失踪宣告の流れ|審判確定までには8ヶ月から1年ぐらい必要

失踪宣告までの流れ
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失踪宣告の申立てを家庭裁判所にしても、すぐに審判が確定するわけではありません。

むしろ、申立ての準備をする期間よりも、申立てをしてからの方が長いです。

一般的には、申立てから審判確定まで8ヶ月から1年ぐらいかかります。
※事情によっては1年以上かかるケースもある。

今回の記事では、失踪宣告の流れについて説明しているので、申立てを検討しているなら参考にしてください。

目次

1.失踪宣告の流れは申立てからスタート

失踪宣告の流れは申立てから始まる

失踪宣告の流れは、家庭裁判所への申立てから始まります。

誰かが申立てをしない限り、失踪宣告は始まりません。

まずは、以下を確認してください。

  • 行方不明の期間を満たしているか
  • 管轄家庭裁判所は最後の住所地
  • 失踪宣告の申立書作成
  • 添付書類(戸籍等)の収集

必要な書類等の準備が済んだら、管轄家庭裁判所に失踪宣告の申立てをします。

失踪宣告の申立て手続きについては、下記の記事で詳しく説明しています。

2.家庭裁判所が行方不明者の調査開始

失踪宣告の申立てがあれば調査を開始

家庭裁判所は申立て書類等に問題がなければ、行方不明者の調査を開始します。

2-1.行方不明者の登録情報を確認

家庭裁判所は情報登録機関に対して、行方不明者の情報が登録されていないか確認します。

  • 運転免許センター
  • 警察等
  • ハローワーク
  • 出入国管理局

免許更新や交通違反等の記録により、行方不明者の生存が確認されるケースはあります。

登録情報により行方不明期間を満たさなくなると、申立ては却下されます。

2-2.行方不明者の親族等に聞き取り

親族等に対して行方不明になった経緯を聞きます。

書類等の追加提出を求められるケースもあるので、関係書類はあらかじめ集めておきましょう。

聞き取り等を行ったうえで、失踪宣告の手続きを進めるかどうかの判断をします。

3.官報公告で失踪宣告の流れも折り返し

失踪宣告の調査が終われば官報公告二映る

家庭裁判所は行方不明者の調査終了後に、一定期間を定めて「失踪に関する届出の催告」という公告をします。

公告

官報・新聞・掲示等により、ある事項を広く一般に知らせること

公告は官報に掲載され、裁判所の掲示場にも掲示されます。

3-1.失踪に関する届出の催告の内容

失踪宣告の官報公告は家庭裁判所がするので、申立人は何もしなくて大丈夫です。

一応、以下に内容を記載しておきます。

  • 失踪宣告の申立てがあったこと
  • 本人は生存の届出をしてください
  • 届出がなければ失踪宣告がされます
  • 生存を知っている人は届出をしてください
  • 申立人と行方不明者の氏名・住所等

上記が一定期間を定めて官報等に掲載されます。

3-2.公告期間は普通失踪と特別失踪で違う

失踪宣告の公告期間は、普通失踪と特別失踪で違います。

普通失踪であれば、3ヶ月から4ヶ月の間で公告期間が設定されます。

特別失踪の方が短いのは、生存の可能性が低いからです。

4.失踪宣告の審判決定・確定

失踪宣告の審判には決定と確定が必要

公告期間内に行方不明者等から生存の届出がなければ、家庭裁判所は失踪宣告の審判をします。

4-1.申立人に審判決定書が郵送される

失踪宣告の審判が決定すると、申立人に対して審判決定書(謄本)が郵送されます。

ただし、審判決定書が届いて終わりではなく、審判確定を待つ必要があります。

4-1.審判確定までには2週間必要

失踪宣告の審判決定から、2週間内に「即時抗告」がなければ審判は確定します。

即時抗告

裁判所の決定に対する不服申し立てのこと

失踪宣告の審判が確定すると、裁判所書記官は官報への掲載と行方不明者の本籍地役所へ通知します。

注意本籍地の役所へ通知されても、戸籍の記載は変更されません。

5.失踪宣告による戸籍の変更手続き

失踪宣告の審判が確定したら失踪届の提出

失踪宣告の審判が確定しても、行方不明者の戸籍は変更されません。失踪届の提出をする必要があります。

以下は、戸籍法の条文です。

第六十三条 認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
第九十四条 第六十三条第一項の規定は、失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判が確定した場合においてその裁判を請求した者にこれを準用する。この場合には、失踪宣告の届書に民法第三十一条の規定によつて死亡したとみなされる日をも記載しなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(戸籍法63条・94条)

失踪届は審判確定日から10日以内に提出しなければいけません。

失踪届を提出することで、行方不明者の戸籍に「死亡とみなされた日」が記載されます。

5-1.確定証明書が添付書類となる

失踪宣告が確定したら確定証明書を取得しましょう。失踪届の提出に必要となります。

確定証明書の申請書に収入印紙150円を貼り、返送用封筒(切手貼)を同封して送付します。

ちなみに、審判書謄本が送達されたら申請書を前もって送付しておきましょう。確定後に確定証明書を送付してもらえるので、時間短縮にもなります。

司法書士から一言審判決定書と一緒に確定証明書の申請書も送ってくれるケースが多いです。

5-2.失踪届の提出

失踪届の提出先は、以下を管轄する市区町村役場に限られます。

  • 失踪者の本籍地
  • 申立人の住所地

どちらかの市区町村役場に失踪届を提出します。

以下は、失踪届の提出に必要な書類です。

  • 失踪届(市役所で取得できる)
  • 審判書謄本
  • 確定証明書

審判決定書が届いたら、先に失踪届を取得しておきましょう。

6.失踪宣告が記載された戸籍を取得

失踪宣告の最後は戸籍を取得

失踪届を提出したら、失踪宣告が記載された戸籍を取得しましょう。

失踪宣告をする理由の大半は相続手続きなので、戸籍も必要になるからです。

戸籍を取得した際は、「死亡とみなされた日」が記載されているか確認しておいてください。

7.まとめ

失踪宣告の流れは申立てから戸籍取得まで

今回の記事では「失踪宣告の流れ」について説明しました。

失踪宣告の申立てをしてから、審判確定には10ヶ月から1年ほどかかります。

ただし、審判確定で終わりではなく、失踪届の提出も忘れずに行ってください。

その後、失踪宣告が記載された戸籍を取得したら、相続手続きを進めてください。

失踪宣告を専門家に相談する場合でも、流れを理解しておけば、説明が理解しやすくなるはずです。

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