- 2022年11月22日
【成年後見の同意権】類型により有無や範囲が違うので注意!
成年後見人の同意権は類型により有無や範囲が違います。後見人は同意権がありません。保佐人は重要な法律行為について同意権を有しています。補助人は申し立てにより重要な法律行為の一部について同意権が付与されます。
成年後見は法定後見と任意後見の2つに分かれています。法定後見は後見・保佐・補助の3つに分かれています。
成年後見人の同意権は類型により有無や範囲が違います。後見人は同意権がありません。保佐人は重要な法律行為について同意権を有しています。補助人は申し立てにより重要な法律行為の一部について同意権が付与されます。
成年後見の登記がされていないことの証明書は、後見開始の申立てや任意後見監督人の選任申立てに必要です。窓口で請求するなら法務局・地方法務局の本局、郵送で請求するなら東京法務局の後見登録課のみです。
補助人に同意権を付与するには家庭裁判所に申立てが必要です。同意権が付与されているなら、本人が同意を得ずにした行為を取消すことができます。補助人の同意権は保佐人とは違い、民法13条1項の一部だけとなります。
後見登記事項証明書は郵送で請求することもできます。ただし、郵送請求に対応しているのは東京法務局の後見登録課のみです。後見登記事項証明書の種類によって発行手数料が違うので、郵送請求する際は気を付けてください。
任意後見契約は認知症と診断された後でも締結できます。ただし、意思能力が残っていると公証人が判断した場合です。初期の認知症であれば意思能力は残っているでしょう。公証人によって判断が違うので気を付けてください。
任意後見人の報酬額は当事者が自由に決めれます。家族を任意後見人にするなら無報酬も可能です。専門家を任意後見人にするなら事務所により報酬額が違います。報酬額についても任意後見契約書に記載します。
任意後見契約の即効型は初期の認知症等と診断された人も利用できます。任意後見契約締結後すぐに効力を発生させます。即効型であっても任意後見契約書の記載はほとんど同じです。公証人に断られると即効型は利用できません。
任意後見受任者とは任意後見契約の相手方のことです。任意後見契約の効力が発生すると任意後見人に就任します。ただし、効力発生前は任意後見人ではないので、代理権を行使することはできません。任意後見監督人の選任申立てや死亡届をすることはできます。
保佐人にも取消権はあります。ただし、後見人とは違い範囲が限定されています。同意を得ずに行った重要な法律行為のみです。取り消した行為は初めから無効となります。追認や追認とみなされた場合は取り消すことができません。
任意後見人は複数人選ぶことができます。ただし、1人だけ選ぶ場合とは違う問題も発生します。単独代理と共同代理では代理権の行使も違います。複数人選ぶ場合は公証人手数料も増えていきます。デメリットもあるので確認しておいてください。
任意後見人の代理行為は代理権目録に記載された行為のみです。代理権目録に記載されていなければ、任意後見人は代理することができません。代理権目録は2種類あり、どちらかを選んで記載します。記載できない事項もあるので気を付けてください。
成年後見人が本人の不動産を売却するには、居住用か非居住用かで手続きが変わります。居住用不動産であれば家庭裁判所の許可が必要です。非居住用不動産であっても後見監督人が存在すれば同意が必要です。不動産を売却する際は身上配慮義務に注意しましょう。
任意後見契約は公正証書で作成しなければ成立しません。自分たちで書面を作成しても無効となります。公正証書は公証人が作成します。公証人手数料も発生するので確認しておきましょう。まずは任意後見契約の文案を考えましょう。
任意後見受任者も死亡届の届出人になれます。かつては任意後見人しか届出人になれなかったのですが、法改正により届出人になれます。死亡届を役所に提出する際は、登記事項証明書または任意後見契約書を提出する必要があります。忘れずに原本還付しておきましょう。
補助人に代理権を付与することは可能です。ただし、本人の同意が必要なのと、特定の法律行為であることが条件となります。代理権付与の申立ては、補助開始と同時にする場合と後から追加で申し立てる場合があります。
成年後見を途中で解除することは認められません。本人の判断能力が回復するまで後見は続きます。ただし、後見人に不正な行為がある場合や、著しい不行跡な場合は解任することができます。一度始めた後見は解除できないことを知っておいてください。
任意後見人が本人の居住用不動産を売却するのに家庭裁判所の許可は不要です。ただし、任意後見人が不動産を処分する際は慎重な判断が必要です。本人の利益を害するような売却は避けなければなりません。
任意後見契約の効力を発生させるには、任意後見監督人の選任が必要となります。選任申立てには複数の書類を準備する必要があるので、効率よく集めなければ効力発生までに時間がかかります。管轄家庭裁判所の確認と必要書類をチェックしておいてください。
法定後見の3類型の1つに補助があります。特定の行為について同意権と取消権で援助します。補助の申立てをするには本人の同意が必要です。本人の判断能力が低下する前でも、1人で行うのに不安があれば検討してみてください。
保佐人は重要な法律行為に関しては、同意権と取消権を有しています。重要な法律行為とは、民法第13条第1項各号に定められている行為です。保佐を検討されている場合は、具体的にどのような行為が該当するかを知っておいてください。