限定承認のデメリット|全員の同意を得るのが難しい

限定承認を実際に行っている相続人は少ないです。ほとんどの人は存在すら知らずに相続手続を進めていきます。

利用件数が少ないのは限定承認のデメリットも関係しています。

  • 相続人全員の同意
  • 手間がかかる
  • 費用が増える

特に相続人全員の同意を得るのが難しいです。

1.相続人全員の同意が必要

限定承認は相続放棄と違い、相続人単独ではすることができません。相続人全員の同意が必要となります。

相続人全員の同意がデメリットになるのは、以下のようなケースが考えられます。

  • 相続人同士が疎遠である
  • 一部の相続人が単純承認をした

1-1.相続人同士が疎遠である

亡くなった人の相続人全員と連絡を取り合っている人は意外と少ないです。

兄弟姉妹であっても疎遠になっていることも多いです。代襲相続が発生していると、相続人と一度も会ったことが無いというケースもあります。

限定承認をするために全員と連絡を取り、説明して理解してもらうのは大変だと思います。

1-2.一部の相続人が単純承認とみなされた

限定承認は相続人全員の同意が必要なので、1人でも単純承認をしたとみなされると利用することはできません。

あなたも単純承認をするか、単独で相続放棄の手続きを取るかの2択となります。

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2.債務の清算に手間がかかる

限定承認を利用した場合は、債務の清算をしなければなりません。清算手続きは面倒なのでデメリットと考える人もいます。

詳しい説明は別記事でしますが以下のような流れになります。

  1. 請求申出の公告・催告
  2. 相続財産の管理・換価
  3. 債権者への弁済
  4. 残余財産の処理

財産が残らなければ一円も取得することはありません。手間だけかかってしまう可能性も低くはないです。

3.余計な費用が発生する

限定承認を選ぶと余計な費用が発生します。

プラスの財産が明らかにマイナス財産より多くなければ、結果的に収支はマイナスになります。

3-1.手続きを進める費用が高額

限定承認の手続きを進める費用は2つあります。

  • 専門家報酬
  • 官報公告掲載料

専門家報酬は高額

限定承認の手続きを自分でする人は少ないです。ほとんどのケースで弁護士に委任して進めています。

弁護士に委任すると報酬が発生しますが、はっきり言って高額です。着手金で約30万円ぐらいですし、成功報酬も必要となります。

相続放棄を専門家に依頼しても数万円なので、比較にならないぐらい差があります。

官報公告掲載料

債権者への請求申出を官報公告で行います。費用自体は相続財産から支払えるのですが、掲載料が数万円は発生します。

3-2.譲渡所得税が課税される可能性

限定承認をすると、亡くなった人から相続人に財産が譲渡されたとみなされて、譲渡所得が発生する可能性があります。

譲渡所得
土地・建物や株式等の資産を譲渡することによって生ずる所得のこと

亡くなった人が取得した時よりも、相続財産の時価が高ければ譲渡所得税が発生します。

4.限定承認と相続放棄の件数比較

限定承認の件数は少ないのですが、相続放棄とはどれぐらい違うのでしょうか。

以下の表は2015年から2019年までの件数比較です。

限定承認相続放棄
2015759189,296
2016753197,766
2017722205,909
2018709215,320
2019657225,415

<参考資料:司法統計>

桁違いという言葉がありますが、まさに桁が3つ違います。

限定承認の件数は約700件で推移していますが、相続放棄の件数は毎年1万件ぐらい増えています。

あくまでも限定承認の件数なので、債務清算後に財産が残った件数はさらに少ないでしょう。

5.さいごに

限定承認はほとんど利用されていません。理由としてはデメリットも影響していると思われます。

相続人全員の同意が必要な時点で諦める相続人もいますし、清算後に財産が確実に残らなければ収支はマイナスとなります。

デメリットを理解したうえで限定承認を選択する人は、特別な理由があるのだと思います。

まずは、限定承認をする価値が有るのかを相談してみてください。

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