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法定相続人の第1順位は子ども|相続分の割合は全員同じ

法定相続人の第1順位は子ども
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亡くなった人の子どもは、相続順位の第1位なので相続人となります。配偶者がいれば共同相続人です。

実子・養子、嫡出子・非嫡出子を問わず、亡くなった人の子どもは全員相続人となるので、勘違いしないように注意してください。

子どもの法定相続分も全員同じ割合で、子どもによる違いはありません。

今回の記事では、法定相続人と子どもについて説明しているので、相続の悩みを解決するために役立ててください。

目次

  1. 法定相続人の第1順位は子ども
    1. 子どもが複数人なら全員相続人
    2. 配偶者がいれば子どもと共同相続人
  2. 養子も実子と同じく法定相続人
    1. 実子がいれば養子と共同相続人
    2. 相続人となる養子の人数に制限はない
    3. 相続発生後に養親と離縁しても相続人
  3. 法律上の子はすべて相続人に含まれる
    1. 認知した子(非嫡出子)も相続人
    2. 他家の養子になった子も相続人
    3. 前妻(前夫)の子も相続人
    4. 出生前の胎児も相続人
    5. 遺留分放棄した子も相続人
    6. 勘当した子(絶縁状態)も相続人
  4. 法定相続人と間違えやすい子に注意
    1. 子の配偶者は相続人ではない
    2. 配偶者の連れ子は相続人ではない
    3. 認知していない子は相続人ではない
  5. 子どもが相続人にならないケース
    1. 相続放棄した子は相続人ではない
    2. 相続欠格に該当した子は相続人ではない
    3. 廃除された子は相続人ではない
  6. 子どもが先に亡くなっていると代襲相続
  7. 子の法定相続分は配偶者の有無で変わる
    1. 配偶者がいるなら子どもは2分の1
    2. 相続人が子どもだけなら人数で等分
  8. 子の遺留分は法定相続分の2分の1
  9. まとめ
  10. 法定相続人と子どもに関するQ&A

1.法定相続人の第1順位は子ども

血族相続人の第1位は子ども

まずは、子どもが相続人になる点から説明します。

誰が相続人になるかは法律で定められており、子どもが相続人になるのは民法で決まっています。

以下は、民法の条文です。

(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。

出典:e-Govウェブサイト(民法887条1項)

上記の条文を読むと分かりますが、子どもは無条件で相続人となります。

1-1.子どもが複数人なら全員相続人

亡くなった人の子どもは相続人なので、子どもが複数人いれば全員相続人となります。

下記は、よくある間違いです。

  • 長男(長女)が相続人
  • 同居している子が相続人
  • 親を看取った子が相続人

子どもは無条件で相続人なので、上記のような決まりはないです。

たとえ子どもが10人以上いる場合でも、全員が相続人になります。人数制限などはありません。

1-2.配偶者がいれば子どもと共同相続人

配偶者と子どもは共同相続人

亡くなった人に配偶者がいれば、子どもと共同相続人となります。

配偶者または子どもの片方だけではなく、両方が相続人です。相続人としての立場は同じなので、配偶者を優先するなどの決まりもありません。

配偶者と子どもは共同相続人になるので、相続人を確認する際は間違えないように注意してください。

2.養子も実子と同じく法定相続人

次に、養子も実子と同じく相続人になる点を説明します。

亡くなった人に養子がいれば、実子と同じく法定相続人になります。

なぜなら、養子は養親の嫡出子となるからです。

以下は、民法の条文です。

(嫡出子の身分の取得)
第八百九条 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

出典:e-Govウェブサイト(民法809条)

法律上、養子と実子に違いはありません。相続でも養子と実子は同じ扱いです。

2-1.実子がいれば養子と共同相続人

実子と養子は共同相続人

亡くなった人に実子がいれば、養子と共同相続人となります。

実子または養子の片方が相続人ではなく、両方が子どもとして共同相続人です。実子を優先するなどの決まりもありません。

実子がいれば養子は相続人にならないと勘違いしている人は多いので、相続人を確認する際は気を付けてください。

2-2.相続人となる養子の人数に制限はない

法律上、養子の人数に制限はありません。

そして、相続人となる養子の人数にも制限はありません。

例えば、亡くなった人に養子が10人いれば、法定相続人は10人増えます。

養子が増えれば増えるほど、相続は複雑になるので、意味もなく養子を増やすのは止めた方がいいです。

ちなみに、相続税においては、養子の人数に制限があるので、相続人とはルールが違います。

2-3.相続発生後に養親と離縁しても相続人

養親と養子が生前に離縁すると、養子は相続人になりません。

ただし、養親の死後に離縁しても、養子は相続人のままです。

死後離縁の効力は過去に遡らないので、発生済の相続には何の影響もありません。

養子縁組を解消している養子がいる場合は、離縁日を確認してください。離縁日によっては相続人の一人となります。

3.法律上の子はすべて相続人に含まれる

法律上の子はすべて相続人

法律上の子は、すべて相続人に含まれます。

下記は、間違えて相続人から除外しやすいので、しっかりと確認しておきましょう。

  • 認知した子も相続人
  • 養子に行った子も相続人
  • 前妻(前夫)の子も相続人
  • 出生前の胎児も相続人
  • 遺留分放棄した子も相続人
  • 勘当した子も相続人

それぞれ説明していきます。

3-1.認知した子(非嫡出子)も相続人

亡くなった人が認知している子も、相続人に含まれます。

非嫡出子であっても、嫡出子と同じく相続人です。非嫡出子と嫡出子に違いはありません。

亡くなった人が認知の事実を黙っていた場合、認知した子を見逃す場合もあります。相続人全員が参加しなければ、遺産分割協議は不成立です。

認知の有無を確認するには、出生から死亡までの戸籍をすべて取得する必要があります。

3-2.他家の養子になった子も相続人

実子が他家の養子になっていても、相続人に含まれます。

養子縁組を結んだからといって、実親の相続から除外される規定はありません。

養子縁組により養親の相続人になりますが、実親の相続人にもなります。

他家の養子になっているからといって、相続から除外しないように気を付けてください。

3-3.前妻(前夫)の子も相続人

亡くなった人が離婚後に再婚していても、前妻(前夫)の子は相続人に含まれます。

離婚時に相手方が子を引き取っていても、子であることに変わりはありません。子の親権者や苗字が前妻(前夫)であっても、相続人になります。

再婚相手との間に子がいれば、前妻(前夫)の子と共同相続人です。

3-4.出生前の胎児も相続人

亡くなった人に出生前の子(胎児)がいれば、相続人に含まれます。

相続では胎児を出生しているとみなすので、子どもとして相続人です。

ただし、胎児が死産になると、相続人に含まれません。胎児の相続は出生が条件となります。

実際の相続では、胎児の出生を待ってから相続手続きを開始します。

3-5.遺留分放棄した子も相続人

生前に遺留分放棄した子がいても、相続人に含まれます。

なぜなら、遺留分侵害額請求権を放棄しただけなので、相続人であることに変わりはないからです。

亡くなった親が遺言書を作成していなければ、遺留分放棄した子も遺産分割協議の参加者となります。

3-6.勘当した子(絶縁状態)も相続人

勘当(絶縁)している子がいても、相続人に含まれます。

法律上、親子の縁を切ることはできないので、勘当している子も相続人です。

たとえ何十年音信不通であっても相続人なので、相続手続きを進めるのが難しくなります。

できる限り、遺言書を作成するなどして、遺産分割協議を不要にしておきましょう。

4.法定相続人と間違えやすい子に注意

法律上の子に含まれない

亡くなった人の子どもは法定相続人ですが、法律上の子どもに限られます。

下記の子どもは法定相続人に含まれないので、間違えないように注意しましょう。

  • 子の配偶者
  • 配偶者の連れ子
  • 認知していない子

それぞれ説明していきます。

4-1.子の配偶者は相続人ではない

子どもの配偶者を「義理の息子(娘)」と表現する人は多いです。

ですが、法律上の子どもではないので、相続人には含まれません。たとえ同居していたとしても、子の配偶者は相続できません。

子の配偶者を相続人にするなら、養子縁組をしておきましょう。

4-2.配偶者の連れ子は相続人ではない

配偶者に連れ子がいても、法律上の子どもには含まれません。

あくまでも、配偶者の子どもであって、自分の子どもではありません。婚姻したからといって、自分の子どもにはなりません。

配偶者の連れ子を相続人にするなら、養子縁組をしておきましょう。

4-3.認知していない子は相続人ではない

事実婚の配偶者との間に生まれた子どもは、認知しなければ法律上の子どもになりません。

たとえ血縁上は子どもであっても、認知していなければ相続人ではありません。

相続人かどうかは法律により判断するので、認知が必要になります。

もし、認知する前に亡くなった場合は、死後認知も可能なので諦めないでください。

5.子どもが相続人にならないケース

相続人にならない子

亡くなった人の子どもは法定相続人です。

ただし、子どもであっても、相続人にならないケースがあります。

  • 相続放棄した子
  • 相続欠格に該当した子
  • 廃除された子

上記に該当する子どもは、亡くなった人の相続人ではありません。

5-1.相続放棄した子は相続人ではない

相続放棄した子どもは、初めから相続人ではなかったとみなされます。

以下は、民法の条文です。

(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

出典:e-Govウェブサイト(民法939条)

子は第1順位の法定相続人ですが、相続を強制されるわけでなく、相続放棄を選ぶことも可能です。

相続放棄した子は相続人ではないので、相続手続きにも関わりません。

ただし、相続放棄できるのは、相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。何もしなければ、相続したとみなされます。

5-2.相続欠格に該当した子は相続人ではない

亡くなった人の子どもであっても、相続欠格に該当すると相続人ではありません。

以下は、民法の条文です。

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

出典:e-Govウェブサイト(民法891条)

子が相続欠格に該当すると、亡くなった人の意思表示に関係なく、相続人になれません。法律上、自動的に相続人から除外されます。

ただし、子が相続欠格に該当しても、子に子(孫)がいれば代襲相続人となります。

5-3.廃除された子は相続人ではない

亡くなった人の子どもであっても、廃除されていると相続人ではありません。

以下は、民法の条文です。

(推定相続人の廃除)
第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法892条)

家庭裁判所への請求が必要なので、何もしなければ廃除になりません。相続欠格とは違うので注意してください。

ただし、廃除された子に子(孫)がいれば、代襲相続が発生する点は相続欠格と同じです。

6.子どもが先に亡くなっていると代襲相続

代襲相続が発生すると孫も第1順位の相続人

亡くなった親よりも先に子どもが亡くなっていると、子どもは相続人になりません。

ただし、子どもに子ども(孫)がいれば、代襲相続により孫が相続人になります。

以下は、代襲相続が発生している相続です。

孫が代襲相続人なら第1順位の相続人

他の子どもが健在であっても、孫がいれば代襲相続は発生します。

代襲相続が発生すると、孫は第1順位の相続人です。

亡くなっている子どもがいる場合は、必ず代襲相続人の有無を確認してください。

7.子の法定相続分は配偶者の有無で変わる

子どもの法定相続分は、亡くなった人に配偶者がいるかどうかで変わります。

  • 配偶者がいる :2分の1
  • 配偶者がいない:1分の1

それぞれ説明していきます。

7-1.配偶者がいるなら子どもは2分の1

まずは、配偶者と子どもが相続人の場合です。

子どもの法定相続分は「2分の1」となります。

以下は、民法の条文です。

(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
(中略)
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。

出典:e-Govウェブサイト(民法900条1号・4号)

子どもが複数人存在する場合は、「2分の1」を子どもの人数で等分します。

【例題1】
配偶者と子ども(1人)が相続人の場合。

配偶者と子(1人)の相続割合

子どもは1人なので、子どもの相続分は2分の1です。

【例題2】
配偶者と子ども(2人)が相続人の場合。

配偶者と子(2人)の相続割合

子どもは2人なので、子どもの相続分は各4分の1です。

配偶者の相続分(2分の1)は固定で、子どもの相続分だけ人数で変化します。

以下は、配偶者と子どもの相続分を表にしたものです。

法定相続分の割合
子どもの人数 子ども 配偶者
子ども1人 2分の1 2分の1
子ども2人 各4分の1
子ども3人 各6分の1
子ども4人 各8分の1

子どもの人数が何人であっても、配偶者の相続分は変わりません。

7-2.相続人が子どもだけなら人数で等分

次に、子どもだけが相続人の場合です。

子どもの法定相続分は、人数で等分した割合になります。

【例題1】
子ども(2人)が相続人の場合。

子ども(2人)の相続割合

子どもは2人なので、子どもの相続分は各2分の1です。

【例題2】
実子(2人)と養子(1人)が相続人の場合。

実子(2人)と養子(1人)の相続割合

子どもは3人なので、子どもの相続分は各3分の1です。

実子と養子の法定相続分は同じになります。

配偶者がいなければ、単純に子どもの人数で等分するだけです。

8.子の遺留分は法定相続分の2分の1

子どもの遺留分は法定相続分の2分の1

子どもの法定相続分は、遺留分を計算する際にも利用します。

なぜなら、子どもの遺留分は、「法定相続分×2分の1」だからです。

【例題1】
配偶者と子ども(1人)が相続人の場合。

相続人が配偶者と子ども(1人)の遺留分

子どもの法定相続分は2分の1なので、遺留分は4分の1になります。

【例題2】
子ども(1人)が相続人の場合。

相続人が子ども(1人)の遺留分

相続人が子ども1人だけなので、遺留分は2分の1になります。

以下は、子どもの遺留分を表にしたものです。

遺留分の割合
相続人 子ども 配偶者
子1人と配偶者 4分の1 4分の1
子2人と配偶者 各8分の1
子3人と配偶者 各12分の1
子4人と配偶者 各16分の1
子1人 2分の1
子2人 各4分の1
子3人 各6分の1
子4人 各8分の1

子どもの遺留分は、法定相続分の2分の1だと覚えておきましょう。

9.まとめ

今回の記事では「法定相続人と子ども」について説明しました。

法定相続人の第1順位は子どもです。

法律上の子どもであれば、実子・養子、嫡出子・非嫡出子を問わず、全員相続人となります。

子どもの法定相続分は、配偶者の有無により違います。

  • 配偶者がいる :2分の1
  • 配偶者がいない:1分の1

亡くなった人に配偶者がいる場合、子どもの法定相続分は2分の1です。

子どもが複数人存在する場合は、子どもの人数で等分します。

子どもが相続人になるケースは多いので、相続人の有無や相続分の割合を確認しておきましょう。

法定相続人と子どもに関するQ&A

Q.嫡出子と非嫡出子の相続分は同じですか?
A.同じです。
Q.子どもが10年以上行方不明です。相続人になりますか?
A.行方不明でも相続人です。
Q.親が孫を養子にしています。相続分は同じですか?
A.実子と養子の相続分は同じです。