不動産を共有名義から単独名義に変更する方法は、時期により複数考えられます。
共有持分の贈与・売却・放棄により単独名義に変更するや、共有者が亡くなった際の相続により単独名義に変更することも可能です。
共有持分の移転登記は共同申請ですが、相続登記は単独申請という違いもあります。
今回の記事では、不動産を共有名義から単独名義に変更する方法について説明しているので、共有解消の参考にしてください。
\無料相談/
【解消方法は複数ある】
1.共有名義から単独名義には共有者の協力が必要
不動産を共有名義から単独名義に変えるには、共有者の協力が必要になります。
間違えやすいのは、共有持分の放棄は単独の意思表示により成立するのですが、所有権移転登記は共同申請となる点です。
共有持分の贈与・売却・放棄いずれであっても、登記権利者と登記義務者の共同申請となります。
1-1.不動産を共有名義から単独名義に変更する費用
不動産を共有名義から単独名義に変更する費用は2つあります。
- 共有持分の取得費用
- 不動産の登録免許税
共有持分を売買により取得する場合は、売買金額が取得費用となります。
不動産の名義を変更するには、登録免許税を納める必要があります。
- 持分移転登記の登録免許税
- 不動産の評価額×持分割合×2%
不動産の評価額は固定資産評価証明書で確認できます。
例えば、不動産の評価額が1,000万円で持分割合が2分の1の場合です。
1,000万円×2分の1×2%=10万円。登録免許税は10万円となります。
不動産の評価額や持分割合によっては、登録免許税も高額になるので気を付けてください。
1-2.共有持分の所有権移転登記に必要な書類
共有持分の所有権移転登記に必要な書類は複数あります。
- 登記原因証明情報
- 登記識別情報
- 登記義務者の印鑑証明書
- 登記権利者の住民票
上記以外にも、司法書士に依頼するなら委任状等も用意します。
不動産登記の添付書類で注意が必要なのは印鑑証明書です。印鑑登録していなければ、不動作登記の前提として印鑑登録を先に済ませておきましょう。
関連記事を読む『【共有持分の移転登記】申請書の記載例を用いて説明』
2.相続により共有名義から単独名義に変更する
不動産が家族で共有名義になっていれば、相続により単独名義に変更することも可能です。
※不動産を2人で共有にしている場合。
ただし、家族構成によっては、相続対策等も必要になります。
2-1.共有者の相続人が自分1人なら相続により単独名義
不共有者の相続人が自分1人であれば、共有持分も相続により取得します。
相続登記を申請するだけなので、特に問題無く単独名義に変更できます。
相続登記に必要な戸籍謄本等は、下記の記事で説明しています。
関連記事を読む『相続登記の戸籍謄本は相続の内容を証明するために添付する』
2-2.共有者の相続人が複数人なら遺産分割協議により単独名義
共有者の相続人が複数人なら、遺産分割協議により共有持分を取得します。
相続人全員が共有持分取得に同意してくれるなら、遺産分割協議書を作成します。
作成した遺産分割協議書には、相続人全員が署名捺印(実印)する必要があります。
関連記事を読む『相続登記と遺産分割協議書について徹底解説【2022年版】』
2-3.共有者の相続人が複数人でも遺言書により単独名義
共有者の相続人が複数人存在しても、遺言書を作成しておくと遺産分割協議を省略して共有持分を取得できます。
遺産分割協議は相続人全員の同意がないと成立しないので、遺言書の作成をお勧めします。
遺言書で共有持分を相続させているなら、相続登記により単独名義に変更できます。
関連記事を読む『相続登記は遺言書による相続でも必要になる』
3.共有者が死亡して相続人が存在しない場合
不動産の共有者に相続人が存在しない場合、単独名義に変更する手順は遺言書の有無により違います。
- 共有者が遺言書で遺贈している
- 相続財産管理人を選任する
3-1.共有者から遺言書で持分を遺贈されている
亡くなった共有者から遺言書で持分を遺贈されていると、共有名義から単独名義に変更できます。
ただし、遺言書で遺言執行者が指定されていなければ、遺言執行者の選任申立てが必要になります。
なぜかというと、遺贈により共有持分の移転登記を申請する場合も、登記権利者と登記義務者の共同申請となるからです。
亡くなった人に相続人がいれば登記義務者になるのですが、相続人がいなければ遺言執行者を選任するしかありません。
遺言書で共有持分を遺贈するなら、遺言執行者の指定もしておきましょう。
関連記事を読む『遺言執行者は遺贈登記だけでなく相続登記も申請できる』
3-2.相続財産管理人を選任して共有持分を取得する
亡くなった共有者に相続人が存在せず、かつ、遺言書も残していないなら相続財産管理人を選任しましょう。
原則として、亡くなった人に相続人が存在しない場合、相続財産は国庫に帰属します。
ただし、共有持分に関しては共有者に帰属します。
共有持分を共有者に帰属させるには、相続財産管理人の選任申立てが必要になります。
関連記事を読む『相続財産管理人の選任申立てをするなら手順を確認しよう』
4.さいごに
不動産の共有名義を単独名義に変更するには、共有者の生前であれば共有者の協力が必要になります。
- 共有持分の贈与
- 共有持分の売却
- 共有持分の放棄
上記いずれであっても、不動産登記は登記権利者と登記義務者(共有者)の共同申請となります。
共有者の相続人であれば、相続により共有名義を単独名義に変更することも可能です。
ただし、相続人が複数人存在するなら、遺言書の作成をお勧めします。
共有者に相続人が存在しない場合、共有者持分は共有者に移転します。
不動産の共有状態を解消する方法は複数ありますので、できる限り早めに解消しておきましょう。