限定承認のデメリットは4つ|利用件数が少ない理由を説明

限定承認を実際に行っている相続人は少ないです。ほとんどの人は存在すら知らずに相続手続を進めていきます。

限定承認の利用件数が少ないのは、デメリットも大きく関係しています。

  • 限定承認には相続人全員の同意
  • 限定承認の清算手続きは手間がかかる
  • 限定承認により余計な費用が増える
  • 限定承認を扱っている事務所が少ない

ただし、デメリットに該当しない人や、デメリットが気にならない人もいます。

今回の記事では、限定承認のデメリットについて説明しているので、相続を迷われているなら参考にしてください。

1.限定承認には相続人全員の同意が必要

限定承認は相続放棄と違い、相続人単独ですることはできません。相続人全員の同意が必要となります。

(共同相続人の限定承認)
第九百二十三条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法923条)

相続人全員の同意がデメリットになるのは、以下のようなケースが考えられます。

  • 相続人同士が疎遠である
  • 一部の相続人が単純承認をした

1-1.相続人同士が疎遠だと連絡が取りにくい

亡くなった人の相続人全員と連絡が取れるのであれば問題無いですが、連絡が取れないと限定承認が難しくなります。

なぜなら、たとえ消息不明の相続人がいたとしても、限定承認には相続人全員の同意が必要です。

限定承認をするために相続人全員と連絡を取り、説明して理解してもらうのは困難だと思います。

連絡が取れない相続人がいるなら、期間延長の申立ても必要です。

限定承認に相続人全員の同意が必要な点はデメリットと言えます。

1-2.一部の相続人が単純承認とみなされた

限定承認は相続人全員の同意が必要なので、1人でも単純承認をしたとみなされると利用することはできません。

あなたも単純承認をするか、単独で相続放棄の手続きを取るかの2択となります。

1人でも限定承認に反対の相続人がいると、限定承認が利用できない点はデメリットです。

 

2.限定承認の清算手続きに手間がかかる

限定承認を利用した場合は、債務の清算手続きをしなければなりません。

ですが、債務の清算手続きは非常に面倒なので、負債の内容によってはデメリットと考える人もいます。

詳しい説明は別記事でしますが、以下のような流れになります。

  1. 請求申出の公告・催告
  2. 相続財産の管理・換価
  3. 債権者への弁済
  4. 残余財産の処理

財産が残らなければ一円も取得することはありません。手間だけかかってしまう可能性も低くはないです。

 

3.限定承認により余計な費用が発生する

限定承認を選ぶと単純承認や相続放棄に比べて、余計な費用が発生します。

プラスの財産が明らかにマイナス財産より多くなければ、結果的に収支はマイナスになります。

3-1.限定承認の手続きを進めるための費用

限定承認の手続きを進めるための費用は3つあります。

  • 専門家報酬
  • 官報公告掲載料
  • その他費用

専門家報酬は高額

限定承認の手続きを自分でする人は少ないです。ほとんどのケースで弁護士・司法書士に委任して進めています。

専門家に委任すると報酬が発生しますが、はっきり言って高額です。着手金で約30万円ぐらいですし、成功報酬も必要となります。

相続放棄を専門家に依頼しても数万円なので、比較にならないぐらい差があります。

官報公告掲載料

債権者への請求申出を官報公告で行います。

費用自体は相続財産から支払えるのですが、掲載料が数万円は発生します。

その他費用

その他の費用としては以下があります。

  • 相続財産の調査費用
  • 相続財産の管理費用
  • 知れている債権者への連絡費用

相続財産が多ければ、それだけ費用は増えます。

3-2.譲渡所得税が課税される可能性

限定承認をすると、亡くなった人から相続人に財産が譲渡されたとみなされて、譲渡所得が発生する可能性があります。

譲渡所得
土地・建物や株式等の資産を譲渡することによって生ずる所得のこと

亡くなった人が取得した時よりも、相続財産の時価が高ければ譲渡所得税が発生します。

単純承認では譲渡所得が発生しないので、限定承認のデメリットになります。

 

4.限定承認を扱っている事務所が少ない

専門家報酬が高額なことにも関係するのですが、限定承認を扱っている事務所は少ないです。

限定承認自体の件数が少ないので、一部の事務所のみが扱っている状態といえます。

そのため、価格競争が起らないので、報酬額を高額に設定しやすいです。
※手間がかかるので高額になりやすいのも事実です。

限定承認に興味があっても、高額な報酬を理由に諦めている人は存在します。

また、都市部以外の地域では、限定承認の説明をしてくれる事務所も少ないでしょう。

結果として、限定承認の利用件数は少なくなります。

 

5.限定承認と相続放棄の件数比較

限定承認の件数は少ないのですが、相続放棄と比べてどれぐらい差があるのかご存知でしょうか。

以下の表は2016年から2020年までの件数比較です。

限定承認相続放棄
2016753197,766
2017722205,909
2018709215,320
2019657225,415
2020675234,732

<参考資料:司法統計>

桁違いという言葉がありますが、まさに桁が3つ違います。

限定承認の件数は約700件で推移していますが、相続放棄の件数は毎年1万件ぐらい増えています。

あくまでも限定承認の件数なので、債務清算後に財産が残った件数はさらに少ないでしょう。

 

6.さいごに

限定承認はほとんど利用されていません。理由としてはデメリットも影響していると思われます。

相続人全員の同意が必要な時点で諦める相続人もいますし、清算後に財産が確実に残らなければ収支はマイナスとなります。

また、限定承認を扱っている事務所も少ないので、しっかりとした説明を受ける機会も少ないです。

デメリットを理解したうえで限定承認を選択する人は、特別な理由があるのだと思います。

まずは、限定承認をする価値が有るのかを相談してみてください。

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