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遺言執行者を解任するには任務を怠る等の事由が必要

遺言執行者の解任
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遺言執行者を解任することは可能です。

ただし、解任するには解任事由が必要となります。

  • 遺言執行者が任務を怠った
  • その他正当な事由がある

上記に該当すれば、家庭裁判所に解任請求をすることができます。

今回の記事では、遺言執行者の解任について説明しているので、遺言執行者で悩んでいれば参考にしてください。

1.遺言執行者を解任するには解任事由が必要

遺言執行者を解任することはできますが、解任するには法律で定めた事由に該当する必要があります。

(遺言執行者の解任及び辞任)
第千十九条 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1019条)

遺言執行者を解任するには、以下のどちらかが必要です。

  • 遺言執行者が任務を怠った
  • その他正当な事由がある

遺言執行者の解任事由

1-1.遺言執行者が任務を怠った

遺言執行者が任務を怠っていれば、家庭裁判所に解任請求をすることができます。

任務を怠った主な例としては、以下の3つがあります。

  • 遺言執行者が遺言執行を速やかに行わない
  • 遺言執行者が相続財産目録を渡さない
  • 遺言執行者が執行状況を教えてくれない

上記はいずれも遺言執行者の義務違反となります。

ただし、遺言執行者が任務を怠っていたとしても、程度によっては解任請求が認められないこともあります。

1-2.解任する正当な事由とは?

遺言執行者を解任する正当な事由があるときには、以下のようなケースがあります。

  • 遺言執行者が長期入院している
  • 特定の相続人等に有利な取り扱いをしている
  • 遺言執行者が財産を着服している

一般的には、遺言執行者が長期入院する場合等は辞任しますが、辞任しない場合には解任請求もできます。あるいは、意思表示ができない状態かもしれません。

相続人と受遺者がいる場合に、遺言執行者が相続人に有利な取り扱いをしていれば、受遺者は解任請求することができます。

当然ですが、遺言執行者が相続財産を着服していれば解任請求できます。

 

2.家庭裁判所に解任請求する

遺言執行者が解任事由に該当したとしても、自動的に解任されるわけではありません。

遺言執行者を解任するには、利害関係人が家庭裁判所に解任請求をする必要があります。

(遺言執行者の解任及び辞任)
第千十九条 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1019条)

遺言執行者の解任請求

2-1.解任を請求できるのは利害関係人

遺言執行者の解任請求ができるのは、法律上の利害関係人だけです。

  • 相続人
  • 受遺者
  • 共同遺言執行者

上記以外の人でも、利害関係があれば解任請求することができます。

申立てには利害関係が必要

2-2.申立てには複数の書類が必要

遺言執行者の解任請求をするには、複数の書類が必要となります。

主な書類は以下のとおりです。

  • 遺言執行者解任申立書
  • 遺言書の写しまたは選任審判書
  • 利害関係を証する資料
  • 解任事由を証する資料

利害関係を証する資料とは、相続人であれば戸籍謄本が該当します。

 

3.遺言執行者を解任できないケース

遺言執行者を解任できないケースもあります。間違えやすいので注意してください。

  • 遺言執行者が就任の承諾をしていない
  • 複代理人が遺言執行業務を進めている
  • 遺言執行者に報酬を払いたくない

3-1.遺言執行者が就任の承諾をしていない

遺言書で遺言執行者が指定されていても、就任の承諾をしていなければ遺言執行者ではありません。

ですので、就任の承諾をしないからといって、家庭裁判所に解任の請求をすることはできません。

遺言執行者に指定されている人が就任を拒否すれば、遺言執行者は存在しないので選任申立てができます。

3-2.複代理人が遺言執行業務を進めている

遺言執行者が入院している場合でも、複代理人が遺言執行業務を行っていれば、解任請求をすることはできません。

なぜなら、復代理人が遺言執行業務を問題なく進めていれば、解任事由に該当しないからです。

遺言執行者が入院している場合等は、復代理人を選任しているか確認してください。

3-3.遺言執行者に報酬を払いたくない

遺言書で遺言執行者の報酬を決めているのは珍しくありません。

ただし、相続人からすると、遺言執行者の報酬は高額だと感じることも多いです。自分で遺言執行をすれば無料になるので、遺言執行者を解任したいと相談される人もいます。

ですが、遺言執行者に報酬を払いたくないでは、解任請求は認められないでしょう。

*専門家(弁護士等)を遺言執行者に指定する場合、報酬は自由設定なので依頼する人によって違います。

以下は、弁護士を遺言執行者にした場合の旧基準額です。

(旧)日本弁護士連合会報酬等基準
経済的利益 報酬額
300万円以下 30万円
300万円超
3,000万円以下
2%+24万円
3000万円超
3億円以下
1%+54万円
3億円超 0.5%+204万円

報酬が自由設定になった後も、目安として旧基準額を利用している人はいます。

 

4.さいごに

遺言執行者を解任することはできます。

ただし、自由に解任できるわけではなく、解任事由が必要です。

  • 遺言執行者が任務を怠った
  • その他正当な事由がある

遺言執行者が任務を怠っていれば、相続人(受遺者等)は家庭裁判所に解任請求をすることができます。

遺言執行者が解任されたら、新しい遺言執行者を選任することもできます。