が確認されない限り法律上は死亡となりません。
ですが、法律上で死亡とならない限り、相続も発生しないことになります。行方不明者が名義人となっている財産については、相続が発生しないので名義変更ができません。
そのような事態を解決する方法が、失踪宣告の制度となります。
失踪宣告には2種類あります。
- 普通失踪
- 特別失踪
いわゆる行方不明が普通失踪となります。それに対して、特別失踪は危難に遭遇して行方不明になった場合です。
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2.普通失踪の条件は7年以上経過していること
普通失踪により失踪宣告の申立てをするには、生死不明の期間が7年以上であることが条件となります。
最後に確認が取れた日から7年以上経過していないと、普通失踪により申立てをすることはできません。
2-1.申立てができるのは法律上の利害関係人
普通失踪により失踪宣告の申立てができるのは、法律上の利害関係人に限られます。
なぜなら、生死不明者を死亡とみなすことになるので、申立人の範囲を限定しているからです。
主な申立人は以下のとおりです。
- 配偶者
- 推定相続人
- 遺言書の受遺者
申立人については下記の記事で詳しく説明しております。
関連記事を読む『失踪宣告の利害関係人の範囲|申立てができる人は限られる』
2-2.行方不明であることを証明する
普通失踪により失踪宣告を申し立てるには、生死不明であることを添付書類で証明する必要があります。
失踪を証する書類には以下があります。
- 行方不明者届受理証明書
- 職権消除された戸籍附票
- 返送された行方不明者宛ての手紙
基本的には上記の中から用意できる書類を提出します。その他にも失踪を証する書類があれば提出します。
関連記事を読む『失踪を証する資料|申立ての添付書類として必要になる』
3.普通失踪により死亡とみなされる日
失踪宣告が認められると、行方不明者は死亡とみなされます。
普通失踪により死亡とみなされる日は、生死不明になってから7年経過した日です。
以下は、民法の条文です。
3-1.死亡とみなされる日と申立ての日は関係ない
間違えやすいのですが、死亡とみなされる日と申立ての日は関係ありません。
たとえ生死不明になって20年経過してから申立てをしても、死亡とみなされる日は生死不明になってから7年経過した日です。
関連記事を読む『失踪宣告による死亡日はいつなのか|相続発生日となるので重要』
3-2.最後に確認が取れた日は変わることがある
普通失踪により失踪宣告の申立てをすると、家庭裁判所も生死不明者を調べます。
調べた結果、最後に確認が取れた日が変わることもあるので、死亡とみなされる日も変わります。
当初考えていた死亡とみなされる日が変わると、相続人が変更する可能性もあるので注意が必要です。
4.普通失踪により相続が発生する
普通失踪により生死不明者が死亡とみなされると相続が発生します。
普通失踪では、7年経過した日に死亡とみなされるので、相続人を間違えないように気をつけてください。
特に注意が必要なのは、親族の中に亡くなっている人がいる場合です。
- 死亡日より前に亡くなっている
- 死亡日より後に亡くなっている
死亡とみなされる日より前に亡くなっている人がいると、相続人の変更や代襲相続の可能性があります。
一方、死亡とみなされる日より後に亡くなっている人がいると、遺産分割協議の参加者が変更になったりします。
行方不明者の死亡とみなされる日と、親族の死亡日を整理して相続人を確認しましょう。
関連記事を読む『失踪宣告により相続が開始する|誰が相続人なのかを確認』
5.さいごに
生死不明になってから7年以上経過していれば、普通失踪により失踪宣告の申立てをすることができます。
普通失踪により失踪宣告が認められると、最後に確認が取れた日から7年経過した日に死亡とみなされます。
生死不明の期間に亡くなっている人がいると、相続人が変更する可能性があるので確認しておきましょう。
親族の中に行方不明の人がいても、死亡が確認されるまで相続は発生しません。たとえ何十年経過していても、法律上は生存していることになります。
生死不明が長期間に及んでいるなら、普通失踪の申立ても検討しましょう。