生死不明者の失踪宣告が認められると、不動産も相続人に移転します。
不動産が生死不明者から相続人に移転したら、忘れずに相続登記も申請しておきましょう。
相続登記を申請する際には、失踪宣告が記載された戸籍謄本が添付書類となります。
今回の記事では、失踪宣告と相続登記について説明しているので、失踪宣告を検討しているなら参考にしてください。
目次
1.失踪宣告により不動産も相続される
失踪宣告が認められると、生死不明者は死亡とみなされます。
生死不明者が死亡とみなされることにより、生死不明者の相続が発生します。
当然ですが、生死不明者の財産に不動産があれば、失踪宣告により不動産も相続されます。
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1-1.生死不明者が登記名義人になっている不動産
生死不明者が登記名義人になっている不動産があれば、失踪宣告により相続登記の申請が可能になります。
失踪宣告による相続であっても、基本的には通常の相続登記と変わりません。
生死不明者が遺言書を作成しているなら、遺言書の内容により相続登記を申請できます。
相続人が複数人存在するなら、遺産分割協議書を作成して単独所有にすることも可能です。
令和6年4月1日から相続登記も義務化されるので、生死不明者が所有している不動産の相続登記を忘れないように注意してください。
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1-2.生死不明者が相続している不動産(名義未変更)
生死不明者が登記名義人になっていなくても、不動産を所有している場合があります。
※共有持分を所有している場合もあります。
例えば、不動産の所有者が亡くなって、生死不明者が相続人になっている場合です。
不動産の登記名義人は元の所有者のままですが、生死不明者に所有権は移転しています。
そして、生死不明者が死亡とみなされると、不動産の所有権は相続人に再度移転します。
生死不明者の両親・祖父母や兄弟姉妹が不動産を所有していた場合は、不動産の名義を確認した方が安全です。
2.死亡とみなされる日によって相続登記の内容が変わる
失踪宣告により死亡とみなされる日は、普通失踪であれば生死不明になってから7年経過した日です。
ただし、死亡とみなされる日によっては、相続登記の内容が変わります。
2-1.不動産を相続する人が死亡日によって変わる
不動産の登記名義人が生死不明者であれば、失踪宣告による死亡日によっては相続人が変わります。
例えば、生死不明者の子どもが亡くなっている場合です。
生死不明者の方が先に亡くなっていれば、子どもが相続したことになります。
一方、子どもの方が先に亡くなっていると、不動産の相続人が変わります。
生死不明者の子どもに子ども(孫)がいれば、代襲相続人として不動産を相続します。
それに対して、生死不明者の子どもに子ども(孫)がいなければ、次順位相続人に相続が移ります。
※他に子どもがいる場合は除きます。
生死不明者の推定相続人が亡くなっている場合、死亡日による相続人の変更に注意してください。
2-2.失踪宣告の死亡日によっては不動産を相続しない
不動産の登記名義人を変更していない場合、失踪宣告による死亡とみなされる日には注意が必要です。
なぜなら、生死不明が長期間に及んでいると、不動産の登記名義人よりも先に亡くなっている可能性があるからです。
失踪宣告により死亡とみなされる日は、失踪宣告の申立日とは一切関係ありません。
失踪宣告が認められたら、登記名義人の死亡日と生死不明者の死亡とみなされる日を比べてください。
司法書士から一言死亡とみなされた人に子どもがいれば、代襲相続が発生することになります。
3.相続登記には失踪宣告の記載がある戸籍謄本を添付
相続登記を申請する際には、失踪宣告の記載がある戸籍謄本(除籍謄本)を添付します。
ただし、失踪宣告の審判が確定しても、家庭裁判所が戸籍謄本の記載を変更するわけではありません。
失踪宣告の審判確定後に、申立人が市役所等に失踪届を提出しなければ、戸籍謄本に失踪宣告は記載されません。
戸籍謄本に失踪宣告の記載がなければ、法務局に相続登記を申請しても却下されます。
したがって、相続登記を申請するなら、以下の順番になります。
- 失踪宣告の審判確定
- 市役所等に失踪届の提出
- 戸籍謄本を取得
- 相続登記の申請
市役所等に失踪届を提出しても、戸籍謄本に失踪宣告が記載されるのに数日かかる場合もあるので、戸籍謄本を取得するなら気を付けてください。
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4.さいごに
生死不明者が不動産を所有していれば、失踪宣告により相続登記も必要になります。
通常の相続登記と違う部分としては、死亡とみなされる日によって不動産の相続人が変わる点です。
生死不明者の親族に亡くなっている人がいるなら、必ず死亡日を確認してください。
相続登記を申請するには、失踪宣告の記載がされた戸籍謄本が必要です。申立人が市役所等に失踪届を提出しないと、戸籍謄本に失踪宣告は記載されないので注意してください。