遺留分放棄と相続放棄は何が違うのか

遺留分放棄と相続放棄は名称も似ていますし、権利を放棄するという点は同じです。
しかしながら、放棄している権利がまったく別なので、勘違いしていると大変なことになります。

最大の違いは相続人かどうかです。
遺留分放棄をしても相続人ですが、相続放棄をすると相続人ではないです。

2つの放棄の違いについて説明していきます。

 

1.遺留分放棄とは請求権の放棄

遺留分の放棄とは簡単に説明すると、遺留分を侵害されたときの請求権を放棄することです。

相続開始前と相続開始後では方法が違うのですが、相続放棄と間違えやすいのは相続開始前の方です。
なぜなら、どちらも家庭裁判所の手続きが必要だからです。
相続開始後は『遺留分の放棄は相続の前後で方法が違う』で説明しています。

相続人は自分の遺留分を侵害されると、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分の割合は『遺留分の割合|9つの組み合わせで計算』でご確認ください。
遺留分の放棄とは侵害額請求権を放棄することなので、相続人であることには変わりがないです。
遺留分放棄をしても相続人
遺留分放棄をしても、相続人としての権利や義務は引き継ぐことになります。

 

2.相続放棄で相続人ではない

相続放棄とは簡単に説明すると、相続する権利を放棄することです。

相続放棄は相続開始後でなければできませんので、遺留分放棄とは違う点に注意が必要です。
相続放棄の手続き』にて流れを説明しています。

相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとみなされます。
相続人ではないので、遺留分の問題も関係ありません。
相続放棄をすると相続人ではない
相続放棄をすると、相続人としての権利や義務とも無関係となります。

注意

相続放棄と相続分の放棄も違うので『相続放棄と相続分の放棄は違う』を確認しておいてください。

 

3.2つの放棄の比較

2つの放棄を表で比較すると、まったくの別ものであることが理解しやすいと思います。

遺留分放棄相続放棄
相続開始前の放棄できるできない
相続できるできない
遺産分割協議参加する参加しない
借金引き継ぐ引き継がない

3-1.相続開始前の放棄

遺留分放棄は相続開始前にすることが可能ですが、相続放棄は相続開始後でなければできないです。

3-2.相続

最大の違いとなるのが、相続できるかどうかです。

遺留分放棄は侵害額請求権を放棄しているだけなので、相続人であることに変わりはないです。
それに対して、相続放棄は相続する権利を放棄しているので、相続人ではないです。

3-3.遺産分割協議

相続開始前に遺留分放棄をしていても、亡くなった人が遺言書を書いていなければ、遺産分割協議に参加する必要があります。
なぜかというと、遺産分割協議は相続人が全員参加しなければ、有効に成立しないからです。

相続放棄をした場合は、相続人ではないので遺産分割協議に参加することはないです。

3-4.借金

意外と知らない人も多いのですが、遺留分放棄と借金を相続するかどうかは無関係です。

亡くなった人が遺言書で全財産を他の相続人に相続させていても、債権者(お金を貸している人)はあなたに法定相続分の割合で請求することが可能です。
したがって、1円も相続していなくても、借金の支払いを求められることはあります。
*実際には財産を相続した人が、借金を払ってくれるケースが多いです。

相続放棄すると相続人ではないので、借金を相続することもないです。

 

4.さいごに

遺留分放棄と相続放棄では、放棄している権利が違います。
ですので、目的に合わない方法を選択してしまうと、思っていた結果と違うことにもなります。

2つの放棄はまったくの別ものになるので、比較表等で確認しておいてください。

細かい違いは後回しにしても、最大の違いである放棄をした後に相続人かどうかは覚えておいてください。
遺留分放棄をしても相続人、相続放棄をすると相続人ではない。

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