相続登記と遺産分割協議書について徹底解説【2022年版】

遺産分割協議書は相続登記の添付書面となります。

ただし、すべての相続登記に添付するわけではなく、特定の条件に該当する場合のみです。

  • 遺言書が残されていない
  • 法定相続分以外で登記

上記を2つとも満たす場合は、相続登記の申請に遺産分割協議書を添付します。

相続登記用の遺産分割協議書には、法務局が求める情報を記載する必要があります。

今回の記事では、相続登記と遺産分割協議書について説明しているので、遺産分割協議書を作成する際の参考にしてください。

目次

  1. すべての相続登記に遺産分割協議書を添付するのか?
    1. 遺産分割協議書の添付が不要な相続登記
    2. 遺産分割協議書を添付する相続登記
  2. 相続登記に添付する遺産分割協議書の書き方
    1. 遺産分割協議書の重要ポイントを3つ説明
    2. 遺産分割協議書の細かい疑問点を5つ解消
    3. 遺産分割協議書のひな形は法務局の様式を参考
  3. 相続登記に使用できない遺産分割協議書
    1. 遺産分割協議書に押印している印鑑が実印でない
    2. 遺産分割協議書で不動産が特定されていない
  4. 相続人以外が遺産分割協議書に署名捺印するケース
    1. 相続人に法定代理人が存在する
    2. 相続登記前に相続人が死亡している
  5. 遺言書の内容と違う遺産分割協議書を添付して相続登記
  6. 相続登記に添付した遺産分割協議書は原本還付できる
  7. 相続登記を司法書士に依頼すると遺産分割協議書も作成可能
  8. さいごに

1.すべての相続登記に遺産分割協議書を添付するのか?

まず初めに確認してほしいのが、あなたの相続登記に遺産分割協議書が必要かどうかです。

勘違いしやすいのですが、すべての相続登記に遺産分割協議書を添付するわけではありません。

もしかしたら、遺産分割協議書が不要な相続人も、本記事を読んでいるかもしれません。

1-1.遺産分割協議書の添付が不要な相続登記

相続登記を申請する場合、以下のケースでは遺産分割協議書の添付が不要です。

  • 遺言書による相続登記
  • 法定相続分による相続登記
  • 相続人が1人だけの相続登記
  • 遺産分割調停による相続登記

簡単に説明していきます。

遺言書による相続登記

遺言書で不動産の相続人が決められているなら、遺産分割協議書を添付する必要はありません。

法改正により、遺言書による相続であっても、法定相続分を超える部分に関しては相続登記が対抗要件になります。

後回しにせず早めに相続登記を申請しましょう。

法定相続分による相続登記

亡くなった人が遺言書を残していなくても、法定相続分で登記するなら遺産分割協議書は不要です。

ただし、不動産を共有状態にするのはお勧めできません。

さまざまなデメリットが発生するので、不動産はできる限り単独所有にしてください。

相続人が1人だけの相続登記

当然ですが、亡くなった人の相続人が1人だけなら、遺産分割協議書は不要です。

相続人が1人だけの場合には、他の相続人が相続放棄した場合も含みます。

他の相続人が相続放棄した結果、相続人が1人になった場合は相続放棄申述受理証明書が添付書面になります。

遺産分割調停による相続登記

相続人同士の話し合いで遺産分割が成立しなければ、家庭裁判所で遺産分割調停をすることも可能です。

そして、調停により遺産分割が成立した場合は、調停調書を添付書面とするので遺産分割協議書は不要です。

1-2.遺産分割協議書を添付する相続登記

以下に該当する場合は、相続登記に遺産分割協議書を添付します。

「遺言書が存在しない」かつ「法定相続分以外で登記」する場合です。

あなたが上記に該当するなら、遺産分割協議書を作成しましょう。

ただし、遺産分割協議書の書き方には特徴があるので、あらかじめ確認しておいてください。

 

2.相続登記に添付する遺産分割協議書の書き方

まだ遺産分割協議書を作成していないなら、遺産分割協議書の書き方を参考にしてください。

遺産分割協議書の書き方に決まりはないのですが、法務局が求める情報が抜けていれば相続登記は却下されます。

以下のポイントを参考にして、遺産分割協議書を作成しましょう。

2-1. 遺産分割協議書の重要ポイントを3つ説明

以下は、重要な点だけ記載した遺産分割協議書のひな形です。

相続登記用の遺産分割協議書(重要点)

重要なポイントを3つに分けて説明します。

①被相続人の本籍地や住所を記載する

誰の遺産分割協議なのか分かるように、被相続人に関する以下の情報を記載します。

  • 被相続人の最後の本籍
  • 被相続人の最後の住所
  • 被相続人の氏名
  • 相続の開始日(死亡日)

上記の情報は、相続登記に添付する戸籍謄本や住民票(除票)に記載されています。間違えないように気をつけてください。

②遺産分割の対象となる不動産

遺産分割の対象となる不動産を、不動産登記簿のとおり記載します。

不動産の所在は住所地とは一致しないことが多いので、必ず不動産登記簿を見ながら作成してください。

不動産に関する記載情報は、すべて不動産登記簿に記録されています。

③遺産分割協議書の作成日と相続人の署名捺印

遺産分割協議書の作成日は忘れずに記載してください。

また、遺産分割協議書には相続人全員の押印(実印)が必要です。

相続人が誰か1人でも欠けていると、遺産分割協議書は無効になります。

2-2.遺産分割協議書の細かい疑問点を5つ解消

遺産分割協議書の細かい疑問点も説明しておきます。

記名押印と署名捺印はどちらでも良いのか?

遺産分割協議書については、「記名押印」と「署名捺印」の2つで迷われる人が多いです。

簡単に説明するなら、以下のようになります。

  • 記名押印:氏名を印字(入力)している
  • 署名捺印:氏名を自署(手書き)している

遺産分割協議書は記名押印でも大丈夫なのですが、後から揉める危険があるので署名捺印をお勧めします。

遺産分割協議書が2枚以上なら割印

遺産分割協議書が2枚以上になるなら、実印で割印(契印)をしてください。

例えば、遺産分割協議書を重ねて左側をホッチキスで留めます。1枚目を折り返して実印で押印します。

遺産分割協議書が複数枚なら割印

相続人全員が割印(契印)をしてください。

添付する印鑑証明書に期限の定めはない

相続登記に添付する印鑑証明書に期間の定めはありません。

ですので、すでに印鑑証明書を取得されているなら、改めて取得する必要はありません。

遺産分割協議書に記載する財産は不動産のみでも大丈夫

遺産分割協議書に記載する財産は、不動産のみでも大丈夫です。

そもそも、1枚の遺産分割協議書にすべての財産を記載する決まりはありません。
※別々に作成すると手間は増えます。

不動産だけを記載するのも自由ですし、すべての財産を記載するのも自由です。

遺産分割協議書は自筆で作成するのか

遺産分割協議書は自筆(手書き)で作成しなくても大丈夫です。

Word(ワード)等で作成した遺産分割協議書をプリントアウトして、相続人が署名捺印すれば問題ありません。

2-3.遺産分割協議書のひな形は法務局の様式を参考

遺産分割協議書のひな形は、法務局の様式を参考にすることもできます。

法務局が望む遺産分割協議書の書き方をしていれば、相続登記が却下される可能性は低くなります。

法務局のウェブサイト(登記申請書の様式及び記載例)』から確認できるので、興味があれば参考にしてください。

 

3.相続登記に使用できない遺産分割協議書

すでに遺産分割協議書を作成していても、記載内容によっては改めて作成する必要があります。

なぜかというと、相続登記用の遺産分割協議書になっていない場合があるからです。

相続登記の添付書面とする遺産分割協議書は、法務局が定める要件を満たしておく必要があります。

作成済みの遺産分割協議書が、以下に該当していないか確認してください。

  • 押印している印鑑が実印ではない
  • 不動産が特定されていない

3-1.遺産分割協議書に押印している印鑑が実印でない

遺産分割協議書に押印する印鑑に法律上の定めはありません。認印を押していても遺産分割協議は有効です。

ただし、相続登記用の遺産分割協議書に押印するのは実印です。

相続人の実印以外で押印された遺産分割協議書を添付しても、法務局は相続登記を却下します。

相続人の中に実印を持っていない人がいれば、新たに印鑑登録をする必要があります。

3-2.遺産分割協議書で不動産が特定されていない

遺産分割協議書の記載方法は、相続人同士が自由に決めて大丈夫です。

例えば、「すべての財産は相続人Aが相続する。」と記載しても有効に成立します。

ただし、相続登記用の遺産分割協議書では、不動産を特定する必要があります。

たとえ全財産を1人の相続人が相続する場合でも、【2-1.遺産分割協議書のひな形を参考に重要ポイントを3つ説明】のとおり、不動産を特定して記載しましょう。

あくまでも、相続登記の添付書面として、遺産分割協議書が必要になります。

 

4.相続人以外が遺産分割協議書に署名捺印

相続登記の遺産分割協議書に署名捺印するのは、相続人だけではありません。

以下の場合には、相続人以外が遺産分割協議書に署名捺印します。

  • 相続人に法定代理人がいる
  • 相続人が死亡している

4-1.相続人に法定代理人が存在する

相続登記のために遺産分割協議書を作成する場合、相続人に法定代理人がいるなら注意しましょう。

なぜなら、遺産分割協議書に署名捺印するのは、相続人ではなく法定代理人だからです。

相続人が未成年者なら親権者が署名捺印

亡くなった人の相続人が未成年者なら、遺産分割協議書に署名捺印するのは親権者です。

ただし、親権者も相続人の場合は利益相反に該当します。

未成年者のために未成年後見人を選任するか、未成年者が成人するまで待ちましょう。

相続人が成年被後見人なら後見人が署名捺印

亡くなった人の相続人が成人被後見人なら、遺産分割協議書に署名捺印するのは後見人です。

ただし、後見人も相続人の場合は利益相反に該当します。

後見監督人が選任されているなら、代わりに遺産分割協議書に署名捺印します。

4-2.相続登記前に相続人が死亡している

相続登記を後回しにしていると、相続人が死亡することもあります。

相続人が死亡した場合は、相続人の相続人が遺産分割協議書に署名捺印します。


例えば、相続人が長男と次男の2人だったとします。

相続登記を申請する前に長男が亡くなりました。長男には子どもが3人います。

遺産分割協議の参加者変更

遺産分割協議書に署名捺印するのは、「長男の子ども3人」と「次男」です。


相続人が死亡すると遺産分割協議書の作成が複雑になるので、早めに相続登記を済ませておきましょう。

 

5.遺言書の内容と違う遺産分割協議書を添付して相続登記

亡くなった人が遺言書で不動産の相続人を決めていても、相続人全員の同意があれば遺産分割協議により変更することは可能です。

ただし、遺言書と遺産分割協議書を添付して相続登記を申請しても、変更後の相続人に直接登記することはできません。

以下は、法務局の考えです。

特定の不動産を「長男A及び2男Bに各2分の1の持分により相続させる。」旨の遺言書とともに、A持分3分の1、B持分3分の2とするA及びB作成に係る遺産分割協議書を添付して、当該持分による相続登記の申請はすることができない。

出典:登研546号

法務局の考えでは、以下の2つが必要になります。

  1. 遺言書による相続登記
  2. 贈与(交換)を原因とする所有権移転登記

2回登記を申請するので、登録免許税も2回分発生します。

ただし、実務上では、別の方法で登記している専門家もいます。変更後の相続人に直接登記したい場合は、専門家に相談してみてください。

 

6.相続登記に添付した遺産分割協議書は原本還付できる

相続登記に添付した遺産分割協議書は原本還付できます。

原本還付
相続登記に添付した書類の原本を返還すること

ただし、遺産分割協議書の原本を返還してもらうには、原本還付の手続きをする必要があります。何もしなければ原本は返還されません。

遺産分割協議書を原本還付したいなら、相続登記の際に遺産分割協議書のコピーを添付します。

法務局は原本とコピーに相違がなければ、相続登記完了後に原本を返還してくれます。

原本還付に関しては、以下の記事を参考にしてください。

 

7.相続登記を司法書士に依頼すると遺産分割協議書も作成可能

相続登記を司法書士に依頼すると、遺産分割協議書も添付書面として作成することが可能です。

  • 遺産分割協議書を作成していない
  • 相続登記用に遺産分割協議書を作成する

上記のような場合であれば、依頼する司法書士に遺産分割協議書についても相談してください。

注意遺産分割協議書の作成報酬を追加する事務所もあります。

 

8.さいごに

相続登記の添付書面に遺産分割協議書があります。

ただし、すべての相続登記に遺産分割協議書を添付するわけではないです。

「遺言書がない」かつ「法定相続分以外で登記」の場合は、遺産分割協議書が添付書面となります。

相続登記用の遺産分割協議書には重要なポイントが3つあります。

  • 被相続人の情報
  • 不動産の特定
  • 相続人全員の実印

誰の遺産分割協議なのか、どの不動産を相続するのか、相続人全員が実印を押印しているか、確認しながら作成しましょう。

司法書士に想像登記を依頼する場合、遺産分割協議書も添付書面として作成できます。

相続登記の義務化も決定しているので、後回しにするメリットがありません。

後回しにすると相続が複雑になり費用も増えるので、できる限り早めに登記をしましょう。

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