相続放棄をするための手続きは、どのようにするのかご存知でしょうか。
相続放棄は相続の開始を知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所への申述が必要となります。
3カ月を経過してしまうと相続が確定するので、亡くなった人に借金があれば相続することになります。
今回の記事では、相続放棄の手続きについて説明しているので、相続放棄を検討しているなら参考にしてください。
目次
- 家庭裁判所への申述が必要
- 相続の開始を知った日から3ヶ月以内に提出
- 必要な戸籍謄本等の収集
- 相続放棄申述書を提出した後の流れ
- 家庭裁判所から照会書が届くこともある
- 相続放棄申述受理通知書が届く
- 相続放棄の手続きで気を付ける点
- 単純承認とみなされないように注意
- 財産調査に時間がかかるなら期間延長
- 財産が見つかっても撤回はできない
- 相続分の放棄とは違う
- さいごに
1.家庭裁判所への申述が必要
相続放棄をするには、家庭裁判所への申述が必要となります。
(相続の放棄の方式)
第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
家庭裁判所の申述では、以下の2つが重要です。
- 3ヶ月の期間内に提出
- 必要な戸籍謄本等の収集
1-1.相続の開始を知った日から3ヶ月以内に提出
相続放棄は相続の開始を知った日から3ヶ月以内となります。
知った日からなので、亡くなったことを知らなければ3ヶ月の期間は経過しません。
知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所へ申述書を提出すれば大丈夫です。
家庭裁判所の管轄
亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所が遠方であれば、郵送で提出しても問題ありません。
手続きに必要な費用
手続きに必要な費用は以下になります。
- 収入印紙(800円)
- 予納切手(約500円)
収入印紙は郵便局で購入できます。400円を2枚購入するのが分かりやすいです。
予納切手は家庭裁判所ごとに違うので、管轄家庭裁判所に確認した方が良いでしょう。
1-2.必要な戸籍謄本等の収集
相続放棄の申述書を提出する際に、戸籍謄本等を一緒に提出します。
必要な戸籍謄本等は相続人ごとに違います。
例えば、子どもが相続放棄する場合は、以下の戸籍謄本等を提出します。
- 亡くなった人の戸籍謄本(除籍謄本)
- 亡くなった人の住民票
- 相続放棄する人の戸籍謄本
戸籍謄本等は本籍地の役所でしか取得できないので、本籍地が遠方の場合は気を付けてください。
*郵送でも取得できます。
必要な戸籍謄本等については、下記の記事を参考にしてください。
関連記事を読む『相続放棄に必要な戸籍謄本等|取得枚数は相続人ごとに違う』
2.相続放棄申述書を提出した後の流れ
3ヶ月の期間内に提出した後は、家庭裁判所からの連絡を待ちます。
- 照会書が届くこともある
- 相続放棄受理通知書が届く
2-1.家庭裁判所から照会書が届くこともある
家庭裁判所から照会書(回答書)が届くこともあります。
*省略されることもある。
相続放棄をしている人が、本人かどうかを確かめるためです。
質問事項は家庭裁判所により違いますが、以下のような質問があります。
- 相続放棄で間違いないか
- 亡くなったことを知った日
- 亡くなった人の財産
- 相続放棄の理由
回答書に記入して裁判所に返送してください。
関連記事を読む『相続放棄の照会書(回答書)を記載する際のポイントは3つ』
2-2.相続放棄申述受理通知書が届く
家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届けば、相続放棄の手続きは終了となります。
相続放棄をした後に借金の返済を迫られたときは、通知書のコピーを提出すれば相続放棄をしたことは伝わります。再発行してくれないので、コピーを取っておきましょう。
受理通知書ではなく受理証明書を取得したい場合は、別の手続きが必要になります。
受理証明書が必要な場合は、下記の記事をご覧ください。
関連記事を読む『相続放棄申述受理証明書が必要になる場面は少ない』
3.相続放棄の手続きで気を付ける点
相続放棄の手続きにも気を付ける点があるので、一度は確認しておいてください。
- 単純承認とみなされないように注意
- 財産調査に時間かかるなら期間延長
- 財産が見つかっても撤回はできない
- 相続分の放棄とは違う
3-1.単純承認とみなされないように注意
単純承認とみなされると、相続放棄は認められません。
- 3ヶ月以内に相続放棄をしなかった
- 相続財産を処分した
- 相続財産を故意に隠した
- 遺産分割協議に合意した
上記以外でも、単純承認とみなされることはあるので、行動には気を付けてください。
関連記事を読む『相続放棄が認められない|単純承認とみなされる3つの行為』
3-2.財産調査に時間がかかるなら期間延長
亡くなった人の財産が遠方にある場合等は、財産を調査するのに時間がかかります。
財産調査に時間がかかりそうな場合は、期間延長の申立てをすることも可能です。
ただし、期間延長の申立ても3ヶ月以内となります。
関連記事を読む『相続放棄の期間延長|財産調査の時間を延ばす方法』
3-3.財産が見つかっても撤回はできない
相続放棄が受理されると、3ヶ月以内であっても撤回はできません。
- 財産が見つかった
- 気が変わった
- 借金が無かった
上記のような理由であっても、相続放棄の撤回が認められることはありません。
関連記事を読む『相続放棄の撤回は無理だが取消し事由があれば取消しは可能』
3-4.相続分の放棄とは違う
相続放棄に似た言葉として、相続分の放棄があります。
相続分の放棄とは、遺産分割協議において自分の相続分を放棄することです。
ですが、相続分の放棄をしても、相続人であることに変わりはないので、借金等は相続することになります。
相続をしたくないのであれば、相続放棄の手続きをする必要があります。
関連記事を読む『相続放棄と相続分の放棄は違う|間違えると相続が確定する』
4.さいごに
相続放棄の手続きは、相続人であることを知った日から3ヶ月以内となります。
3ヶ月以内に必要な戸籍謄本等を収集して、管轄家庭裁判所に申述書と一緒に提出します。
亡くなった人の本籍地が遠方であったり、亡くなった人と疎遠であった場合は、戸籍謄本等を集めるのに時間がかかります。
ご自身で相続放棄の手続きをすることも可能ですが、時間に余裕が無ければ早めに司法書士にご依頼ください。