相続財産清算人の選任申立て手続き|誰が何を用意するのかチェック

相続財産清算人の選任申立て手続き
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相続財産清算人の選任申立てをするなら、手順を確認しておいてください。

申立ができる人も限られていますし、申立先の家庭裁判所も決まっています。

また、申立てに必要な書類と費用の準備も忘れずに行いましょう。

相続財産清算人が選任されなければ、次の手続きに進むことができません。

今回の記事では、相続財産清算人の選任申立てについて説明しているので、ぜひ参考にしてください。

司法書士から一言令和5年4月1日に相続財産管理人から相続財産清算人へ名称変更。

目次

1.最初に確認するのは家庭裁判所の管轄

相続財産清算人の選任申立ては家庭裁判所に対して行います。

ただし、どこの家庭裁判所でもいいわけではなく、管轄家庭裁判所が決まっています。

また、選任申立てができる人も限られています。

1-1.選任申立てができるのは利害関係人

相続財産清算人の選任申立てができるのは、利害関係人と検察官です。

(相続財産の管理人の選任)
第九百五十二条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法952条)

主な利害関係人は、以下のとおりです。

  • 特別縁故者
  • 相続債権者
  • 財産を管理している人

イメージとしては、相続財産清算人が選任されなければ、自分の目的が達成できない人です。

例えば、特別縁故者の財産分与の申立てをするには、前提条件として相続財産清算人が選任されている必要があります。

1-2.亡くなった人の住所地を管轄する家庭裁判所

相続財産清算人が選任申立て先は、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

第二百三条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める家庭裁判所の管轄に属する。
一 相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分の審判事件 相続が開始した地を管轄する家庭裁判所

出典:e-Govウェブサイト(家事事件手続法203条)

亡くなった人の最後の住所地は、住民票(除票)または戸籍附票を取得して確認します。

管轄家庭裁判所を調べる場合は「裁判所ホームページ」をご覧ください。

家庭裁判所の窓口に行く暇が無い場合や、家庭裁判所が遠方の場合は郵送で申立てをすることも可能です。

家庭裁判所に郵送で提出する

家庭裁判所に郵送で提出する場合は、書留やレターパックプラスを利用した方が安心です。

2.選任申立をするのに必要な書類の準備

相続財産清算人の選任申立てをするには、複数の書類を用意する必要があります。

  • 申立書
  • 戸籍謄本等
  • 財産を証する書類

2-1.選任申立書は家庭裁判所で取得できる

相続財産清算人の選任申立書は家庭裁判所で取得できます。

お近くに家庭裁判所が無い場合や取りに行く時間が無い場合などは、家庭裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。

申立書の記載例もあるので、取得して参考にしながら記載しましょう。

2-2.相続人がいないことを証明する戸籍謄本

相続財産清算人の選任申立てをするには、相続人がいないことを戸籍謄本等で証明します。

確実に必要な戸籍謄本等は、以下になります。

  • 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本等
  • 亡くなった人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本等

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本等

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本等で、子どもがいないことを確認します。

子どもが先に亡くなっている場合は、子どもの出生から死亡までの戸籍謄本等も必要です。

両親の出生から死亡までの戸籍謄本等

亡くなった人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本等で、兄弟姉妹がいないことを確認します。

兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍謄本等も必要です。

2-3.亡くなった人の財産を証する書類

亡くなった人の財産を証する書類も用意する必要があります。

なぜなら、”相続財産”清算人なので、亡くなった人に財産が無ければ申し立てる意味がないからです。

主な書類には、以下があります。

  • 不動産登記事項証明書
  • 預金通帳のコピー

ちなみに、相続財産が無いのに申立てをすると、申立ては却下されます。

3.選任申立ての費用は4種類ある

相続財産清算人の選任申立ての費用は4種類あります。

  • 収入印紙
  • 予納郵券
  • 官報公告料
  • 予納金

それぞれ説明していきます。

3-1.収入印紙は800円分用意する

相続財産清算人の選任申立書には、収入印紙800円分を貼り付けます。

収入印紙はコンビニや郵便局で購入できます。

ただし、800円という収入印紙の額面はないので、200円×4枚または400円×2枚を購入してください。

コンビニでは200円の額面しか売っていないことが多いです。

3-2.予納郵券は家庭裁判所ごとに違う

相続財産清算人の選任申立をする際には、連絡用の予納郵券を提出します。

ただし、必要な予納郵券は家庭裁判所ごとに違います。

申立をする前に必ず確認しておきましょう。

以下は、大阪家庭裁判所の予納郵券です。

  • 320円×1枚
  • 84円×10枚
  • 10円×10枚

切手の内訳も指定されているので、購入する際は気を付けてください。

3-3.官報公告料は指示があってから納付

相続財産清算人の選任申立てには、官報公告料が4,230円必要です。

ただし、官報公告料は家庭裁判所の指示があってから納付します。

家庭裁判所は提出された戸籍謄本等を確認した後で、申立人に官報公告料の納付を指示します。

3-4.予納金は相続財産により金額が違う

相続財産清算人の選任申立ての際に、一番困るのが予納金です。

予納金
裁判所が申立人に対してあらかじめ納めるように指定する金銭のこと

何が困るかというと、予納金の額は申立てをしなければ分からない点です。

亡くなった人の財産が多ければ予納金の額も少なくなります。反対に財産が少なければ予納金の額は多くなります。

目安としては、40万円から100万円ぐらいです。預貯金が多ければ0円もあります。

4.選任申立ては専門家に依頼できる

相続財産清算人の選任申立ては、自分ですることもできますし、専門家に依頼することもできます。

専門家(弁護士・司法書士)に依頼すると、必要な書類の収集も行ってくれます。戸籍謄本等の枚数は多くなるので、任せた方が楽になります。

デメリットは報酬が必要になります。専門家の報酬は事務所により違うので、依頼する場合は気を付けてください。

5.まとめ

相続財産清算人の選任申立てをするには、必要な書類と費用を用意して家庭裁判所に提出します。

ただし、申立てができるのは利害関係人に限られますし、管轄家庭裁判所も調べる必要があります。

必要書類は以下を用意します。

  • 申立書
  • 戸籍謄本等
  • 財産を証する書類

必要な費用は以下を用意します。

  • 収入印紙
  • 予納郵券
  • 官報公告料
  • 予納金

相続財産清算人を選任しなければ、次の手続きに進むことができません。

自分で申立てをするのが難しければ、専門家の利用も検討しましょう。

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