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失踪宣告でも代襲相続は発生する|数次相続との違いに注意

失踪宣告と代襲相続
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失踪宣告により生死不明者が死亡とみなされると、代襲相続が発生する可能性もあります。

亡くなった人の相続人が生死不明だと、失踪宣告により代襲相続が発生しやすいです。

失踪宣告による代襲相続人であっても、相続人として相続手続きに参加します。

今回の記事では、失踪宣告と代襲相続について説明しているので、失踪宣告を検討しているなら参考にしてください。

目次

1.失踪宣告と代襲相続の関係を説明

まずは、失踪宣告と代襲相続の関係を説明します。

失踪宣告により生死不明者が死亡とみなされると、代襲相続が発生するケースもあります。

どういうケースかというと、亡くなった人の相続人が生死不明だった場合です。

1-1.相続人が生死不明でも除外できない

相続人が生死不明でも遺産分割協議から除外できない

生死不明であっても相続人なので、遺産分割協議から除外できません。相続人を除外した遺産分割協議は無効です。

亡くなった人が遺言書を残していた場合は別ですが、生死不明者(相続人)の問題を解決しなければ、相続手続きが進みません。

そのため、相続手続きを進める方法として、失踪宣告の申立てをします。

1-2.死亡日が亡くなった人よりも前なら代襲相続

失踪宣告により代襲相続が発生

失踪宣告により死亡とみなされた日が、亡くなった人よりも前なら代襲相続が発生します。

代襲相続

本来の相続人に代わって相続する

生死不明の期間が長いと、亡くなった人よりも死亡日が前になりやすいです。

【事例】
被相続人Aは令和2年2月11日に死亡。相続人は長男・二男・三男の3人です。

ただし、長男は失踪宣告により令和元年7月8日に死亡とみなされた。

長男には子がいたので、代襲相続により長男の子が相続人となります。

したがって、被相続人Aの相続人は、長男の子・二男・三男に変更です。

失踪宣告により代襲相続が発生したら、代襲相続人が遺産分割協議の参加者となります。

遺産分割協議書に署名捺印するのも代襲相続人なので、間違えて除外しないように注意してください。

2.失踪宣告しても代襲相続が発生しないケース

失踪宣告により生死不明者(相続人)が死亡とみなされても、代襲相続が発生するとは限りません。

生死不明者の死亡日や相続関係によって、代襲相続の有無が決まります。

2-1.生死不明者の死亡日が被相続人より後だった

生死不明者(相続人)の死亡とみなされた日が、被相続人の死亡日よりも後だった場合、代襲相続は発生しません。

なぜなら、生死不明者は相続発生後に亡くなっているからです。

【事例】
被相続人は令和2年2月11日に死亡。相続人は失踪宣告により令和3年7月8日に死亡とみなされた。

令和2年2月11日に相続が発生し、生死不明者は相続発生時に生存しているので相続人です。

相続発生後、令和3年7月8日に死亡となります。

生死不明者が相続発生後に死とみなされた場合、生死不明者に相続人がいれば数次相続が発生します。

失踪宣告と数次相続については、【5.失踪宣告により数次相続も発生する】で説明しています。

2-2.生死不明者を代襲相続する人がいない

生死不明者(相続人)の死亡とみなされた日が、被相続人の死亡日より前だったとしても、代襲相続する人がいなければ発生しません。

生死不明者の直系卑属以外は、代襲相続人になれないです。
配偶者は代襲相続できない。

ただし、被相続人の共同相続人が他にいれば、相続手続きは進められるので問題ありません。

【事例】
被相続人は令和2年2月11日に死亡。相続人は失踪宣告により令和元年7月8日に死亡とみなされた。

生死不明者には直系卑属がいないので、代襲相続は発生しません。

したがって、被相続人の相続人は二男と三男の2人だけです。2人で遺産分割協議をすれば、相続手続きは進みます。

生死不明者に代襲相続が発生しなければ、相続人の人数が減るだけです。結果として、相続手続きを進めれます。

3.失踪宣告による相続と代襲相続は個別に判断

失踪宣告による相続と代襲相続の両方で相続人

失踪宣告により相続と代襲相続が発生する場合、2つの相続は個別に判断する必要があります。

なぜかというと、どちらかの相続財産がマイナスの可能性もあるからです。

3-1.相続と代襲相続で相続放棄は個別に選べる

失踪宣告による相続(代襲相続)であっても、相続放棄を選ぶのは自由です。

そして、相続と代襲相続は別の相続なので、どちらかだけ相続放棄もできます。

【事例】
生死不明だった親の失踪宣告が認められた結果、祖父の代襲相続人と親の相続人になった場合。

祖父の相続と親の相続で、それぞれ単純承認または相続放棄を選べます。

祖父名義の不動産は不要なので相続放棄、親名義の不動産は必要なので相続を選んだ。

失踪宣告により代襲相続が発生した場合、相続と代襲相続は分けて判断してください。

3-2.失踪宣告による代襲相続を相続放棄する

失踪宣告による代襲相続を相続放棄するなら、代襲相続人であることを知った日から3ヶ月に、家庭裁判所で手続きをしてください。

相続放棄の手続きは通常の相続と同じです。

失踪宣告による代襲相続を放棄した場合、初めから相続人ではなかったとみなされます。

4.失踪宣告により意図せず代襲相続が発生

失踪宣告により親が死亡とみなされた場合、代襲相続が発生していないか確認してください。

なぜかというと、死亡とみなされた日によっては、意図していなかった代襲相続も発生するからです。

親(生死不明者)の親(祖父母)や兄弟姉妹(おじ・おば)の中には、死亡とみなされた日より後に亡くなっている人もいます。

親(生死不明者)の相続を発生させるために失踪宣告した場合でも、代襲相続の要件を満たせば代襲相続人です。

失踪宣告の申立てをする場合は、相続だけでなく代襲相続にも気を付けてください。

5.失踪宣告により数次相続も発生する

相続人である生死不明者の死亡日が被相続人より後なら数次相続

失踪宣告により死亡とみなされた日が、亡くなった人よりも後なら数次相続が発生します。
※相続人がいる場合。

数次相続

遺産分割協議前に相続人が亡くなる

失踪宣告による代襲相続と違う点は、亡くなった人の相続人です。

失踪宣告により数次相続が発生しても、亡くなった人の相続人は生死不明者になります。

相続人(生死不明者)が遺産分割協議をする前に亡くなったので、相続人の相続人(数次相続人)が遺産分割協議をする権利を引き継ぐ。
※相続人は権利・義務をすべて引き継ぎます。

生死不明者の死亡とみなされた日によって、代襲相続なのか数次相続なのか決まります。失踪宣告が認められたら、必ず死亡とみなされた日を確認してください。

6.まとめ

今回の記事では「失踪宣告と代襲相続」について説明しました。

亡くなった人の相続人が生死不明だと、失踪宣告により代襲相続が発生しやすいです。

ただし、「死亡とみなされた日」と「亡くなった人の死亡日」の前後によって、代襲相続なのか数次相続なのか違いがあります。

失踪宣告による代襲相続であっても、相続放棄は選べます。マイナスの財産や不要な財産が多ければ、失踪宣告も検討しましょう。

失踪宣告でも代襲相続は発生するので、相続人を間違えないように注意してください。

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