【失踪宣告のデメリット】4つの欠点を確認しておこう

失踪宣告のデメリット
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失踪宣告を検討しているなら、失踪宣告のデメリットについても確認しておいてください。

どんな制度にも欠点や注意点が存在します。失踪宣告制度も例外ではありません。

  • 失踪宣告まで時間がかかる
  • 申立人は利害関係人に限られる
  • 相続の開始日は選べない
  • 失踪者が生存なら手続きが必要

今回の記事では、失踪宣告のデメリットについて説明しているので、失踪宣告を検討しているなら参考にしてください。

目次

1.失踪宣告までの時間はデメリット

失踪宣告のデメリットは期間が長い

デメリット1つ目は、失踪宣告までには時間がかかる点です。

たとえ親族に生死不明者がいても、失踪宣告はすぐに利用できません。

なぜなら、生死不明の期間が一定以上必要だからです。また、申立てから審判確定までにも時間がかかります。

1-1.普通失踪の申立てには7年以上必要

失踪宣告には普通失踪と特別失踪の2つがあり、必要な期間が違います。

一般的な行方不明は普通失踪なので、7年以上経過しなければ申立てできません。

申立てまでに時間かかる点は、親族にとってデメリットです。

1-2.審判確定には申立てから1年ぐらい

無事に失踪宣告の申立てができても、審判確定までには10ヶ月から1年ぐらい必要です。

なぜかというと、家庭裁判所が調査する期間や、一定期間以上の官報公告もあるからです。

失踪宣告の申立てから審判確定まで、約1年かかるのは申立人にとってデメリットになります。

2.申立人が限られるのはデメリット

失踪宣告のデメリットは利害関係人が限られる

デメリット2つ目は、申立人が利害関係人に限られるです。

失踪宣告の申立人は、法律上の利害関係人に限られています。

  • 配偶者
  • 推定相続人
  • その他(生命保険金の受取人・受遺者)

一般的には、配偶者または推定相続人が申立人です。

法律上の利害関係人が申立てをしなければ、失踪宣告は利用できません。生死不明の期間が何十年経っていても結論は同じです。

【事例】

行方不明者|父
推定相続人|子

祖父が亡くなり父が相続人の1人となっていても、他の相続人(父の兄)は失踪宣告の申立人になりません。

なぜなら、父の死亡に法律上の利害関係が無いからです。
※父が死亡しても父の兄に影響は無い。

遺産分割協議が進められるは、事実上の利害関係になります。

失踪宣告を検討している人にとって、申立人が限られる点はデメリットになります。

3.失踪宣告による相続開始日は選べない

失踪宣告のデメリットは相続開始日が選べない

デメリット3つ目は、相続の開始日は選べないです。

失踪宣告により死亡とみなされると、死亡とみなされる日に相続が発生します。

ただし、死亡とみなされる日は、申立人が決めるわけではありません。

3-1.死亡とみなされる日は法律により決まる

死亡とみなされる日は自由に決めれるのではなく、法律により決められています。

  • 普通失踪|生死不明から7年経過した日
  • 特別失踪|危難が去った日

つまり、失踪宣告の申立てをした日は関係ありません。10年経過していようが20年経過していようが、死亡とみなされる日は同じです。

死亡とみなされる日が決めれないのは、相続ではデメリットになります。

3-2.相続人が変更になる可能性

失踪宣告の申立てまでに長期間経過していると、親族の中に亡くなっている人もいます。

そして、亡くなっている人がいると、相続人が変更になる可能性があります。

【事例】

行方不明者|夫
推定相続人|妻・直系尊属
申立人  |直系尊属
妻    |夫の行方不明後に死亡

行方不明者の推定相続人は、配偶者(妻)と直系尊属です。

死亡とみなされる日によって、妻が相続人になるのか違いがあります。

死亡とみなされる日によって変わる

死亡とみなされる日より前に配偶者が亡くなっていると、直系尊属のみが相続人となります。

一方、死亡とみなされる日より後に配偶者が亡くなっていると、配偶者と直系尊属が相続人です。
※配偶者の相続人が権利を相続します。

亡くなった順番によっては、相続人が変更するというデメリットがあります。

4.失踪者が生存していると手続が必要

失踪宣告のデメリットは生存していると手続が必要

デメリット4つ目は、行方不明者が生存していた場合の手続きです。

失踪宣告により行方不明者が死亡とみなされても、後になって生存が確認されることはあります。

4-1.失踪宣告を取消すには手続きが必要

行方不明者の生存が確認されても、失踪宣告が自動的に取消されるわけではないです。

本人(行方不明者)が手続きの為に戸籍謄本を使おうとしても、戸籍上は死亡とみなされたままです。

失踪宣告を取消すには、家庭裁判所に失踪宣告の取消しの申立てをする必要があります。

行方不明者の生存が確認された場合でも、取り消しに手続きが必要な点はデメリットになります。

4-2.受け取った財産の返還手続き

行方不明者が生存していた場合、失踪宣告により発生した財産は返還する必要があります。

  • 相続財産
  • 生命保険金
  • 遺族年金

ただし、返還するのは現存利益となります。金銭を消費していても、形を変えて残っていれば返還します。

現存利益の範囲は分かりにくいので、不明な点があれば専門家に相談した方が安全です。

5.まとめ

今回の記事では「失踪宣告のデメリット」について説明しました。

失踪宣告にもデメリットは存在します。

  • 失踪宣告までに時間がかかる
  • 申立人は利害関係人に限られる
  • 相続の開始日は選べない
  • 失踪者が生存なら手続きが必要

失踪宣告までには時間がかかるので、すぐに使える制度ではありません。

申立人は限られるので、利用できないケースもあります。

死亡とみなされる日(相続の開始日)は選べないので、親族の中に亡くなった人がいると、相続人が変更するかもしれません。

行方不明者が生存していた場合、自動的に失踪宣告が取り消されるわけではなく、取消しの手続きが別に必要です。

失踪宣告を申し立てるなら、デメリットも知っておきましょう。

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