相続人が先に亡くなると代襲相続が発生することは、ご存知の方も多いです。
ですが、代襲相続の発生条件は死亡以外にもあります。
- 相続人の欠格事由に該当した
- 被相続人に廃除されている
代襲相続の発生条件を知らないと、相続人を間違うことにも繋がるので注意が必要です。
今回の記事では、代襲相続の発生条件を3パターン説明しているので、相続人を確認する際の参考にしてください。
目次
1.相続の開始以前に死亡している
代襲相続が発生する条件の1つ目は、相続の開始以前に死亡しているです。
代襲相続の発生条件では一番有名ではないでしょうか。
実際、代襲相続のほとんどは、相続人が先に死亡したことにより発生しています。
1-1.親が亡くなっているなら代襲相続に注意
亡くなっている親の直系尊属(祖父母)や兄弟姉妹(伯父・伯母)が健在であれば、代襲相続の発生に注意しておきましょう。
たとえ伯父・伯母(叔父・叔母)に子どもがいても、相続放棄すると代襲相続の発生条件を満たすことになります。
また、生涯未婚の人も増えているので、初めから兄弟姉妹が相続人になるケースも増えています。親が亡くなっていれば代襲相続の条件を満たします。
伯父・伯母の死亡により代襲相続が発生する可能性は高いです。
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1-2.同時死亡の推定でも代襲相続は発生する
民法には同時死亡の推定という規定があります。
例えば、親子が同じ事故で亡くなると、どちらが先に亡くなったのか分からない場合があります。
どちらが先に亡くなったか分からないと困るので、同時に死亡したと推定する規定です。
そして、親子が同時に死亡したと推定されると、代襲相続の発生条件を満たすことになります。
なぜなら、代襲相続は相続開始前に亡くなっている場合だけではなく、同時に亡くなっている場合を含むからです。
相続の開始以前なので、同時に死亡していれば代襲相続の発生条件に該当します。
2.相続人の欠格事由に該当した
代襲相続が発生する条件の2つ目は、相続人の欠格事由に該当したです。
相続人の欠格事由に該当すると、相続権を失うことになります。
相続人の欠格事由は民法891条に規定されています。
以下は、相続人の欠格事由の要約です。
- 故意に被相続人や先順位・同順位相続人を殺害または殺害しようとした
- 被相続人の殺害を知っていたが黙っていた
※例外があります。 - 詐欺や脅迫により遺言書の作成・撤回・取消し・変更を妨げた
- 詐欺や脅迫により遺言書を作成・撤回・取消し・変更させた
- 遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した
上記に該当すると相続することはできませんが、子どもがいれば代襲相続が発生します。
2-1.欠格事由に該当すると当然に代襲相続が発生
相続人が欠格事由に該当すると、法律上当然に相続権を失います。家庭裁判所での手続きも不要です
そして、欠格事由に該当した相続人に子どもがいれば、代襲相続の条件を満たすので代わりに相続します。
親が健在であっても、祖父母や叔父・伯母の相続人になることはあります。
2-2.相続発生後に欠格事由に該当する可能性
死亡による代襲相続とは違い、欠格事由による代襲相続は、相続発生後に条件を満たす可能性があります。
例えば、被相続人が残した遺言書を破棄すると、欠格事由に該当して代襲相続が発生します。
ですので、相続発生後であっても、代襲相続が発生することはあります。
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3.被相続人から廃除されている
代襲相続が発生する条件の3つ目は、被相続人から廃除されているです。
被相続人は推定相続人を廃除することができます。廃除された推定相続人に子どもがいれば、代襲相続が発生します。
ただし、推定相続人の廃除は自由にできるわけではありません。
被相続人は家庭裁判所に廃除を請求できるだけで、廃除するかどうかは家庭裁判所が判断します。
つまり、家庭裁判所が廃除を認めなければ、代襲相続も発生しません。
相続人の死亡や相続欠格と違い、廃除の場合は代襲相続の発生条件に家庭裁判所が関係します。
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4.さいごに
相続人が先に亡くなると代襲相続が発生するのは、知っている人も多いです。
ただし、同時死亡の推定でも代襲相続が発生することは、知らない人もいるので気をつけてください。
代襲相続が発生する条件は死亡以外にもあります。
- 相続人の欠格事由に該当する
- 被相続人に廃除されている
相続人が欠格事由に該当すると、当然に代襲相続が発生します。
一方、推定相続人を廃除できるかは、家庭裁判所の判断になります。
代襲相続の発生条件は相続において非常に重要なので、相続人を確認する際は間違えないように注意しましょう。