相続放棄のデメリット|4つの不利益を確認してから判断しよう!

相続放棄のデメリット
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相続放棄について調べると、「デメリット」や「注意点」が同じように扱われている記事を多く見かけます。

しかし、デメリットは「制度上、避けることのできない不利益」、注意点は「行動次第で回避できるリスク」であり、意味は異なります。

本記事では、相続放棄をするかどうか判断するための材料として、デメリット(制度上の不利益)のみを説明しています。手続きや期限などの注意点については扱っていません。

なお、相続放棄をするかどうか迷っている場合には、相続放棄をしない方が良い典型的なケースもあわせて確認しておくと判断の参考になります。

👉 「相続放棄をしない方が良いケース」を確認する

デメリットを理解したうえで相続放棄を選ぶ場合は、別記事の「相続放棄の注意点」を必ず確認してください。

記事作成者
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目次

相続放棄のデメリット(1)プラスの財産も相続できない

相続放棄した人は何も相続できないことを表す図

デメリット1つ目は、プラスの財産も相続できないです。

相続放棄すると、借金などマイナスの財産だけでなく、預貯金や不動産といったプラスの財産も相続できません。

なぜなら、相続放棄とは「不要な財産」を放棄する手続きでなく、相続権そのものを放棄する手続きだからです。

1-1.相続権を失うので何も相続できない

相続放棄すると、初めから相続人ではなかったとみなされます。

以下は、民法の条文です。

(相続の放棄の効力) 第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
出典:e-Govウェブサイト(民法939条)

相続放棄した人は相続人ではないので、負債(借金等)だけでなく預貯金や不動産も相続できません。

相続財産単純承認相続放棄
預貯金相続相続しない
不動産相続相続しない
借金相続相続しない

相続放棄すると借金を相続しない点はメリットですが、預貯金や不動産も相続できなくなる点はデメリットです。

相続放棄は、財産を選んで放棄する手続きではなく、相続権を放棄する手続きだと覚えておいてください。

1-2.知らなかった財産も相続できない

相続放棄すると相続人ではないので、知らなかった財産があっても相続できません。

相続財産単純承認相続放棄
知らなかった
預貯金
相続相続しない
知らなかった
不動産
相続相続しない
知らなかった
借金
相続相続しない

知らなかった借金を相続しない点はメリットですが、知らなかった預貯金や不動産も相続できない点はデメリットです。

相続放棄すると相続人ではなくなるので、知らなかった財産も含めて相続できなくなります。

1-3.遺留分侵害額請求権も失ってしまう

相続放棄した人は、「遺留分侵害額請求権」も失ってしまいます。

遺留分侵害額請求権

自分の遺留分が侵害されている場合に金銭を請求する権利

遺留分は相続人の権利なので、相続放棄した人には遺留分もないからです。

もし遺留分侵害額請求権の行使を検討しているなら、相続放棄はデメリットになります。

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相続放棄のデメリット(2)次順位に相続権が移る

相続放棄により相続人が変更が起こることを表す図

デメリット2つ目は、次順位の相続人に相続権が移るです。

先順位の相続人が全員相続放棄すると、相続権は自動的に次順位の相続人へ移ります。

相続放棄するかは本人の自由なのですが、次順位の相続人も関係するのがデメリットです。

2-1.先順位が全員放棄すると次順位が相続人

先順位相続人が全員相続放棄すると、自動的に次順位相続人へ相続権が移ります。

以下は、相続順位を表した図です。

法定相続人の順位を表した図

第1順位の相続人である子が全員相続放棄すると、第2順位の直系尊属に相続権が移ります。
※直系尊属が亡くなっている場合は第3順位に移る。

第2順位の相続人である直系尊属が全員相続放棄すると、第3順位の兄弟姉妹に相続権が移ります。

第1順位や第2順位の相続人からすると、順位変更による相続権の移動はデメリットです。

2-2.財産が不要なら次順位も相続放棄が必要

先順位相続人から次順位相続人に相続権が移った場合、財産が不要なら次順位相続人も相続放棄が必要になります。

もし次順位相続人が手続きをしなければ、不要な財産(借金や負動産)を相続してしまうからです。

次順位相続人は相続権の移動を拒否できないので、財産が不要なら相続放棄しなければいけません。

先順位の相続放棄で次順位も手続きが必要になる点はデメリットです。

相続放棄のデメリット(3)有効に成立した後は撤回できない

相続放棄の撤回は認められないことを表す図

デメリット3つ目は、有効に成立した後は撤回できないです。

相続放棄が家庭裁判所により受理されると、事情に関わらず撤回できません。

したがって、取りあえず相続放棄するという一時的な判断ではなく、一度限りの判断が必要になります。

3-1.やり直しは法律で禁止されている

相続放棄の撤回が認められないのは、法律で禁止されているからです。

以下は、民法の条文。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。

出典:e-Govウェブサイト(民法919条)

相続放棄の申述が家庭裁判所に受理されると、3ヶ月以内(915条1項の期間内)であっても撤回できません。

相続放棄の判断が一度しか認められない点は、相続人からするとデメリットになります。

3-2.後から財産が見つかっても撤回できない

相続放棄した後に財産が見つかっても撤回はできません。

見つかった財産が高額であっても結論は同じです。もし他に相続人(相続放棄しなかった人)がいるなら、見つかった財産は他の相続人が取得します。

撤回できないというデメリットがある以上、亡くなった人に財産があるかは慎重に判断する必要があります。

相続放棄のデメリット(4)生命保険金等の非課税枠が適用されない

デメリット4つ目は、生命保険金等の非課税枠が適用されないです。

相続放棄した人が財産を受け取っていれば、相続税の課税対象となります。
※遺贈や生命保険金など。

ですが、相続税の計算上、相続人だけが適用される非課税枠は、相続放棄した人には適用されません。

  • 生命保険金の非課税枠
  • 死亡退職金の非課税枠

この記事では、生命保険金の非課税枠についてのみ説明します。

生命保険金は相続税の計算に含まれますが、全額が含まれるわけでなく、非課税枠が設けられています。

以下は、国税庁のホームページです。

この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。
 
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
 
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありません。
出典:国税庁ウェブサイト(No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金)
生命保険の非課税枠

500万円×法定相続人の数

相続放棄した人は相続人ではないので、受け取った生命保険金は全額が相続税の計算に含まれます。

相続放棄すると生命保険金の非課税枠が適用されない

上記の考えは、生命保険金だけでなく、死亡退職金でも同じです。

生命保険金や死亡退職金を受け取った人が相続放棄する場合、非課税枠の適用なしはデメリットになります。

デメリットを理解した後に確認すべきこと

前章までで、相続放棄に伴うデメリットを4つ説明しました。

これらのデメリットを理解したうえで、相続放棄を選ぶかどうかを判断するためには、他の制度との違いも確認しておくことが大切です。

以下の記事では、相続放棄と限定承認の違いについて説明しています。

【相続放棄と限定承認の違い】9つの項目で比較

デメリットを理解したうえで相続放棄を選ぶ場合には、実行段階で注意すべき点も確認しておく必要があります。

以下の記事では、手続きや期限などの注意点について詳しく説明しています。

【相続放棄の注意点】間違えている人が多い部分を司法書士が説明

まとめ|相続放棄のデメリットは4つ

相続放棄のデメリットをまとめた画像

相続放棄には、次のようなデメリットがあります。

  • プラスの財産も相続できない
  • 次順位の相続人に相続権が移る
  • 有効に成立した後は撤回できない
  • 生命保険金等の非課税枠が適用されない

これらは、相続放棄をする以上、必ず発生する不利益です。

相続放棄を検討する際は、これらのデメリットを判断材料として整理しておいてください。

相続放棄のデメリットに関するQ&A

配偶者が相続放棄しなくても順位は変わりますか?

変わります。配偶者は順位変更と関係ないです。

相続放棄の撤回は絶対に無理ですか?

撤回はできません。

ただし、詐欺や脅迫を理由に取消しは可能です。

順位の変更させずに相続放棄できませんか?

誰か一人でも相続すれば順位変更は起きないです。

上記以外にも、相続放棄のQ&Aは100以上あるので参考にしてください。

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