限定承認の申立てをした後の流れはご存知でしょうか。
家庭裁判所に限定承認の申立てをして終わりではなく、むしろ申立てをした後の方が本番といえます。
期間が定められている作業もあるので、限定承認の流れを知っておいて損はありません。
今回の記事では限定承認の流れを5つに分けて説明しているので、、限定承認を検討されているなら参考にしてください。
目次
1.限定承認の申立てから始まる
まずは、家庭裁判所に限定承認の申立てをします。
申立の詳しい説明は別記事でしますが、下記の2つは知っておいてください。
- 相続人全員が共同して行う
- 申立期間は3ヶ月以内
【相続人全員が共同して行う】
限定承認は相続人全員が共同して行います。誰か1人でも反対すると、限定承認はすることができません。
反対する相続人がいる場合は、単純承認または相続放棄のどちらかを選ぶことになります。
関連記事を読む『限定承認は全員で行う必要がある|連絡を忘れずにしておこう』
【申立期間は3ヶ月以内】
限定承認の申立ては、相続人であることを知った日から3ヶ月以内です。
申立をする前に3ヶ月が経過すると、単純承認をしたとみなされます。
関連記事を読む『限定承認の期限は3ヶ月なので期間伸長も検討しよう』
2.請求申出の公告及び催告で把握
限定承認の申立てが受理された後は、債務額および債権者を把握するために公告と催告をします。
2-1.相続債権者等に対して官報公告
限定承認が受理されてから5日以内に、相続債権者等に対して官報で公告をします。
*相続財産管理人が選任された場合は10日以内。
公告の内容
公告の内容は以下の3つです。
- 限定承認をしたこと
- 定められた期間内に請求の申出をすること
- 定められた期間内に申出をしなければ弁済から除斥すること
*知れている債権者は除斥できない
公告期間
公告期間は2ヶ月以上です。
公告期間内に申出をした相続債権者に対しては、公告期間満了後に弁済手続きをします。
関連記事を読む『限定承認には官報公告が必要なので手順を確認しておこう』
2-2.知れている相続債権者等へ催告
すでに判明している相続債権者等には、配達証明付きの内容証明郵便で催告します。
*催告の方法は決まっていませんが、証拠を残した方が安全です。
亡くなった人の自宅に届いていた請求書等を整理して、誰が債権を有しているのかを確認しておきましょう。
3.相続財産の換価手続き
相続債権者への公告・催告の次は、支払いのための準備をしていきます。
準備は大きく分けると2つです。
- 預貯金を財産管理口座に移す
- 不動産等を換価する
【預貯金を財産管理口座に移す】
亡くなった人名義の銀行口座を解約して、財産管理口座に預貯金を移します。財産管理口座は清算手続き専用の口座として、新しく開設しておきましょう。
【不動産等を換価する】
不動産等は家庭裁判所に競売の申立てをして、換価(金銭に換える)をしていきます。不動産だけではなく家財道具等の動産も含まれます。
手元に残したい財産がある場合は、先買権を行使して優先的に買い取ることができます。
4.相続債権者等への弁済手続き
相続債権者への公告期間が満了すれば、届出のあった債権者や知れている債権者への弁済を行います。
ただし、弁済をする前に支払うべき税金や管理費用がないか確認してください。
4-1.税金や管理費用は優先して払う
亡くなった人が支払うべき税金があれば、優先して支払う必要があります。
さらに、相続財産に不動産があれば、相続開始後の固定資産税も管理費用として支払います。
4-2.相続債権者に対する弁済の順序
相続債権者に対する弁済の順序は、民法で定められています。
上記の条文をまとめると以下の順番になります。
- 優先権を有する債権者
- 申し出をした相続債権者
知れている相続債権者 - 受遺者
相続財産が足りない場合は、債権額の割合に応じて按分して弁済します。
5.残余財産の処理
相続債権者等に弁済をした後に財産が残っていれば、相続人が取得します。
ただし、相続債権者等への弁済手続きが終わってから、相続債権者が現れることもあります。
届出期間内に申し出なかったとしても、債権が無くなるわけではないです。債権届出期間内に申し出なかった相続債権者には、残余財産から支払いをします。
いつまで支払い義務を負うのかは明確に決まっていないので、残余財産については内容や金額が分かるように資料を保管しておいてください。
6.まとめ
限定承認の流れは以下になります。
上記の流れは、あくまでも簡単な説明になります。各項目には細かい注意点等もあるので、限定承認をする際は気を付けてください。
限定承認は有名ではないので、メリット・デメリットについても確認しておきましょう。
関連記事を読む『限定承認のメリットとデメリットを4つずつ説明』