限定承認のデメリットは3つ|利用件数が少ない理由を確認

限定承認を実際に行っている相続人は少ないです。ほとんどの人は存在すら知らずに相続手続を進めていきます。

利用件数が少ないのは限定承認のデメリットも関係しています。

  • 相続人全員の同意
  • 手間がかかる
  • 費用が増える

上記のデメリットを知ったうえで、限定承認を検討してみてください。

1.相続人全員の同意が必要

限定承認は相続放棄と違い、相続人単独ではすることができません。相続人全員の同意が必要となります。

(共同相続人の限定承認)
第九百二十三条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

出典:e-Govウェブサイト

相続人全員の同意がデメリットになるのは、以下のようなケースが考えられます。

  • 相続人同士が疎遠である
  • 一部の相続人が単純承認をした

1-1.相続人同士が疎遠である

亡くなった人の相続人全員と連絡を取れる人は少ないはずです。

兄弟姉妹であっても連絡先を知らないのは、決して珍しくありません。代襲相続が発生していると、相続人と一度も会ったことが無いというケースもあります。

限定承認をするために全員と連絡を取り、説明して理解してもらうのは大変だと思います。

1-2.一部の相続人が単純承認とみなされた

限定承認は相続人全員の同意が必要なので、1人でも単純承認をしたとみなされると利用することはできません。

あなたも単純承認をするか、単独で相続放棄の手続きを取るかの2択となります。

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2.債務の清算に手間がかかる

限定承認を利用した場合は、債務の清算をしなければなりません。清算手続きは面倒なのでデメリットと考える人もいます。

詳しい説明は別記事でしますが以下のような流れになります。

  1. 請求申出の公告・催告
  2. 相続財産の管理・換価
  3. 債権者への弁済
  4. 残余財産の処理

財産が残らなければ一円も取得することはありません。手間だけかかってしまう可能性も低くはないです。

3.余計な費用が発生する

限定承認を選ぶと余計な費用が発生します。

プラスの財産が明らかにマイナス財産より多くなければ、結果的に収支はマイナスになります。

3-1.手続きを進めるための費用

限定承認の手続きを進めるための費用は3つあります。

  • 専門家報酬
  • 官報公告掲載料
  • その他費用

専門家報酬は高額

限定承認の手続きを自分でする人は少ないです。ほとんどのケースで弁護士に委任して進めています。

弁護士に委任すると報酬が発生しますが、はっきり言って高額です。着手金で約30万円ぐらいですし、成功報酬も必要となります。

相続放棄を専門家に依頼しても数万円なので、比較にならないぐらい差があります。

官報公告掲載料

債権者への請求申出を官報公告で行います。費用自体は相続財産から支払えるのですが、掲載料が数万円は発生します。

その他費用

その他の費用としては以下があります。

  • 相続財産の調査費用
  • 相続財産の管理費用
  • 知れている債権者への連絡費用

財産が多ければ、それだけ費用は増えます。

3-2.譲渡所得税が課税される可能性

限定承認をすると、亡くなった人から相続人に財産が譲渡されたとみなされて、譲渡所得が発生する可能性があります。

譲渡所得
土地・建物や株式等の資産を譲渡することによって生ずる所得のこと

亡くなった人が取得した時よりも、相続財産の時価が高ければ譲渡所得税が発生します。

4.限定承認と相続放棄の件数比較

限定承認の件数は少ないのですが、相続放棄とはどれぐらい違うのでしょうか。

以下の表は2016年から2020年までの件数比較です。

限定承認相続放棄
2016753197,766
2017722205,909
2018709215,320
2019657225,415
2020675234,732

<参考資料:司法統計>

桁違いという言葉がありますが、まさに桁が3つ違います。

限定承認の件数は約700件で推移していますが、相続放棄の件数は毎年1万件ぐらい増えています。

あくまでも限定承認の件数なので、債務清算後に財産が残った件数はさらに少ないでしょう。

5.さいごに

限定承認はほとんど利用されていません。理由としてはデメリットも影響していると思われます。

相続人全員の同意が必要な時点で諦める相続人もいますし、清算後に財産が確実に残らなければ収支はマイナスとなります。

デメリットを理解したうえで限定承認を選択する人は、特別な理由があるのだと思います。

まずは、限定承認をする価値が有るのかを相談してみてください。

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