デザイン変更に伴い、表示が一部崩れています。

不在者財産管理人が相続放棄するには納得できる事情が必要

不在者財産管理人が相続放棄
  • URLをコピーしました!

亡くなった人に借金があるので相続放棄させたいが、相続人が行方不明なので困っていませんか。

不在者財産管理人を選任することで、相続放棄することは可能です。

ただし、相続放棄するには家庭裁判所の許可が必要なので、すべての場合に認められるわけではありません。

例えば、亡くなった人の財産が借金しかなければ、不在者の財産を守るためにも相続放棄が必要です。それに対して、行方不明だから財産は不要では認められません。

今回の記事では、不在者財産管理人が相続放棄するケースについて説明しているので、相続人の中に行方不明者がいる場合は参考にしてください。

1.財産管理人が相続放棄の手続きをする

亡くなった人の相続人が行方不明だとしても、家族が代わりに相続放棄することはできません。

行方不明者は自分が相続人であることを知った日から3ヶ月以内であれば、自分で相続放棄をすることができます。

ですが、亡くなった人に借金が確実に存在する場合などは、家族からすると相続放棄を済ませておきたいです。

そのような場合には、行方不明者のために不在者財産管理人を選任して、代わりに相続放棄の手続きをしてもらいます。

1-1.不在者財産管理人を選ぶのは家庭裁判所

不在者財産管理人は家族が選ぶのではなく、家庭裁判所が選びます。

申立書に不在者財産管理人の候補者を記載することはできますが、専門家(弁護士など)が選ばれることが多いです。

申立て手続きについては、下記の記事を参考にしてください。

1-2.あらかじめ選任されていた場合は不要

相続が発生する前に、あらかじめ不在者財産管理人が選任されていた場合です。

例えば、行方不明者の不動産を売却するために選任していた等が考えられます。売却が済んでも業務が終了するわけではなく、管理財産がある限り業務は続きます。

したがって、管理業務を続けている間に相続が発生すれば、相続放棄も不在者財産管理人が行うことになります。

2.相続放棄は権限外行為に該当する

相続放棄を不在者財産管理人が行うと説明してきたのですが、相続放棄は本来の業務ではありません。

(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

出典:e-Govウェブサイト(民法103条)

不在者財産管理人は権限の定めのない代理人なので、以下の2つが本来の業務となります。

  • 保存行為
  • 管理行為(利用・改良)

相続放棄は処分行為に該当するので、権限外の行為となってしまいます。不在者財産管理人であっても自由にはできません。

不在者財産管理人が権限外行為をするには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。許可を得たうえで相続放棄(処分行為)を行います。

権限外行為の許可

家庭裁判所に権限外行為許可の申立てをする際には、相続放棄の理由を説明する必要があります。

[sitecard subtitle=詳細記事 url=https://souzoku-mikachi.com/fuzaisya-kengengaikoui/ target=]

 

3.相続放棄をする理由が重要

不在者財産管理人は不在者の財産を管理するのが仕事です。

相続放棄をするということは、取得できたはずの財産を失わせるということです。つまり、財産を減らす行為となります。

3-1.相続財産の確保が求められる

本来であれば、不在者財産管理人は相続放棄ではなく、法定相続分をしっかりと確保しなければいけません。

家庭裁判所に権限外行為の許可の申立てをしても、相続放棄の理由が認められなければ却下されます。

3-2.負債が上回っている等の事情が必要

不在者財産管理人が相続放棄をするには、相続することで損をすることが明白である等の事情が必要です。

例えば、亡くなった人の財産が借金しかなければ、相続してしまうと不在者の財産を減らすことになります。不在者の財産を守るためにも、相続放棄は必要になります。

借金以外を理由に相続放棄をする場合は、家庭裁判所に特段の事情が認められるかどうかです。

権限外行為の許可を得るのに理由は必要ですが、本人が相続放棄をする際の理由は自由です。

 

4.さいごに

不在者財産管理人は相続財産を確保するのも仕事となります。ですので、基本的に相続放棄をすることはありません。

ですが、亡くなった人に借金等が多ければ、家庭裁判所の許可を得ることで相続放棄することができます。

ただし、借金等以外を理由にする場合は、特段の事情が無ければ許可を得ることは難しいです。

相続が発生した場合は、相続財産についてしっかりと把握しておきましょう。