限定承認には高額な費用が必要というのは知っていても、何に費用が発生するのかを知っている人は少ないです。
限定承認の費用は4つに分類することができます。
- 限定承認の申述費用
- 官報公告の費用
- 清算手続きの費用
- 専門家報酬
また、亡くなった人の財産内容によっても費用は違います。
今回の記事では、限定承認の費用について説明しているので、限定承認を検討しているなら参考にしてください。
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1.限定承認の申述にかかる費用
1つ目の費用は、限定承認の申述にかかる費用です。
限定承認をするには、家庭裁判所に限定承認の申述の申立てをする必要があります。
1-1.限定承認の申立て費用
申立ての費用は以下の4つです。
- 収入印紙(800円)
- 予納郵券
- 戸籍謄本等の取得費用
- 家庭裁判所提出費用
*郵送する場合
収入印紙は相続人の人数にかかわらず定額
限定承認の申述に必要な収入印紙は、相続人の人数にかかわらず800円です。
予納郵券は相続人の人数により増える
限定承認の申述に必要な予納郵券は、相続人の人数により増えます。
また、家庭裁判所ごとに違いがあるので、前もって確認しておいてください。
以下は、大阪家庭裁判所の予納郵券です。
- 84円×4×相続人の人数
- 10円×5
戸籍謄本等は誰が相続人かで違う
限定承認の申述に必要な戸籍謄本等は、相続人の人数により違います。
- 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本
相続人が子ども以外であれば、別の戸籍謄本等も必要になります。
- 戸籍謄本(450円)
- 除籍謄本(750円)
- 原戸籍謄本(750円)
家庭裁判所が遠方なら郵送費用も必要
限定承認の申述申立ては、亡くなった人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
お近くであれば直接提出することもできますが、遠方なら郵送で提出するしかありません。
郵送方法に決まりはありませんが、レターパックプラス(520円)で郵送した方が安全です。
1-2.3ヶ月の期間に間に合わないなら期間延長
限定承認の申述ができるのは、相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。
ですが、限定承認の申述までには時間がかかりやすいです。
- 亡くなった人の財産を調べる時間
- 相続人同士で意見を合わせる時間
- 連絡が取れない相続人を探す時間
- 相続放棄をする相続人を待つ時間
上記に1つでも該当するなら、早めに期間延長の申立てをしておきましょう。
期間延長の申立てをするなら、別に費用が発生します。
関連記事を読む『限定承認の期限は3ヶ月なので期間伸長も検討しよう』
2.官報公告の費用は決まっている
2つ目の費用は、官報公告の費用です。
限定承認の申述が受理されると、5日以内に官報公告をする必要があります。
官報公告の掲載料は行単位で決まっています。
そして、限定承認の文章はひな型があるので、行数もほとんど同じになります。
以下は官報公告の料金です。
行数 | 料金 |
---|---|
12 | 43,071円 |
13 | 46,660円 |
14 | 50,250円 |
限定承認の文章は約13行です。
官報公告の料金は約4万5,000円ほど必要になります。
関連記事を読む『限定承認には官報公告が必要なので手順を確認しておこう』
3.清算手続きの費用は財産の内容により違う
3つ目の費用は、清算手続きの費用です。
相続債権者および受遺者に対する官報公告の期間が終了したら、相続財産の清算手続きを行います。
清算手続きの費用は、相続財産の内容により違います。
- 債権者が多いと手続費用が増える
- 先買権を行使するには鑑定費用が必要
3-1.債権者が多いと手続費用が増える
亡くなった人に対する債権者が多いと、清算手続きの費用が増えます。
それぞれの債権者に対して書面で連絡を取るので、債権者が多ければ費用も増えていきます。
証拠を残すためにも普通郵便ではなく、内容証明郵便や本人受取郵便を使うので、一回の郵送でも数百円はかかります。
3-2.先買権を行使するには鑑定費用が必要
限定承認者は先買権を行使することで、不動産等の競売を止めることができます。
そして、不動産等の競売を止めるには、鑑定人に鑑定をしてもらう必要があります。
鑑定人の選任費用および鑑定費用は、限定承認者が支払う費用となります。
鑑定人に関する費用は、数十万円はかかると言われています。
4.専門家報酬は事務所や依頼内容により違う
4つ目の費用は、限定承認を専門家に依頼した場合の専門家報酬です。
専門家に依頼する場合の報酬は、以下の2つにより違いが生まれます。
- 専門家報酬は自由に決めれる
- 依頼する内容の範囲
専門家報酬は自由に決めることができます。ですので、各事務所により限定承認の報酬は違います。
また、依頼する内容の範囲によっても違います。
限定承認の申述申立てだけ依頼するのか、清算手続きも依頼するのかでは報酬も変わります。
限定承認の申述申立だけなら数万円、清算手続きも依頼するなら数十万円が多いです。
*自由報酬なので目安です。
5.さいごに
限定承認の費用は相続放棄に比べて高額になります。
なぜなら、限定承認の申述申立てだけではなく、官報公告や清算手続きにも費用がかかるからです。
限定承認の申請件数が少ないのは、費用がかかることも原因の一つといえます。
*限定承認は年間約700件、相続放棄は年間約200,000件。
また、専門家に限定承認を依頼すると、報酬が数十万円は必要になります。
限定承認を検討するなら、費用についての説明をしっかりと聞いておいてください。