相続登記の申請をする前に、原本還付の準備ができているか確認してください。
なぜなら、相続登記の添付書類は、他の相続手続きでも使用することが多いからです。
添付書類を原本還付しなければ、同じ書類を何枚も用意しなければなりません。
今回の記事では、相続登記の原本還付について説明しているので、原本還付の準備ができていなければ参考にしてください。
目次
1.原本還付の請求をしなければ返還されない
相続登記の申請書に添付した書類は原本還付できます。
- 原本還付
- 提出した書類の原本を返してもらうこと
ただし、原本還付の請求をしなければ、返還されることはありません。
相続登記が完了した後は、添付書類の返還を求めることはできません。
相続登記の添付書類は、その他の相続手続きでも利用することが多いです。必要な書類があるときは、忘れずに原本還付の請求をしておきましょう。
2.原本還付できる書面を調べる
必要な書類があっても、すべての書類が原本還付できるわけではないです。
ただし、相続登記に関しては、ほとんどの書類が原本還付できます。
2-1.ほとんどの書類は原本還付できる
相続登記の添付書類は、ほとんど原本還付できます。
主な相続登記の添付書類です。
- 遺言書
- 遺産分割協議書
- 住民票
- 戸籍謄本
- 印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
原則として、印鑑証明書は原本還付できないのですが、相続登記の印鑑証明書は原本還付できます。
上記以外の添付書類も原本還付できます。
- 相続放棄申述受理証明書
- 特別受益証明書
- 相続分譲渡証明書
相続登記の添付書類で原本還付できる書面を調べるより、原本還付できない書面を調べる方が早いです。
2-2.原本還付できない書類は法令で決まっている
相続登記の申請書に添付した書面で、原本還付できないものは少ないです。
わかりやすく説明するなら、相続登記のためだけに作成された書面は返還できないです。
具体的には、以下の書面が該当します。
- 相続登記だけの委任状
- 相続登記用に作成した登記原因証明情報
ご自身で相続登記を申請する場合、委任状は関係ありません。
相続登記用に作成した登記原因証明情報とは、戸籍謄本等が添付できない理由を説明した上申書などが該当します。
3.原本還付の準備をする
原本還付の方法は決まっているので、手順を確認しておいてください。
- 返還してほしい書類をコピー
- コピーが複数枚ならホッチキスで留める
- コピーに原本に相違ないと記載し署名捺印
還付してほしい書類をすべてコピーして、原本に相違ないと記載し署名捺印して提出します。
3-1.返却してほしい書類をコピー
まずは、返却してほしい書類をコピーします。
添付書類が多いと、それだけコピーも多くなります。原本とコピーを間違えないように気を付けてください。
ただし、亡くなった人の戸籍謄本等や相続人の戸籍謄本については、相続関係説明図を提出すると原本還付されます。相続関係説明図がコピーの代わりになります。
3-2.コピーに「原本に相違ない」と記載し署名捺印
コピーに申請人が「原本に相違ない」と記載して、署名捺印をします。
コピーが複数枚ある場合は、重ねて左側をホッチキスで留めます。
2枚目以降については、折り返してつづり目ごとに契印すれば、「原本に相違ない」という記載は不要です。
3枚目以降も同じように契印しましょう。
これで原本還付の準備は完了です。相続登記の申請書と一緒に提出しましょう。
4.原本還付される書面の受取方法は2つ
原本還付される書面の受取方法は2つあります。
- 窓口で受け取る
- 郵送で受け取る
4-1.法務局の窓口で添付書類を受け取る
原則として、原本還付の受取は窓口となります。
相続登記が完了した後に、法務局の窓口で受け取ります。
相続登記の完了予定日を忘れずに確認して、申請書に押印した印鑑と本人確認書類を持参しましょう。
4-2.法務局からの郵送で添付書類を受け取る
法務局が離れている場合や、平日の昼間に時間が取れない場合は、郵送で受け取ることになります。
相続登記が完了した後に郵送で返却されます。
ただし、原本還付用の封筒を用意する必要があります。封筒に宛先を記入して返信用の切手も同封します。
切手は通常料金+書留料金が必要となります。登記識別情報通知書も郵送する場合は+100円です。
切手は多めに入れておけば、余った切手は返却してもらえます。
5.さいごに
相続登記の申請書に添付する書類は、他の相続手続でも使用することが多いです。
また、遺言者や遺産分割協議書などは、手元に保管しておきたい人も多いでしょう。
そのような場合は、原本還付の手続きをして、必要な書類を返却してもらってください。
添付書類を郵送で受け取るなら、相続登記の申請時に返却用の封筒を用意しておきましょう。