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失踪宣告を取消すには家庭裁判所の手続きが必要

失踪宣告の取消し
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失踪宣告が認められると、失踪者は死亡とみなされます。戸籍謄本にも死亡とみなされた日が記載されます。

ですが、失踪者が生存していることもありますし、別の日に死亡していたことが判明することもあります。

失踪者の生存が確認されても、自動的に失踪宣告が取り消されるわけではないです。失踪宣告を取消すには、失踪宣告の取消の申立てをする必要があります。

今回の記事では、失踪宣告の取消しについて説明しているので、失踪宣告の参考にしてください。

1.失踪宣告の取消事由は2つ

失踪宣告の審判が確定すると、失踪者は死亡とみなされます。審判確定後に失踪届を提出すると、戸籍にも死亡とみなされた日が記載されます。

ですが、失踪宣告には取消事由もあります。

(失踪の宣告の取消し)
第三十二条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。

出典:e-Govウェブサイト(民法32条)
  • 失踪者の生存が確認された
  • 失踪者が別の日に亡くなっていた

上記に該当すると、失踪宣告を取り消す必要があります。

1-1.失踪者の生存が確認されたら取消し

失踪宣告により死亡とみなされても、本人が生存している場合もあります。

あくまでも、亡くなっている可能性が高いので、死亡とみなしているだけです。失踪宣告に気付かないまま生活している人も、世の中には少なからず存在しています。本人の権利能力は制限されていないので、売買等の契約も有効に成立します。

ですが、生存しているのに失踪宣告がされると、行政サービス等を受けることができません。住民票や戸籍謄本等が必要になっても、死亡したことになっています。

戸籍謄本の記載を元に戻すには、失踪宣告の取消しの申立てをする必要があります。

1-2.失踪者が別の日に亡くなっていたら取消し

失踪宣告が認められた後に、失踪者の死亡が判明することもあります。

ただし、失踪者の「死亡日」と「死亡とみなされた日」は一致しないはずです。
※一致しているなら取消しの必要はありません。

正しい死亡日を戸籍謄本に記載するには、失踪宣告の取消しの申し立てが必要になります。

 

2.失踪宣告の取消しには申立てが必要

失踪宣告により死亡とみなされた人の生存が確認されても、自動的に失踪宣告が取消しになるわけではありません。

失踪宣告を取り消すには、家庭裁判所に対して取消しの申し立てをする必要があります。

2-1.失踪宣告取消の申し立て手続き

家庭裁判所に申し立てをする前に確認しておいてください。

申立先の家庭裁判所

失踪者の住所地を管轄する家庭裁判所です。

申立人は限られる

取消しの申立てができるのは以下の人です。

  • 本人
  • 利害関係人

配偶者や相続人が利害関係人に該当します。

申立費用

申立て費用は以下のとおりです。

  • 収入印紙(800円)
  • 予納切手
    *家庭裁判所により違います。
  • 官報公告料

必要書類

必要な書類は以下のとおりです。

  • 申立書
  • 失踪者の戸籍謄本および戸籍附票
  • 取消事由を証する書類
  • 失踪者の写真

利害関係人が申し立てる場合は以下も追加です。

  • 申立人の戸籍謄本
  • 利害関係を証する書類

2-2.失踪宣告取消の審判確定までの流れ

失踪宣告取消の申立てから審判確定までの流れです。

  1. 失踪宣告の取消しの申立て
  2. 家庭裁判所の審理
  3. 失踪宣告の取消しの審判決定
  4. 失踪宣告の取消しの審判確定
    *審判決定から2週間経過で確定

家庭裁判所の審理では、本当に同一人物かどうかを調査します。本人に対する聞き取り調査もあります。

審判決定から2週間が経過すると審判確定となります。確定すると裁判所書記官が官報に公告をします。

ただし、失踪宣告の取消しの審判が確定しても、戸籍謄本の記載は変更されません。市区町村役場への届出は別に必要です。

 

3.失踪宣告取消の審判確定後に取消しの届出

失踪宣告の取消しを戸籍に反映させるには、取消しの届出をする必要があります。

ちなみに、審判確定から10日以内となりますので、準備等は早めにしておいてください。

【届出者】

取消しの届出ができるのは、失踪宣告の取消しの申立人です。

【届出先】

届出先は以下のどちらかです。

  • 失踪宣告を取消した人の本籍地
  • 届出人の住所地

上記の市区町村役場に届出ます。

【必要書類】

  • 失踪宣告取消届
  • 審判書
  • 確定証明書

本籍地以外の市区町村役場に届出の場合は、戸籍謄本等も必要になるはずです。あらかじめ、市区町村役場に確認しておいてください。

 

4.さいごに

今回の記事では「失踪宣告の取消し」について説明しました。

失踪宣告が認められると、失踪者は死亡とみなされます。

ですが、認められた失踪宣告を取消す場合もあります。

  • 失踪者の生存が確認された
  • 失踪者が別の日に亡くなっていた

取消事由に該当する可能性は低いですが、判明した場合は取消しの申立てをする必要があります。

取消の審判が確定した後は、市区町村役場に取消しの届出をしてください。自動的に戸籍が変更されるわけではありません。