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失踪宣告に関する官報公告は2回行われる

失踪宣告と官報公告
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失踪宣告の申立てをすると、官報公告が行われます。

ですが、普段の生活で官報に関わることは少ないので、何のことか分からない人も多いです。

実際、官報公告自体は裁判所が行うので、申立人が何かするわけではありません。

失踪宣告を検討していて官報公告が気になった人は、今回の記事を参考にしてください。

1.失踪宣告の官報公告は裁判所が行う

失踪宣告の申立てをすると、官報による公告が合計2回行われます。

ですが、普段の生活で官報に関わることは少なく、官報が何なのか分からない人も多いです。

官報
官報を分かりやすく説明するなら、国が発行している新聞のようなもの
公告
ある事項を文書により広く知らせること

官報に失踪宣告を掲載することにより、広く知ってもらうことが目的となります。

1-1.官報公告料は指示があってから納付

官報に掲載するのは有料なので、官報公告料が必要となります。

ただし、失踪宣告の申立てをする際に納めるわけではなく、裁判所の指示があってから納めます。

なぜかというと、失踪宣告の申立てがあると、家庭裁判所でも行方不明者を調べます。調べた結果、生存または死亡が判明すると、申立ては却下されるからです。

家庭裁判所が調べても不明な場合は、官報公告料の納付を指示します。

官報公告料は4,816円です。

  • 1回目:3,053円
  • 2回目:1,763円

官報公告料の納付書が申立人の住所に届きます。

1-2.掲載期間は普通失踪と特別失踪で違う

1回目の官報公告は普通失踪と特別失踪で、掲載期間が違います。

実際は、上記の期間に1ヶ月ほど加算して掲載されます。

 

2.1回目の官報公告は届出のお知らせ

1回目の官報公告は、失踪宣告に関する届出のお知らせとなります。

失踪宣告が認められると、不在者は死亡とみなされます。勝手に死亡とされないように、不在者に対して呼びかけをしています。

官報公告の内容は法律で決められています。

第百四十八条
3 家庭裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号及び第四号の期間が経過しなければ、失踪の宣告の審判をすることができない。この場合において、第二号及び第四号の期間は、民法第三十条第一項の場合にあっては三月を、同条第二項の場合にあっては一月を下ってはならない。
一 不在者について失踪の宣告の申立てがあったこと。
二 不在者は、一定の期間までにその生存の届出をすべきこと。
三 前号の届出がないときは、失踪の宣告がされること。
四 不在者の生死を知る者は、一定の期間までにその届出をすべきこと。

出典:e-Govウェブサイト(家事事件手続法148条3項)
  • 不在者に失踪宣告の申立てがあった
  • 不在者は生存の届出をする
  • 届出が無ければ失踪宣告される
  • 不在者の生死を知る人は届出をする

上記以外にも、申立人の住所・氏名、不在者の本籍・最後の住所・氏名・生年月日が掲載されます。

以下は官報に掲載される際の文章(見本)です。

失踪宣告に関する届出の催告

次の申立人から不在者に対して失踪宣告の申立てがあったので、不在者は、届出期間満了の日までに当裁判所に生存の届出をしてください。届出がないときは、失踪宣告を受けることになります。また、不在者の生死を知る者は、同日までにその旨当裁判所に届け出てください。
令和3年(家)第123号
大阪府大阪市北区〇〇1丁目2番3号
申立人 大阪 次郎
本籍 東京都新宿区〇〇2丁目3番地、最後の住所 大阪府大阪市中央区〇〇3丁目4番5号
不在者 大阪 太郎
昭和50年6月〇〇日生
届出期間満了日 令和3年9月27日

大阪家庭裁判所

失踪宣告の申立人に関係するのは、届出期間の満了日となります。

届出期間満了日までに誰も届出をしなければ、失踪宣告の審判に進みます。

 

3.2回目の官報公告は失踪宣告確定のお知らせ

失踪宣告の届出期間満了日までに、誰も届出をしなければ失踪宣告の審判となります。

ただし、失踪宣告が確定するのは、審判決定から2週間経過後です。2週間の間に誰も不服申し立てをしなければ、失踪宣告の審判が確定となります。

審判が確定すると家庭裁判所書記官によって、2回目の官報公告が行われます。

以下は官報に掲載される際の文章(見本)です。

失踪宣告

令和3年(家)第123号
本籍 東京都新宿区〇〇2丁目3番地、最後の住所 大阪府大阪市中央区〇〇3丁目4番5号
不在者 大阪 太郎
昭和50年6月〇〇日生
令和3年10月〇〇日失踪宣告審判確定

大阪家庭裁判所裁判所書記官

失踪宣告が確定した後は、市区町村役場で戸籍の変更手続きをすることになります。

 

4.失踪宣告の取消しも官報公告される

失踪宣告が確定した後で、不在者の生死が判明する場合があります。

生死が判明には2つあります。

  • 不在者が生存している
  • 不在者の死亡が確認された

失踪宣告は生死が不明な人を死亡とみなす制度なので、生死が判明した場合は取消す必要があります。

(失踪の宣告の取消し)
第三十二条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。

出典:e-Govウェブサイト(民法32条)

失踪宣告の取消しの申立てをして、取消しの審判が確定すると裁判所書記官により官報公告が行われます。

以下は官報に掲載される際の文章(見本)です。

失踪宣告取消

令和3年(家)第345号
本籍 東京都新宿区〇〇2丁目3番地、最後の住所 大阪府大阪市中央区〇〇3丁目4番5号
不在者 大阪 太郎
昭和50年6月〇〇日生
令和3年12月〇〇日失踪宣告取消審判確定

大阪家庭裁判所裁判所書記官

失踪宣告の取消しについては、下記の記事を参考にしてください。

 

5.さいごに

失踪宣告の申立てをすると、官報による公告が2回行われます。

  • 失踪宣告に関する届出のお知らせ
  • 失踪宣告確定のお知らせ

失踪宣告の官報公告は2回

いずれの官報公告も裁判所が行うので、申立人が何かするわけではありません。

普段の生活で官報を見ることは少ないですが、失踪宣告を検討していると興味がわきます。どのような内容が掲載されているか参考にしてください。