相続放棄を自分でしたいが、必要な戸籍謄本等が分からず困っていませんか。
実は、相続放棄に必要な戸籍謄本等は、誰が相続放棄するかによって枚数が違います。
配偶者や子どもが相続放棄する場合は少ないですが、兄弟姉妹や甥・姪が相続放棄する場合は枚数も多いです。
自分で相続放棄の手続きをする場合は、戸籍謄本の取得時間も計算に入れておく必要があります。
今回の記事では、相続放棄に必要な戸籍謄本について説明しているので、ご自身で相続放棄をする際の参考にしてください。
目次
1.基本となる戸籍謄本等は3つ
誰が相続放棄をする場合でも、必要となる戸籍謄本等が3つあります。
- 亡くなった人の戸籍謄本(除籍謄本)
- 相続放棄する人の戸籍謄本
- 亡くなった人の住民票(除票)または戸籍の附票
それぞれ説明していきます。
1-1.亡くなった人の戸籍謄本等で死亡を証明
被相続人が亡くなっていることを証明するために、戸籍謄本または除籍謄本が必要です。
配偶者が生存している場合や、子どもが一緒の戸籍にいる場合は、亡くなった人の戸籍謄本(450円)を取得します。
一方、亡くなった人の戸籍に誰もいない場合は、除籍謄本(750円)を取得します。
気を付ける点としては、死亡記載が載っている戸籍謄本等取得することです。
死亡届を提出した市役所等が本籍地の市役所等から離れていると、戸籍に死亡が反映されるまで少し時間がかかります。
戸籍謄本等を取得した際は、死亡記載が載っているか確認しておきましょう。
1-2.相続放棄する人の戸籍謄本
相続放棄する人が相続人であることを証明するために提出します。
相続放棄する人の戸籍謄本(450円)を取得します。
亡くなった人と同じ戸籍の場合は、改めて取得する必要はありません。
1-3.亡くなった人の住民票(除票)で管轄の確認
亡くなった人の最後の住民票(除票)を提出します。
なぜかというと、最後の住所地が相続放棄の管轄を決めるからです。家庭裁判所は住民票(除票)で管轄を確認します。
発行手数料は自治体により違いますが約300円です。
亡くなった人の最後の住所地が不明な場合は、戸籍の附票を取得して提出します。
戸籍の附票にも住民票上の住所が記載されているので、家庭裁判所は管轄を確認することができます。
関連記事を読む『相続放棄の管轄は亡くなった人の最後の住所地で決まる』
2.亡くなった人との続柄により戸籍謄本は増える
誰が相続放棄をするかにより、必要な戸籍謄本等は増えていきます。
ただし、配偶者と子どもが相続放棄する場合は、【1.基本となる戸籍謄本等】で説明した分で大丈夫です。
以下の4つについて説明していきます。
- 孫
- 直系尊属
- 兄弟姉妹
- 甥・姪
2-1.孫が相続放棄するなら代襲相続を証明
亡くなった人の孫が代襲相続人として、相続放棄する場合は戸籍謄本が少しだけ増えます。
本来の相続人が亡くなっていることを証明するために、戸籍謄本または除籍謄本が追加となります。
当然ですが、本来の相続人の死亡記載が載っている戸籍謄本(除籍謄本)が必要です。
関連記事を読む『相続放棄を孫がする|親が亡くなっているなら注意』
2-2.直系尊属(両親)から戸籍謄本の枚数が増える
直系尊属(両親)が相続放棄する場合は、戸籍謄本等の枚数が増えるので気を付けてください。
亡くなった人の『出生から死亡までの戸籍謄本等』が追加となります。
なぜかというと、、第1順位の相続人が存在しないことを証明するには、すべての戸籍謄本等を確認しなければならないからです。
自分で相続放棄の手続きをする場合は、役所の窓口で亡くなった人の戸籍謄本等がすべて必要と伝えてください。
2-3.兄弟姉妹の相続放棄はさらに増える
兄弟姉妹が相続放棄する場合は、直系尊属が相続放棄する場合より増えます。
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本等と両親の死亡記載のある戸籍謄本等が追加となります。
第1順位の相続人が存在しないのと、第2順位の相続人が亡くなっていることを証明するためです。
注意両親の生年月日によっては、祖父母の死亡記載のある戸籍謄本が必要な場合もあります。
2-4.甥・姪の相続放棄が一番多い
甥・姪が相続放棄する場合は、戸籍謄本等の枚数が一番多くなります。
兄弟姉妹の死亡記載のある戸籍謄本等も提出します。
集める戸籍謄本等の枚数が10枚近くになることもあり、戸籍謄本の収集に時間がかかります。
できれば、専門家に依頼した方が安全です。
3.本籍地が不明な場合は追加で取得
戸籍謄本を取得するには、前提として本籍地を知っておく必要があります。
本籍地が不明な場合は、追加で書類を取得して調べます。
- 自分の本籍地が不明
- 亡くなった人の本籍地が不明
3-1.自分の本籍地が不明なら住民票で確認
自分の本籍地が不明な場合は、本籍地記載の住民票を取得することで、本籍地を確認することができます。
昔は免許証に本籍地が記載されていたのですが、今は記載されていないので忘れている人も少なくありません。
あるいは、引っ越しをした際に本籍地を変更したのか忘れている人もいます。
3-2.亡くなった人の本籍地が不明なら方法は2つ
亡くなった人との関係が疎遠だと、本籍地が不明なことは珍しくありません。
本籍地を調べる方法は2つあります。
- 住民票で調べる
- 戸籍を辿って調べる
亡くなった人の住民票から調べる
亡くなった人の最後の住所地を知っているなら、本籍地記載の住民票(除票)を取得して調べます。
戸籍を辿って調べる
最後の住所地も不明な場合は、自分の戸籍謄本を取得して辿っていきます。あなたの戸籍を辿っていけば、亡くなった人の戸籍に辿りつけます。
ただし、亡くなった人の戸籍によっては、何枚も辿る必要があるので気を付けてください。
4.同じ戸籍謄本は1枚で大丈夫
相続放棄を複数人でする場合や、先順位の相続人が相続放棄している場合は、同じ戸籍謄本等は1枚で大丈夫です。
つまり、亡くなった人の戸籍謄本等や亡くなった人の除住民票は、1枚提出するだけで問題ありません。
専門家に相続放棄を依頼する場合、2人目以降がサービス価格になっているのは、必要な戸籍謄本等が省略できるからです。
相続放棄を検討している場合は、まとめて依頼する方が1人当たりの料金は低くなります。
5.さいごに
相続放棄に必要となる戸籍謄本等の枚数は、誰が相続放棄するかで違います。
ですので、正確な枚数は集めてみなければ分かりません。取得する戸籍謄本等が増えるほど、準備の時間も増えていきます。
相続放棄は亡くなったことを知った日から3ヶ月以内です。準備に時間がかかってしまうと、3ヶ月の期間を超える危険もあります。
相続放棄は期間内に提出することが、認められることの大前提になっています。時間が無い場合は、司法書士に依頼してください。