相続人は亡くなった人の財産を引き継ぎます。財産にはプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も含まれます。
マイナス財産と聞いて思い浮かべるのは借金ではないでしょうか。ただし、借金以外にも引き継ぐ財産は複数あるので、確認だけはしておいてください。
目次
1.借入金
マイナスの財産として一番分かりやすいのは、借入金ではないでしょうか。亡くなった人が借りていたお金は、相続人が返すことになります。
主な借入金には以下があります。
- 金融消費貸借契約
- クレジット残高
- ローン残高
1-1.金銭消費貸借契約
金銭消費貸借契約がいわゆる借金のことです。
お金の借入先は複数考えられます。
- 銀行
- 消費者金融
- 信販会社(クレジット会社)
- 国・自治体
- 個人間
亡くなった人がお金を借りていたかを調べるなら、個人情報信用機関に開示請求をしましょう。ただし、個人情報信用機関に情報が載っていない場合もあります。
1-2.クレジット残高
クレジットカードの利用者は多いので、クレジット残高はマイナスの財産になりやすいです。
亡くなった人の口座に残額があれば引き落としされます。ただし、口座が凍結されていたり残額が足りなければ、クレジット会社から通知が届くので確認しておきましょう。
1-3.ローン残高(分割払いの残額)
亡くなった人のローン残高は相続人が引き継ぎます。
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- 携帯電話の分割払い
①住宅ローン
住宅ローンに関しては、マイナスの財産になることは少ないはずです。
なぜなら、住宅ローン契約を結ぶ際に、団体信用生命保険に加入していることが多いからです。団体信用生命保険に加入していれば、ローン残高は生命保険金で支払われます。結果として、相続人には債務が残りません。
団体信用生命保険に加入していない場合は、マイナスの財産として相続します。
②携帯電話の分割払い
携帯電話を購入する際に、24回払い等にしている人も多いと思います。毎月の使用料と一緒に引き落としされるので、分割払いと気づきにくいです。
分割払いが終わっていなければ、残額は相続人が引き継ぎます。
2.未払金
未払金もマイナスの財産になりやすいです。
個々の金額は少額だと思いますが、複数あるとそれなりの金額になります。
- 日常生活費
- 医療費
2-1.日常生活に関する費用
毎月発生している日常生活に関する費用です。
- 水道光熱費
- 通信費(携帯電話料金)
- 家賃
- 駐車場代
亡くなった後に解約しておかないと、解約するまで費用が発生するので注意してください。
2-2.医療費や介護費等
亡くなった人が入院していた場合は医療費、自宅で療養していた場合は介護費等が未払金として負債になりやすいです。
医療機関や介護施設等への支払いが済んでいるかは、忘れずにしておきましょう。
3.公租公課(税金)
亡くなった人が支払っていなかった税金等も、マイナスの財産として引き継ぎます。
以下が主な税金等です。
- 所得税
- 住民税
- 固定資産税
- 国民健康保険料
国民健康保険料の滞納分もマイナスの財産として相続します。知らない人も多いので注意してください。
税金関係は滞納していても気付きにくいので、郵送物等はしっかりと確認しておいてください。
4.事業関係の費用
亡くなった人が商売をしていると、事業関係のマイナス財産も発生します。
- 買掛金
- 振出小切手
- 前受金
以下に簡単にですが、言葉の説明をしております。
- 買掛金
- 商品・材料等の購入費で未払い分の金銭
- 振出小切手
- 振出人が受け取り人に支払いを約束した証券
- 前受金
- 商品・サービス等を提供する前に受け取っている金銭
亡くなった人の商売に関わっていた相続人は別ですが、事業関係のマイナス財産は把握しにくいです。金額も高額になる可能性があるので、必ず確認しておいてください。
5.その他の財産
その他にもマイナスの財産はあります。
- 保証債務(連帯保証人)
- 賃貸物件の清掃費用
- 損害賠償債務
5-1.保証債務(連帯保証人)
亡くなった人が連帯保証人になっていた場合、相続人は連帯保証人の地位を引き継ぎます。
主債務者が支払っている限り債務にはなりませんが、不安定な地位を引き継ぐのでマイナスの財産と同じです。
亡くなった人が会社を経営していた場合等は、個人として連帯保証人になっている可能性もあります。
5-2.賃貸物件の清掃費用
亡くなった人が賃貸物件に住んでいた場合、部屋を片付けて引き渡すことになります。
部屋が綺麗であれば問題ないのですが、汚れている場合は清掃費用が発生します。亡くなった人が孤独死だと清掃費用は高額になるでしょう。
5-3.損害賠償債務
亡くなった人が負っていた損害賠償債務も引き継ぎます。
損害賠償債務には2種類あります。
- 生前に発生していた
- 死亡時に発生した
①生前に発生した
亡くなる前に発生していたケース。
勤務していた会社に損害を与えた場合や、物損事故等の損害賠償が多いです。
②死亡時に発生した
死亡時に発生したケース。
自分に非がある交通事故で亡くなると、損害賠償債務が発生します。公共物を破損させたり、周りの人に怪我を負わせたりが考えられます。
6.さいごに
相続人が引き継ぐマイナス財産について、簡単にですが説明してみました。
今回説明した以外にもマイナス財産はあるので、相続する場合は確認を怠らないように気を付けてください。
プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合は、相続放棄も検討しましょう。