限定承認は相続方法の1つなのですが、世間一般の認知度は相続放棄より低いです。限定承認の内容が分かりにくいのも原因かもしれません。
今回の記事では、限定承認の基本をわかりやすく説明していきます。もちろん、限定承認を実際に選ぶ場合は、詳しい説明をしっかりと読んでおいてください。
1.限定承認とは相続方法の1つ
人が亡くなると相続が発生します。限定承認とは3つある相続方法の1つです。
- 単純承認
- 相続放棄
- 限定承認
残りの2つも少しだけ説明しておきます。
単純承認が一般的に言われる相続のことです。亡くなった人の財産をすべて相続します。
相続放棄は相続する権利を放棄することです。亡くなった人の財産をすべて放棄します。
単純承認と相続放棄については、全部相続するか全部放棄するかなので分かりやすいです。
それに対して、限定承認はプラスの財産を限度として、マイナスの財産を負担する相続方法です。
2.借金の負担額に限度がある
限定承認の最大の特徴は、亡くなった人のプラスの財産を限度として、マイナスの財産を負担するということです。
- プラスの財産
- 現金・預貯金や不動産等
- マイナスの財産
- 借金や未払金等
例えば、亡くなった人の借金が1,000万円だったとしても、限定承認をした相続人はプラスの財産を限度して負担します。
亡くなった人の借金が1,000万円 | |
プラスの財産 | 借金の負担額 |
100万円 | 100万円 |
500万円 | 500万円 |
900万円 | 900万円 |
借金の方が多ければ相続放棄と思うかもしれませんが、亡くなった人の借金が後から見つかる可能性もあります。
最終的にプラスとマイナスのどちらが多いか分からないときは、限定承認を選ぶ方が得になることもあります。
3.支払いをして残れば貰える
限定承認をした相続人は、プラスの財産で借金等を支払います。支払いをした結果、プラスの財産が残れば貰えます。
マイナスの財産が多い場合とは結論が逆になります。プラスの財産が多い場合は、そのまま相続することができます。
借金の方が多いかもしれないので限定承認をしたが、結果としてプラスの財産の方が多いこともあります。プラスの財産が多ければすべて相続することができます。
限定承認をしてからプラスの財産が見つかる可能性もあるので、亡くなった人の財産構成によっては限定承認を検討しましょう。
4.相続人全員で行う必要がある
限定承認は亡くなった人の相続人全員で行う必要があります。
1人でも限定承認に反対する相続人がいれば、単純承認か相続放棄のどちらかを選ぶことになります。
限定承認を選ぶには、相続人全員の意見を一致させる必要があります。
誰が相続人になるかは『法定相続人|誰がなるかは法律により定められている』でご確認ください。
5.さいごに
限定承認とは3つある相続方法の1つです。残り2つが単純承認と相続放棄となります。
限定承認は亡くなった人のプラスの財産を限度として、マイナスの財産を負担する相続方法です。
限定承認をするには3ヶ月以内に、相続人全員で家庭裁判所の手続きをする必要があります。
今回の記事は分かりやすさを優先していますので、詳しい説明に関しては個別の記事でご確認ください。