遺言執行者に関する民法の条文【1006条から1020条】

遺言執行者に関することも民法の条文で定められています。

具体的には、民法1006条から民法1020条までが該当条文です。

  • 遺言執行者の指定
  • 遺言執行者の就任
  • 遺言執行者の選任
  • 遺言執行者の権利義務
  • 遺言執行者の解任・辞任

上記についても、すべて民法の条文に記載されています。

遺言執行者に関する条文の中には、民法改正により追加された条文もあります。

今回の記事では、遺言執行者に関する民法の条文について説明しているので、遺言執行者を調べる際の参考にしてください。

目次

  1. 遺言執行者は遺言書で指定【民法1006条】
    1. 遺言執行者の指定を委託【民法1006条2項・3項】
  2. 遺言執行者の就任に関する条文
    1. 遺言執行者の任務開始【民法1007条】
    2. 遺言執行者に就職の催告【民法1008条】
    3. 遺言執行者の欠格事由【民法1009条】
  3. 遺言執行者の選任【1010条】
  4. 相続財産目録の作成交付【民法1011条】
  5. 遺言執行に関する条文
    1. 遺言執行者の権利義務【民法1012条】
    2. 遺言執行の妨害禁止【民法1013条】
    3. 特定財産に関する遺言執行【民法1014条】
    4. 遺言執行者が行った行為の効果【民法1015条】
    5. 遺言執行者の復任権【民法1016条】
    6. 複数人の遺言執行【民法1017条】
  6. 遺言執行者の報酬【民法1018条】
  7. 遺言執行者の終了に関する条文
    1. 遺言執行者の解任・辞任【民法1019条】
    2. 遺言執行者の終了は委任を準用【民法1020条】
  8. さいごに

遺言執行者は遺言書で指定【民法1006条】

民法1006条では、遺言執行者の指定について定めています。

(遺言執行者の指定)
第千六条 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法1006条)

遺言執行者を指定するには、遺言書に記載する必要があります。

遺言書以外で遺言執行者を指定しても効力は無いので、候補者がいるなら忘れずに記載しましょう。

遺言執行者の指定を委託【民法1006条2項・3項】

遺言書で遺言執行者の指定を第三者に委託することもできます。

そして、委託された第三者は、遅滞なく遺言執行者を指定して相続人に通知します。

委託を辞するとき(第三者の指定をしないとき)も、遅滞なく相続人に通知する必要があります。

 

遺言執行者の就任に関する条文

遺言執行者の就任に関する条文は3つあります。

  • 民法1007条:遺言執行者の任務開始
  • 民法1008条:遺言執行者に就任の催告
  • 民法1009条:遺言執行者の欠格事由

それぞれ説明していきます。

遺言執行者の任務開始【民法1007条】

民法1007条では、遺言執行者の任務開始について定めています。

(遺言執行者の任務の開始)
第千七条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法1007条)

遺言書で指定された人が就任を承諾したときは、直ちに任務を行ってください。

また、遺言執行者の任務を開始したときは、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知してください。

遺言執行者に就職の催告【民法1008条】

民法1008条では、遺言執行者に対する就職の催告について定めています。

(遺言執行者に対する就職の催告)
第千八条 相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

出典:e-Govウェブサイト(民法1008条)

相続人や利害関係人は遺言書で指定された人に対して、遺言執行者に就任するのか催告することができます。

そして、催告しても返答がなければ、遺言執行者に就任したとみなします。

司法書士から一言遺言執行者に就任するつもりがなければ、辞退の意思表示をしましょう。

遺言執行者の欠格事由【民法1009条】

民法1009条では、遺言執行者の欠格事由について定めています。

(遺言執行者の欠格事由)
第千九条 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。

出典:e-Govウェブサイト(民法1009条)

未成年者や破産者は遺言執行者になれません。

ただし、遺言書作成時に未成年者や破産者であっても、遺言執行者に指定することはできます。

なぜなら、遺言書の効力発生時に、未成年者や破産者に該当しなければ就任できるからです。

 

遺言執行者の選任【1010条】

民法1010条では、遺言執行者の選任について定めています。

(遺言執行者の選任)
第千十条 遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1010条)

利害関係は遺言執行者がいなければ、家庭裁判所に選任申立てができます。

上記以外のケースでも、遺言執行者が必要であれば、選任申立てができるので安心してください。

 

相続財産目録の作成交付【民法1011条】

民法1011条では、相続財産目録の作成交付について定めています。

(相続財産の目録の作成)
第千十一条 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法1011条)

遺言執行者は相続財産目録を作成して、相続人に交付する必要があります。

また、相続人の請求があるときは、相続人の立会いのもと相続財産目録を作成します。または、公証人に財産目録を作成してもらいます。

司法書士から一言相続財産目録は遺留分の無い相続人に対しても交付します。

 

遺言執行に関する条文

遺言執行に関する条文は複数あります。

  • 民法1012条:遺言執行者の権利義務
  • 民法1013条:遺言執行の妨害禁止
  • 民法1014条:特定財産に関する遺言執行
  • 民法1015条:遺言執行の効果
  • 民法1016条:遺言執行者の復任権
  • 民法1017条:遺言執行者が複数人の遺言執行

それぞれ説明していきます。

遺言執行者の権利義務【民法1012条】

民法1012条では、遺言執行者の権利義務について定めています。

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
3 第六百四十四条、第六百四十五条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

出典:e-Govウェブサイト(民法1012条)

遺言執行者は、遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有しています。

また、遺言執行者が存在する場合、遺贈の履行は遺言執行者のみが行えます。

委任に関する条文を準用【民法1012条3項】

民法1012条3項で、委任に関する条文を準用しています。

  • 民法644条:善管注意義務
  • 民法645条:報告義務
  • 民法646条:引渡し義務
  • 民法647条:金銭消費に関する責任
  • 民法650条:費用の償還請求

遺言執行者には善管注意義務や報告義務等もあるので、就任する際は注意してください。

遺言執行の妨害禁止【民法1013条】

民法1013条では、遺言執行の妨害禁止について定めています。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。

出典:e-Govウェブサイト(民法1013条)

遺言執行者が存在する場合、相続人は遺言執行を妨げる行為はできません。遺言執行を妨げた行為は無効となります。
ただし、善意の第3者には無効を対抗できません。

相続人の債権者は、相続財産について権利行使することができます。

特定財産に関する遺言執行【民法1014条】

民法1014条では、特定財産に関する遺言執行について定めています。

(特定財産に関する遺言の執行)
第千十四条 前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
4 前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

出典:e-Govウェブサイト(民法1014条)

遺言書に記載されているのが特定の財産だけであれば、以下の条文は特定の財産にだけに適用されます。

  • 民法1011条:相続財産目録の作成交付
  • 民法1012条:遺言執行者の権利義務
  • 民法1013条:遺言執行の妨害禁止

遺言書に記載されていない財産については、遺言執行者に何の権利義務もありません。

特定財産承継遺言【民法1014条2項・3項・4項】

特定財産承継遺言であっても、法定相続分を超える部分については対抗要件を備える必要があります。

特定財産承継遺言
特定の財産を相続人に相続させる遺言のこと

そして、遺言書の記載が特定財産承継遺言であれば、遺言執行者は対抗要件を備えるための行為ができます。

例えば、不動産をAに相続させるという内容の遺言であれば、遺言執行者は対抗要件を備えるために相続登記を申請できます。

遺言執行者に就任するなら、遺言書の記載内容に十分気を付けてください。

遺言執行者が行った行為の効果【民法1015条】

民法1015条では、遺言執行の効果について定めています。

(遺言執行者の行為の効果)
第千十五条 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1015条)

遺言執行者が権限内において、遺言執行者であると示して行った行為は、相続人に対して直接効力を生じます。

遺言執行者の復任権【民法1016条】

民法1016条では、遺言執行者の復任権について定めています。

(遺言執行者の復任権)
第千十六条 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

出典:e-Govウェブサイト(民法1016条)

原則として、遺言執行者は自己の責任で、第3者に遺言執行を任せることができます。

ただし、遺言者が別段の意思表示を遺言書に記載していれば、遺言者の意思に従います。

ちなみに、第3者に遺言執行を任せることについて、やむを得ない事由があれば責任の範囲は限定されます。

複数人の遺言執行【民法1017条】

民法1017条では、遺言執行者が複数人の場合について定めています。

(遺言執行者が数人ある場合の任務の執行)
第千十七条 遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1017条)

原則として、遺言執行者が複数人存在する場合、遺言執行は過半数で決します。

例外は、遺言者が遺言書に別段の意思表示をしたときです。

保存行為に関しては、法律や別段の意思表示に関わらず、各遺言執行者が単独で行うことができます。

 

遺言執行者の報酬【民法1018条】

民法1018条では、遺言執行者の報酬について定めています。

(遺言執行者の報酬)
第千十八条 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
2 第六百四十八条第二項及び第三項並びに第六百四十八条の二の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。

出典:e-Govウェブサイト(民法1018条)

遺言執行者の報酬は遺言書に定めが無ければ、家庭裁判所が定めることができます。

民法1018条2項では、以下の条文を準用しています。

  • 民法648条2項:遺言執行履行後に報酬請求
  • 民法648条3項:途中で終了した場合の報酬
  • 民法648条の2:成果等に対する報酬

遺言執行者の報酬額については、遺言執行者と相続人の間でトラブルになりやすいので注意してください。

 

遺言執行者の終了に関する条文

遺言執行者の終了に関する条文も複数あります。

  • 民法1019条:遺言執行者の解任・辞任
  • 民法1020条:遺言執行者の任務終了

それぞれ説明していきます。

遺言執行者の解任・辞任【民法1019条】

民法1019条では、遺言執行者の解任・辞任について定めています。

(遺言執行者の解任及び辞任)
第千十九条 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。
2 遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1019条)

遺言執行者の解任には正当な事由【民法1019条1項】

遺言執行者を解任するには、任務を怠る等の正当な事由が必要です。

解任を請求する正当な事由があれば、相続人等は家庭裁判所に解任を請求できます。

遺言執行者が辞任するには家庭裁判所の許可【民法1019条2項】

遺言執行者が辞任するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。

遺言執行者に就任前であれば自由に辞退できますが、就任後は辞任するのに正当な事由も必要になります。

遺言執行者の終了は委任を準用【民法1020条】

民法1020条では、遺言執行者の終了について定めています。

(委任の規定の準用)
第千二十条 第六百五十四条及び第六百五十五条の規定は、遺言執行者の任務が終了した場合について準用する。

出典:e-Govウェブサイト(民法1020条)

遺言執行者の終了については、以下の条文を準用しています。

  • 民法654条:遺言執行終了後の処分
  • 民法655条:遺言執行終了の対抗要件

遺言執行者に関する条文では、委任に関する条文を多く準用している点も特徴です。

 

さいごに

遺言執行者に関することも民法の条文で定められています。

遺言執行者の指定であれば民法1006条ですし、相続財産目録の作成交付は民法1011条になります。

民法改正により追加された条文も多いので、遺言執行者に就任するのであれば確認しておく必要があります。

遺言執行者の詳しい説明については、各リンク先でご確認ください。

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