生死不明者の失踪宣告が確定しても、本人が生存している限り権利能力に影響はありません。
法律上は死亡とみなされても、日常の買い物などは今までどおり可能です。
失踪宣告と権利能力に直接の繋がりはないので、失踪宣告を検討しているならご安心ください
今回の記事では、失踪宣告と権利能力について説明しているので、失踪宣告に疑問があれば参考にしてください。
1.失踪宣告により死亡とみなされる
生死不明の人に対する失踪宣告が確定すると、法律上は死亡とみなされます。
生死不明の人が死亡とみなされると、相続が発生したり生命保険金の受取ができるようになります。
ただし、生死不明者が生存している場合もあります。家庭裁判所が調べるのは各種記録なので、記録を残していない人は見つけにくいからです。
当然ですが、失踪宣告により死亡とみなされても、本人が生存していれば日常生活を過ごしています。
失踪宣告の申立人にとって気になるのは、失踪宣告により本人の日常生活に支障があるかどうかです。
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2.生存していれば権利能力は消滅しない
権利能力は出生により発生し、死亡により消滅します。
- 権利能力
- 権利義務の主体となることのできる地位または資格のこと
たとえ失踪宣告を受けていたとしても、生存していれば本人の権利能力に影響はありません。
なぜなら、失踪宣告により法律上は死亡とみなされますが、生存している限り権利能力は消滅しないからです。
失踪宣告と権利能力に直接の繋がりはありません。失踪宣告に関係なく、生存していれば権利能力はありますし、死亡していれば権利能力は消滅しています。
例えば、失踪宣告の審判が確定しても、本人はスーパーやコンビニで買い物をすることができます。
本人の知らない間に失踪宣告の手続きが済んでいても、本人が今までどおりの生活を続けている限り、失踪宣告に気付くことは難しいです。
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3.戸籍謄本を取得する際に気付く
失踪宣告が確定しても権利能力に影響がないので、本人は失踪宣告に気付きにくいです。
ただし、何らかの理由で戸籍謄本等が必要になると、失踪宣告に気付きます。窓口等で取得しようとすると、失踪宣告を受けていることを指摘されるはずです。
過去の事例を調べると、生活保護の申請手続きをする際に気付いているようです。
戸籍謄本に記載された失踪宣告については、窓口等で本人であることを主張しても消すことはできません。法律上は死亡とみなされたままです。
失踪宣告を取消すには、家庭裁判所に失踪宣告の取消しの申立てして、取消の審判確定後に役所で手続きをします。
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4.さいごに
失踪宣告が確定しても、本人が生存している限り権利能力は消滅しません。
法律上は死亡とみなされても、スーパーやコンビニで買い物をすることもできます。本人が普段どおりの生活を続けている限り、失踪宣告に気付くことは難しいでしょう。
本人が失踪宣告に気付くとしたら、役所等で戸籍謄本を取得する際です。戸籍謄本には失踪宣告が記載されるので、窓口で指摘されるでしょう。
失踪宣告の申立てをしても、本人の日常生活には影響がありません。あくまでも、法律上は死亡とみなされるだけです。