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特別失踪|行方不明になった事情により1年で失踪宣告できる

特別失踪
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家族が危難に遭遇して行方不明になっても、生存している可能性が有る限り待ち続けるでしょう。

ですが、行方不明の期間が長期間になると、さまざまな問題が発生します。

  • 相続手続ができない
  • 生命保険金が受け取れない
  • 遺族年金が発生しない

特別な危難に遭遇して行方不明になった場合、危難が去ってから1年以上経過すると失踪宣告の申立てができます。

失踪宣告が認められると、危難が去った時に死亡したとみなされます。

今回の記事では、特別失踪について説明しているので参考にしてください。

1.死亡した可能性が高くても死亡ではない

どんなに死亡した可能性が高くても、生死不明である限り死亡とはなりません。
※認定死亡は除きます。

たとえ乗船していた船が沈没しても、死亡が確認されない限り法律上は死亡となりません。

ですが、法律上で死亡とならない限り相続も発生しないので、不動産の名義などを変えることもできません。

そのような事態を解決する方法が、失踪宣告の制度となります。

失踪宣告には2種類あります。

  • 普通失踪
  • 特別失踪

いわゆる行方不明が普通失踪となります。それに対して、特別失踪は危難に遭遇して行方不明になった場合です。

特別失踪は普通失踪よりも、死亡している可能性が高い場合の失踪宣告です。

 

2.特別失踪の対象となる危難とは

特別失踪の対象となる危難については、民法に記載されています。

第三十条
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

出典:e-Govウェブサイト(民法30条2項)

民法では3つ記載されています。

  • 戦地に臨んだ者
  • 沈没した船舶の中に在った者
  • その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者

その他死亡の原因となるべき危難とは、遭遇すると死亡する可能性が高い危難のことです。

  • 墜落した飛行機に乗っていた
  • 船舶から海中に転落した
  • 山崩れ・雪崩に巻き込まれた
  • 洪水・地震により行方不明になった
  • 断崖から転落した

上記以外でも、生死不明となった原因によっては、特別失踪の対象となる危難になります。

 

3.特別失踪の申立ては危難が去った後1年以上経過してから

失踪宣告(特別失踪)の申立てをするには、危難が去ってから1年以上経過していることが条件となります。

以下は、民法の条文です。

(失踪の宣告)
第三十条
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

出典:e-Govウェブサイト(民法30条2項)

危難が去ってから1年以上経過していないと、失踪宣告の申立てをすることはできません。

たとえ亡くなっている可能性が高くても、特別失踪の申立てをするには1年以上経過している必要があります。

危難が去った時が、いつになるのかは下記の記事で説明しています。

 

4.特別失踪により死亡とみなされるのは危難が去った時

特別失踪により死亡とみなされる日は、危難が去った時です。

以下は、民法の条文です。

(失踪の宣告の効力)
第三十一条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

出典:e-Govウェブサイト(民法31条)

特別失踪を申し立てるには、危難が去ってから1年以上経過している必要があります。

ですが、死亡とみなされる日は、危難が去った時となります。

特別失踪により死亡とみなされる日

死亡とみなされる日が相続開始日となります。

申立てができる日と死亡とみなされる日が違うので、間違えないように気をつけてください。

 

5.特別失踪により相続は開始する

特別失踪は危難が去った時から1年以上経過していれば、家庭裁判所に申立てをすることができます。

ただし、失踪宣告の申立てが認められると、危難が去った時に死亡とみなされるので、相続はすでに開始していることになります。

危難が去った時より後に亡くなった人がいる場合は、以下の2つに注意しましょう。

  • 代襲相続の発生
  • 遺産分割協議の参加者変更

【代襲相続の発生】

行方不明者の親や兄弟姉妹が亡くなっていると、代襲相続の可能性があります。

死亡とみなされる日が親や兄弟姉妹の死亡日より前であれば、代襲相続が発生していないか確認してください。

【遺産分割協議の参加者変更】

死亡とみなされる日より後に相続人が亡くなっていると、遺産分割協議の参加者が変更する可能性があります。

遺産分割協議は全員が同意しなければ成立しないので、参加者が変更していないか確認しておきましょう。

 

6.さいごに

どんなに亡くなっている可能性が高くても、死亡が確認されない限り法律上は死亡となりません。

例えば、船乗りが太平洋沖で船から転落して行方不明になっても、法律上は何年経過しても生存扱いとなります。

ですが、法律上で死亡とならない限り相続も発生しません。生命保険金や遺族年金を受け取ることもできません。

特別失踪が認められると、危難が去った時に死亡したとみなされます。

申立ての日と死亡とみなされる日は違うので、相続人を確認する際は気を付けてください。