行方不明になっている期間が長ければ、相続が始まらないので失踪宣告を検討する人もいます。
失踪宣告の申立てをする際には、失踪を証する資料を用意する必要があります。ただし、具体的な資料は指定されていないので、何を用意すればいいのか分かりにくいです。
また、行方不明者の事情によっても、用意する資料に違いがあります。
今回の記事では、失踪を証する資料について説明しているので、申立ての参考にしてください。
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1.失踪宣告には失踪を証する資料が必要
家庭裁判所に失踪宣告の申立てをするには、失踪宣告の申立書だけでなく添付書類も一緒に提出します。
以下が、主な添付書類です。
- 行方不明者の戸籍
- 行方不明者の住民票(戸籍の附票)
- 失踪を証する資料
- 申立人の利害関係を証する資料
添付書類の中でも「失踪を証する資料」が重要な資料となります。
なぜなら、行方不明者の事情によって、失踪を証する資料も変わるからです。
一般的には、以下の3つが失踪を証する資料として利用されています。
- 行方不明者届受理証明書
- 職権消除された住民票(戸籍の附票)
- 返送された行方不明者宛ての手紙
次章からは、3つの資料について説明していきます。
関連記事を読む『【失踪宣告の手続き】申立てをしなければ始まらない 』
2.警察で行方不明者届受理証明書を発行

1つ目の資料は「行方不明者届受理証明書」です。
行方不明者届とは、いわゆる捜索願のことです。
*2010年に正式名称が行方不明者届に変更されました。
親族が警察に行方不明者届を出しているなら、証明書を発行してもらいましょう。家庭裁判所に失踪宣告の申立てをするので必要と伝えてください。
2-1.証明書を発行しない警察署も存在する
行方不明者届を警察に出していても、証明書を発行してくるとは限りません。
以下は、実際にあった例です。
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失踪宣告の申立てをするので、行方不明者届受理証明書が欲しいです。
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普通は失踪宣告なんてしないから、受理証明書は発行できません。
結局、行方不明者届受理証明書は取得できませんでした。
ですが、家庭裁判所に警察が受理証明書を発行しなかった旨を説明して、無事に失踪宣告は認められています。
取得できなくても問題はないので、気にせず申立てを進めてください。
2-2.行方不明者届を出してなくても失踪宣告は認められる
行方不明者届を警察に出していないと、失踪宣告が認められないと勘違いしている人もいます。
ですが、行方不明者届を出してなくても、要件を満たしていれば失踪宣告は認められます。
そもそも、戸籍を取得して初めて行方不明に気付くケースも多いので、行方不明者届を出していないケースも多いです。
実際、私が受けている失踪宣告では、1割ぐらいしか行方不明者届を出していません。
関連記事を読む『失踪宣告をするのに捜索願(行方不明者届)は必要なのか?』
3.職権消除された住民票(戸籍の附票)を取得


2つ目の資料は「職権消除された住民票(戸籍の附票)」です。
当たり前ですが、行方不明者は住民票上の住所に住んでいません。
そして、自治体が不居住の事実を確認していると、住民票は職権により抹消されています。
住民票が職権消除されていれば、失踪を証する資料として提出できます。
関連記事を読む『住民票が職権消除されている!失踪宣告等にも関係する記載』
3-1.行方不明者の住民票が残っている
行方不明者の住民票が残っている場合もあります。
同じ住所に家族が住んでいるなら、自治体(役所)に不居住の申し出ができます。
その後、居住実態がないことを市区町村職員が現地調査等により確認した場合、職権消除で住民票を除票します。
一方、家族が同じ住所に住んでいない場合は、不居住の申し出ができません。職権消除された住民票は取得できないので、別の資料を用意します。
3-2.住民票の住所が存在するなら現地調査
行方不明者の住民票が残っているなら、現地調査も必要になります。
なぜなら、住民票上は行方不明者が住んでいるからです。
現地調査をするのは、申立人以外でも問題ありません。失踪宣告を専門家に依頼しているなら、現地調査も相談してみましょう。
実際に現地を訪ねて不居住の事実を確認したら、調査報告書に記載して家庭裁判所に提出します。
4.返送された行方不明者宛ての手紙を保管


3つ目の資料は「返送された行方不明者宛ての手紙」です。
行方不明者に連絡を取るために手紙を送ったが、居住していなくて返送された手紙も保管しておきましょう。返送された手紙も失踪を証する資料として提出できます。
手紙には「あて所に尋ねあたりません」とスタンプが押してあるはずです。
以下は、スタンプの例です。


最後の住所が分からない場合は、行方不明者の戸籍附票を取得してください。最後の住民票上の住所が記載されています。
4-1.住民票が職権消除なら手紙は不要
住民票が職権消除されているなら、手紙の郵送は不要です。
自治体(役所)が不居住の事実を確認しているので、改めて確認する必要はありません。
「職権消除された住民票(戸籍の附票)」を失踪を証する資料として提出します。
4-2.住民票が存在するなら手紙も出す
住民票が存在する場合、現地調査だけでなく手紙も出してください。
なぜなら、行方不明者が転居届(転送届)を出している可能性があるからです。
本来であれば、不在の住所に手紙を送っても「あて所に尋ねあたりません」で返送されます。
※本人受取で郵送する等の工夫も必要。
ただし、郵便物が返送されなければ、転居届を疑ってください。
※期間は1年だが延長回数に制限は無い。
転居届の有無を確認するなら、2回目は「転送不要」で郵送してください。転居届が出されていれば、返送されるので分かります。
※追跡可能の郵便で出す方法もある。
5.その他の失踪を証する資料も用意


3つの資料以外にも用意できるものがあれば、できる限り集めておきましょう。
以下は、その他の失踪を証する資料です。
- 家族の陳述書(経緯の説明等)
- 行方不明者との通話・LINE・メールの履歴
- 捜索願を掲載した新聞
- 探偵等の調査報告書
- 不在者財産管理人の選任決定書
失踪宣告の申立てをする際は、無駄かどうかを気にせず色々な資料を集めておいてください。
6.まとめ


今回の記事では「失踪を証する資料」について説明しました。
失踪宣告の申立てをするには、失踪を証する資料の添付が必要になります。
失踪を証する資料は特に指定されていませんが、以下の3つが有名です。
- 行方不明者届受理証明書
- 職権消除された住民票(戸籍の附票)
- 返送された行方不明者宛ての手紙
上記3つ以外でも失踪を証する資料があれば用意しておきましょう。
失踪を証する資料に関するQ&A
- 行方不明者届を出してなくても大丈夫ですか?
-
問題ありません。
- 転居届が出されていると問題がありますか?
-
1年以内に生存している証明になります。