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相続放棄の撤回はできない【法律で禁止されている】

相続放棄の撤回
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残念ですが相続放棄をした後に財産が見つかっても、相続放棄を撤回することはできません。

なぜなら、法律で相続放棄の撤回が禁止されているからです。

たとえ3ヶ月以内であっても、相続放棄の撤回が認められることはありません。

今回の記事では、相続放棄の撤回について説明しているので、相続放棄をする前に確認してください。

1.有効に成立した相続放棄は撤回できない

まず初めに、有効に成立した相続放棄は撤回できません。

相続放棄の撤回
相続放棄の申述時に問題は無かったが、後になって事情が変わり相続放棄の効力を無くすこと

なぜ相続放棄の撤回が認められないかというと、法律で禁止されているからです。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。

出典:e-Govウェブサイト(民法919条)

民法915条1項とは、相続放棄の熟慮期間(3ヶ月)のことです。

1-1.3ヶ月の期間内でも相続放棄の撤回はできない

たとえ相続の開始を知った日から3ヶ月以内であっても、相続放棄の申述書が家庭裁判所に受理された後は撤回できません。

例えば、相続の開始を知った日から1カ月で相続放棄した場合でも、有効に成立した相続放棄の撤回は認められません。

1-2.相続放棄を撤回する理由も考慮されない

相続放棄を撤回したいと思う人の理由は様々です。

  • 相続財産が見つかった
  • 気が変わった
  • 借金が無かった

どんな理由であっても撤回が認められることはありません。

相続放棄の撤回は認められない

相続放棄の申述をする際は、撤回することが出来ないことを知っておく必要があります。

 

2.相続放棄の申述が受理される前なら取り下げできる

相続放棄の撤回は認められないのですが、相続放棄の申述が受理される前なら取り下げはできます。

なぜなら、家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出しても、受理される前なら相続放棄の効力は発生していないからです。

事情が変わって相続放棄を取下げるなら、今すぐ家庭裁判所に電話してください。間違っても後回しにしてはいけません。受理されると取下げはできないです。

注意提出してから受理までの期間はケースごとに違います。数日で受理されることもあるので、取り下げができる期間はわずかです。

 

3.相続放棄の撤回に該当しないケース

非常に紛らわしいのですが、相続放棄の撤回に該当しないケースもあります。

  • 相続放棄が無効
  • 相続放棄の取消し

上記に関しては、相続放棄の撤回ではないので、結論も変わります。

3-1.相続放棄が無効なら効力は発生していない

相続放棄が無効なら初めから相続放棄の効力は発生していません。

例えば、他の相続人が勝手に相続放棄の申述書を提出していた場合、相続放棄は有効に成立せず無効となります。

初めから相続放棄は無効なので、家庭裁判所での手続き等もありません。

相続放棄の無効に関しては、遺産分割協議や遺産分割訴訟の中で主張します。

3-2.相続放棄の取消事由に該当している

相続放棄の申述に取消事由があれば、相続放棄の取消しは可能です。

民法919条で相続放棄の撤回はできないと定めていますが、第2項で取消しができる場合についても定めています。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。

出典:e-Govウェブサイト(民法919条2項)

取消しができるケースには以下があります。

  • 詐欺または脅迫があった
  • 未成年者が法定代理人の同意を得ていない
  • 成年被後見人が相続放棄をした
  • 後見監督人の同意を得ていない
  • 保佐人の同意を得ていない

相続放棄の申述書を提出した行為自体に取消事由があります。

 

4.相続放棄が撤回できないなら特別縁故者

相続放棄をした後に財産が見つかっても、相続放棄は撤回できません。

ですが、相続人全員が相続放棄しているなら、特別縁故者として財産を取得できる可能性は残っています。

実際、過去には相続放棄した人が、特別縁故者として財産を取得したケースがあります。

ただし、相続人であったことは考慮されず、亡くなった人と特別な縁故が無ければ財産は取得できません。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

 

5.さいごに

相続放棄の申述が受理されると撤回することはできません。たとえ3ヶ月以内であっても結論は変わりません。

ただし、相続放棄の申述書が受理される前なら、相続放棄を取下げることは可能です。

また、相続放棄が無効なケースや、相続放棄の取消事項に該当する場合は別の結果になります。

相続放棄の申述をする際は、絶対に撤回できないことを知っておいてください。