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遺産分割協議書に不動産のみを記載しても問題ないのか?

遺産分割協議書に不動産のみ記載
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相続発生時に不動産の遺産分割を済ませておらず、後から遺産分割協議をすることもあります。

相続登記で必要な遺産分割協議書は、不動産のみを記載しているもので大丈夫です。

ただし、法務局が知りたい情報を、不動産登記簿を確認しながら記載してください。

今回の記事では、遺産分割協議書に不動産のみを記載する場合について説明しているので、不動産を遺産分割する際の参考にしてください。

1.不動産の遺産分割協議が済んだら作成する

まずは、遺産分割協議書の記載内容について説明します。

遺産分割協書に記載するのは、遺産分割協議が済んだ相続財産です。遺産分割の済んでいない財産は記載する必要がありません。

相続財産に不動産が含まれていても、不動産の遺産分割が済んでいなければ、不動産以外の財産だけ遺産分割協議書に記載します。

例えば、預貯金や株券だけ遺産分割して、不動産は済んでいない場合です。

遺産分割協議書には預貯金や株券だけ記載して、不動産は記載しません。預貯金や株券の相続手続をするのに、不動産の記載は不要なので問題ありません。

後日、不動産の取得者が決まったら、相続登記用の遺産分割協議書を作成してください。

 

2.法務局の遺産分割協議書は不動産のみで大丈夫

法務局が知りたいのは誰が不動産を相続するかなので、その他の財産を遺産分割協議書に書いてなくても問題ありません。

相続登記用に不動産のみ記載された遺産分割協議書でも大丈夫です。

2-1.法務局が知りたい情報を遺産分割協議書に書く

法務局が知りたい情報は、以下の2つです。

  • 遺産分割の対象である不動産
  • 対象不動産の取得者

それぞれ説明していきます。

不動産は登記簿どおりに記載する

遺産分割協議書に不動産を記載する場合は、不動産登記簿どおりに記載します。余計な記載も不要ですし、省略もしないでください。

法務局が求めているのは、不動産登記簿に記載されている事項です。

記載例については【3.不動産のみの遺産分割協議書の書き方】で説明します。

不動産の取得者が分かるように記載する

遺産分割協議書に記載した不動産の取得者(相続人)を記載します。

不動産を単独で取得する場合は別ですが、不動産を共有にする場合は持分も記載してください。

例えば、「AとBが不動産を取得する」ではなく、「AとBが不動産を2分の1ずつ取得する」と記載します。

法務局は遺産分割協議書でしか判断できないので、共有にする場合は注意してください。

2-2.遺産分割協議書には相続人全員の印鑑証明書を添付

遺産分割協議の成立を証明するため、遺産分割協議書には相続人全員が実印で押印してください。

そして、実印であることを証明するため、相続人全員の印鑑証明書を添付します。

法務局は実印と印鑑証明書で、遺産分割協議書が有効に成立していると確認できます。

 

3.不動産のみの遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書に不動産のみを書く場合の記載例です。

遺産分割協議書に記載する不動産は3つに分かれるので、それぞれ説明していきます。

遺産分割協議書に記載する不動産は3種類ある

3-1.土地は4つの項目を遺産分割協議書に書く

遺産分割協議書に土地を記載する場合、4つの項目で土地を特定します。

遺産分割協議書

被相続人   ○○ ○○(令和○年○月○日死亡)
最後の本籍地 ○○県○○市○○町○丁目○番地
最後の住所  ○○県○○市○○町○丁目○番地

相続人A、B、Cは、相続財産について、以下のように遺産分割の協議をした。

Aは下記の不動産を取得する。

(土地)
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番
地目 宅地
地積 ○○㎡

令和○年○月○日

住所 A 実印
住所 B 実印
住所 C 実印

上記4つの項目を、不動産登記簿どおりに記載します。

下記は、不動産登記簿の表題部(土地)を分かりやすくした図です。

土地の表題部

不動産登記簿の上部が表題部になっているので、必要な項目を確認したら遺産分割協議書に記載してください。

3-2.建物は5つの項目を遺産分割協議書に書く

遺産分割協議書に建物を記載する場合、5つの項目で建物を特定します。

遺産分割協議書

(省略)

Aは下記の不動産を取得する。

(建物)
所在   ○○市○○町○丁目○番地
家屋番号 ○○番
種類   居宅
構造   木造かわらぶき2階建
床面積  1階○○㎡ 2階○○㎡

(省略)

上記5つの項目を、不動産登記簿どおりに記載します。

下記は、不動産登記簿の表題部(建物)を分かりやすくした図です。

建物の表題部

建物と土地では項目数が違うので、遺産分割協議書に記載する場合は気を付けてください。

3-3.マンションの項目は14あるので注意

遺産分割協議書にマンション(区分所有建物)を記載する場合、項目が多いので注意してください。

遺産分割協議書

(省略)

Aは下記の不動産を取得する。

一棟の建物の表示
所在     ○○市○○町○丁目○番地
建物の名称  ○○マンション
敷地権の目的である土地の表示
土地の符号  ○
所在及び地番 ○○市○○町○丁目○番
地目     宅地
地積     ○○㎡
専有部分の建物の表示
家屋番号   ○○町○丁目○番の○○○
建物の名称  ○○○
種類     居宅
構造     鉄骨鉄筋コンクリート造1階建
床面積    ○階部分 ○○㎡
敷地権の表示
土地の符号  ○
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 ○○○○分の○○○

(省略)

上記14の項目を、不動産登記簿どおりに記載します。

下記は、不動産登記簿の表題部(区分所有建物)を分かりやすくした図です。

マンションの表題部
マンションの表題部

不動産登記簿の上部が表題部になっているのですが、マンションの場合は表題部が4つあります。

  • 一棟の建物の表示
  • 敷地権の目的である土地の表示
  • 専有部分の建物の表示
  • 敷地権の表示

マンションを遺産分割協議書に記載する場合、記載事項が多いので書き漏れがないように注意しましょう。

 

4.まとめ

今回の記事では「遺産分割協議書に不動産のみを記載」について説明しました。

相続登記を申請するために、不動産のみが記載された遺産分割協議書を作成しても問題ありません。

相続登記で必要になる遺産分割協議書は、不動産の取得者を確認するための資料なので、その他の財産は無関係だからです。

もし相続発生から時間が経過していて、不動産だけが残っているなら、不動産のみが記載された遺産分割協議書を作成しましょう。

 

遺産分割協議書と不動産に関するQ&A

Q.遺産分割協議書に預貯金を記載しても問題ないですか?
A.問題ありません。
Q.遺産分割協議書は自分たちで作成しても大丈夫ですか?
A.大丈夫です。