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【相続放棄のデメリット】5つの欠点を図を用いて説明

相続放棄のデメリット
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亡くなった人に借金等があっても、相続放棄すれば相続しません。

ただし、相続放棄にはデメリットもあります。どんな制度にも欠点はあるので、知らずに放棄すると危険です。

以下は、相続放棄の主なデメリットです。

  • プラスの財産も放棄
  • 手間と費用がかかる
  • 次順位相続人に相続が移る
  • 生命保険金の非課税枠が使えない
  • 相続放棄の撤回は認められない

相続放棄すると見つかっていない財産も放棄します。先順位相続人が相続放棄すると、次順位相続人に相続が移ります。

今回の記事では、相続放棄のデメリットについて説明しているので、相続放棄する前に確認してください。

目次

1.最大のデメリットはプラスも相続放棄

相続放棄するとプラスの財産も放棄

相続放棄1つ目のデメリットは、プラスの財産も放棄です。

相続放棄は借金だけ放棄する手続きではなく、相続財産をすべて放棄する手続きになります。

そのため、マイナスの財産(借金等)だけでなく、プラスの財産(預貯金等)も相続できないです。

たとえ知らなかった財産が見つかっても、相続人ではないので相続できません。

例えば、借金があったので相続放棄したが、後になって借金を上回る預貯金が発見された場合です。知らなかった預貯金も含めて相続放棄しています。

相続放棄する際は、後から財産が見つかっても後悔しない覚悟が必要です。

2.相続放棄の手間と費用はデメリット

相続放棄には費用と手間がかかる

相続放棄2つ目のデメリットは、相続放棄の手間と費用です。

相続放棄には手間がかかりますし、手続費用も発生します。

  • 相続放棄は家庭裁判所の手続き
  • 専門家に依頼すると報酬がかかる

それぞれ説明していきます。

2-1.相続放棄は家庭裁判所の手続き

相続放棄するには、家庭裁判所の手続きが必要です。相続人同士で話し合いをしても、相続放棄の効力は発生しません。

以下は、民法の条文です。

(相続の放棄の方式)
第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法938条)

相続放棄の申述は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。

添付書類として戸籍謄本等も必要なので、手続きに手間がかかるのはデメリットになります。

ちなみに、「相続放棄」と「相続分の放棄」は違うので、間違えないように注意してください。

2-2.専門家に依頼すると報酬が発生

自分で相続放棄の手続きをする時間がなければ、専門家(弁護士・司法書士)への依頼も可能です。

ただし、専門家に手続きを依頼すると、専門家報酬が発生します。

専門家報酬は事務所によって違いますが、1人当たり数万円は必要なので、依頼する人にとってはデメリットです。

3.次順位相続人がいるとデメリット発生

相続放棄により相続人が変更する

相続放棄3つ目のデメリットは、次順位相続人に相続が移ることです。

相続放棄すると初めから相続人ではなかったとみなされます。先順位相続人が全員相続放棄すると、次順位相続人へ相続権が移ります。

以下は、相続順位を表した図です。

法定相続人の順位

先順位相続人が全員相続放棄すると、デメリットも発生します。

3-1.遺産分割協議の参加者が変更

先順位相続人が全員相続放棄すると、遺産分割協議の参加者が変更します。

例えば、配偶者と子どもが相続人の場合です。

子どもが全員相続放棄すると、直系尊属(兄弟姉妹)に相続が移ります。

その結果、配偶者と直系尊属(兄弟姉妹)で遺産分割協議を行います。

配偶者も相続放棄する場合は問題ありませんが、子どもだけが相続放棄する場合はデメリットになります。

3-2.借金等が次順位相続人に移る

借金等が原因で相続放棄した場合、次順位相続人に借金等が移ります。

次順位相続人が借金等を相続するつもりがなければ、次順位相続人も相続放棄が必要です。

相続放棄しても連絡する義務はないですが、普段から交流があるなら伝えておきましょう。

先順位相続人の相続放棄により、次順位相続人も相続放棄が必要になるのはデメリットです。

4.生命保険金の非課税枠が使えない

相続放棄すると生命保険金の非課税枠が使えない

相続放棄4つ目のデメリットは、生命保険金の非課税枠が使えないです。

生命保険金を受け取ると、相続放棄していても相続税の課税対象になります。

生命保険金には非課税枠があるのですが、相続放棄すると適用されません。

生命保険の非課税枠

500万円×法定相続人の数

相続放棄すると生命保険金の非課税枠が適用されない

相続放棄すると相続人ではないので、生命保険金の非課税枠は適用されないです。

生命保険金の金額によっては、相続放棄により相続税が発生するデメリットがあります。

5.相続放棄の撤回は認められない

相続放棄の撤回は認められない

相続放棄5つ目のデメリットは、相続放棄の撤回は認められないです。

相続放棄の撤回は法律で禁止されています。

以下は、民法の条文です。

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。

出典:e-Govウェブサイト(民法919条)

相続放棄した後に高額な財産が見つかっても、相続放棄の撤回は認められません。

たとえ財産を知らなかったとしても結論は同じです。

相続放棄の撤回が認められない点はデメリットになります。

6.まとめ

今回の記事では「相続放棄のデメリット」について説明しました。

どんな制度にもデメリットがあるように、相続放棄にもデメリットがあります。

  • プラスの財産も放棄
  • 手間と費用がかかる
  • 次順位相続人に相続が移る
  • 生命保険金の非課税枠が使えない
  • 相続放棄の撤回は認められない

知らなかった財産が後から見つかっても相続できません。知らなかったを理由に撤回もできません。

相続放棄すると相続人が変更するので、次順位相続人も関係します。

相続放棄を検討しているなら、デメリットについても知っておいてください。

相続放棄のデメリットに関するQ&A

配偶者が相続放棄しなくても順位は変わりますか?

自由報酬なので事務所によって違います。

配偶者が相続放棄しなくても順位は変わりますか?

変わります。配偶者は順位変更と関係ないです。

相続放棄の撤回は絶対に無理ですか?

撤回はできません。
ただし、詐欺や脅迫を理由に取消しは可能です。

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