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相続放棄を孫がするケースは養子・代襲・再転の3つ

孫の相続放棄
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原則として、亡くなった人に借金等があっても、孫の相続放棄は不要です。

ですが、以下の3つのケースに該当すると、孫であっても必要になります。

  1. 孫が代襲相続人になっている
  2. 孫が祖父母の養子になっている
  3. 孫が再転相続人になっている

相続するつもりがなければ、3ヶ月以内に相続放棄してください。

今回の記事では、孫の相続放棄について説明しているので、相続放棄をする際の参考にしてください。

目次

1.孫が相続放棄する3つのケース

孫が相続放棄するケースは3つ

亡くなった人の孫が相続放棄するケースは3つ考えられます。

  1. 孫が代襲相続人になっている
  2. 孫が祖父母の養子になっている
  3. 孫が再転相続人になっている

上記に該当しているなら、孫であっても相続放棄できます。

1-1.孫が代襲相続人なら相続放棄

孫が代襲相続人なら相続放棄

1つ目のケースは、孫が代襲相続人になっているです。

亡くなった祖父母よりも先に子どもが亡くなっていると、子どもに代わって孫が相続人となります。

以下は、民法の条文です。

(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法887条)

上記の条文を図にすると、以下のようになります。

孫が代襲相続人なら第1順位の相続人

代襲相続により孫が相続人になるので、祖父母に借金等があれば相続放棄が必要です。

他の子どもが健在でも代襲相続は発生する

亡くなった人に別の子どもがいても、先に亡くなっている子どもがいれば代襲相続は発生します。

例えば、亡くなった人に子どもが2人、長男は亡くなっているが次男は健在な場合です。

次男が健在であっても、長男が先に亡くなっていれば、孫(長男の子)は相続人となります。

孫の数だけ代襲相続人は増える

孫が複数人であれば、代襲相続人も増えることになります。

例えば、孫が3人であれば、相続放棄も3人それぞれ必要です。

代襲相続人の人数に制限はないので、忘れずに手続きをしてください。

1-2.孫が祖父母の養子なら相続放棄

孫が祖父母の養子なら相続放棄が必要

2つ目のケースは、孫が祖父母の養子になっているです。

法律上、実子と養子に違いはないので、孫が養子なら子どもとして相続人となります。

孫が養子なら第1順位の相続人

相続放棄の申述書を作成する場合、被相続人との関係(続柄)は孫ではなく子どもになります。

代襲相続とは違い、親が健在であっても孫は相続人となるので注意してください。

1-3.孫が再転相続人なら相続放棄

孫が再転相続人なら親に代わって相続放棄

3つ目のケースは、孫が再転相続人になっているです。

祖父母と子どもが疎遠だと、祖父母の死亡を知らずに子どもが亡くなるケースも発生します。

ですが、子どもは祖父母の死亡を知らないので、相続の開始を知った日から3ヶ月経過していません。
※知ってから3ヶ月以内に亡くなった場合も含む。

孫は子ども(親)の権利(相続放棄する権利)を受け継いでいるので、再転相続人として祖父母の相続放棄ができます。

代襲相続と似ていますが、祖父母の相続人は子どもな点が違います。

2.孫の相続放棄で注意する点

孫の相続放棄で注意する点

孫が相続放棄する場合の注意点を3つ説明します。

  • 孫が未成年なら手続きは親権者
  • 孫と祖父母の関係で戸籍が違う
  • 孫は養子と代襲相続人を兼ねる

細かい点もありますが、前もって確認しておきましょう。

2-1.孫が未成年なら手続きは親権者

相続放棄する孫が未成年(18歳未満)なら、法定代理人が代わりに手続きをします。

一般的には、親権者が未成年の法定代理人です。

親権者が相続放棄をする際は、孫との利益相反に注意してください。利益相反に該当するなら特別代理人を選任します。

ただし、孫が代襲相続人になるケースでは、親権者と孫が利益相反に該当する可能性は低いです。

孫が未成年なら親権者が手続き

上記のケースでは、親権者と孫は利益相反に該当しないので、親権者が相続放棄の手続きをします。

未成年の相続放棄については、下記の記事を参考にしてください。

2-2.孫と祖父母の関係で戸籍が違う

孫が相続放棄する場合、祖父母との関係によって必要な戸籍が少しだけ違います。

戸籍等養子代襲再転
祖父母の
死亡戸籍
祖父母の
住民票
親の
死亡戸籍
×
孫の戸籍
相続放棄の添付書類

孫が代襲相続人や再転相続人なら、亡くなっている親の死亡戸籍も必要になります。

一方、孫が養子なら、親の戸籍は不要です。

2-3.孫が養子と代襲相続人を兼ねると手続きが複雑

孫が養子と代襲相続人を兼ねると、相続放棄の手続きが複雑になります。

孫が養子と代襲相続人を兼ねる

上記の図を見てもらうと分かるのですが、孫は2つの立場で相続人です。

  • 養子として相続人
  • 代襲相続人として相続人

通常、どちらか一方だけ相続放棄することはないので、両方の立場で相続放棄が必要になります。

3.孫が相続放棄できないケース

相続放棄できるのは相続人だけなので、孫が祖父母の相続人でなければ相続放棄できません。

  • 親が相続放棄している
  • 親が行方不明になっている

上記の場合、孫の相続放棄は認められません。

3-1.親が相続放棄していれば孫は不要

子どもが相続放棄しているなら孫は不要

勘違いしやすいのですが、親が相続放棄しても孫に相続は移りません。

なぜなら、相続放棄すると初めから相続人ではないので、代襲相続も発生しないからです。

代襲相続が発生するのは、「死亡」「廃除」「相続欠格」の3つであり、相続放棄は含まれていません。

3-2.親が行方不明でも孫は手続きできない

祖父母が亡くなった際に、親が行方不明になっていても孫は相続放棄できません。
※養子は除く。

なぜなら、祖父母の相続人は親であり孫ではないからです。

どうしても相続放棄したい場合は、2つの方法が考えられます。

  • 不在者財産管理人の選任
  • 失踪宣告により死亡とみなす

不在者財産管理人を選任する

親に不在者財産管理人を選任すれば、相続放棄も可能になります。

ただし、無条件で認められるわけではなく、あきらかに負債が多いなどの理由が必要です。

失踪宣告により死亡とみなす

失踪宣告により親が死亡とみなされると、孫は代襲相続人(再転相続人)として相続放棄できます。

ただし、失踪宣告が認められるには、生死不明が一定期間以上必要です。

4.亡くなった人が韓国籍なら孫も相続放棄が必要

日本の法律では、子どもが相続放棄すると孫に相続権は移りません。

ですが、韓国の法律では、子どもが全員相続放棄すると孫に相続権が移ります。

以下は、韓国の相続順位です。
※配偶者は常に相続人。

  1. 直系卑属(子ども・孫)
  2. 直系尊属(親・祖父母)
  3. 兄弟姉妹
  4. 4親等内の親族

同順位の相続人が複数人いる場合は、近い親等の人が相続人となります。

ただし、相続放棄すると初めから相続人ではないので、子どもが全員相続放棄すると孫が直系卑属として相続人になります。

日本の法律とは違うので、韓国籍の人が亡くなった場合は注意してください。

5.まとめ

孫が相続放棄するケースは3つある

今回の記事では「孫の相続放棄」について説明しました。

亡くなった人の孫が相続放棄するケースは3つあります。

  • 孫が代襲相続している
  • 孫が祖父母の養子になっている
  • 孫が再転相続している

孫が代襲相続人になっている場合や、祖父母の養子になっている場合は、相続人として相続放棄が必要です。

また、祖父母の子どもが相続の開始を知る前に亡くなると、孫は再転相続人として相続放棄できます。

亡くなった人が韓国籍の場合、子どもが全員相続放棄すると孫に相続権が移ります。孫も相続放棄が必要になるので注意してください。

孫の相続放棄に関して疑問点があれば、早めに専門家に相談しましょう。

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