不在者財産管理人が相続放棄するには許可が必要

不在者財産管理人は相続放棄ができるのか。意外とご存知ないのではないでしょうか。

相続が発生すると財産管理人は、不在者のために相続分を確保しなければいけません。ですが、相続財産が借金しかなければ、相続すると不在者の財産が減ることになります。

ですので、不在者の財産を守るために相続放棄をすることはできます。

1.財産管理人が相続手続をする

亡くなった人の相続人が行方不明であると、相続手続をすることができません。

ですので、不在者財産管理人が代わりに相続手続をすることになります。

不在者財産管理人が相続手続に関わる経緯は2つです。

  • 相続が発生してから選任された
  • あらかじめ選任されていた

1-1.相続が発生してから選任された

相続が発生してから、不在者財産管理人を選任した場合です。

相続手続では主に以下のために選任します。

  • 遺産分割協議の合意
  • 限定承認
  • 相続放棄

例えば、相続人の中に行方不明の人がいると、遺産分割協議をすることができません。遺産分割協議は相続人全員の参加と同意が必要となります。ですので、不在者財産管理人を選任して、代わりに遺産分割協議に参加してもらいます。

1-2.あらかじめ選任されていた

相続が発生する前に、あらかじめ不在者財産管理人が選任されていた場合です。

例えば、行方不明者の不動産を売却するために選任していた等が考えられます。売却が済んでも業務が終了するわけではなく、管理財産がある限り業務は続きます。

したがって、管理業務を続けている間に相続が発生すれば、相続手続も不在者財産管理人が行うことになります。

 

2.相続手続は権限外行為に該当する

相続手続を不在者財産管理人が行うと説明してきたのですが、相続手続は本来の業務ではありません。

(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

出典:e-Govウェブサイト

不在者財産管理人は権限の定めのない代理人なので、以下の2つが本来の業務となります。

  • 保存行為
  • 管理行為(利用・改良)

相続手続は処分行為に該当するので、権限外の行為となってしまいます。遺産分割協議の合意や相続放棄は、不在者財産管理人であっても自由にはできません。

不在者財産管理人が権限外行為をするには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。許可を得たうえで相続手続(処分行為)を行います。

権限外行為の許可

権限外行為については下記の記事でご確認ください。

詳細記事

不在者が相続人である遺産分割協議を成立させたり、不在者所有の不動産を売却するには家庭裁判所の許可が必要となります。なぜなら、不在者財産管理人の権限は保存行為と管理行為に限られるので、処分行為は権限外となるからです。家庭裁判所[…]

処分行為には許可が必要

 

3.相続放棄をする理由が重要

不在者財産管理人は不在者の財産を管理するのが仕事です。

相続放棄をするということは、取得できたはずの財産を失わせるということです。つまり、財産を減らす行為となります。

3-1.相続財産の確保が求められる

本来であれば、不在者財産管理人は相続放棄ではなく、法定相続分をしっかりと確保しなければいけません。

家庭裁判所に権限外行為の許可の申立てをしても、理由が認められなければ却下されます。

3-2.負債が上回っている等の事情

不在者財産管理人が相続放棄をするには、相続することで損をすることが明白である等の事情が必要です。

例えば、亡くなった人の財産が借金しかなければ、相続してしまうと不在者の財産を減らすことになります。不在者の財産を守るためにも、相続放棄は必要になります。

借金以外を理由に相続放棄をする場合は、家庭裁判所に特段の事情が認められるかどうかです。

権限外行為の許可を得るのに理由は必要ですが、本人が相続放棄をする際の理由は自由です。

 

4.さいごに

不在者財産管理人は相続財産を確保するのも仕事となります。ですので、基本的に相続放棄をすることはありません。

ですが、亡くなった人に借金等が多ければ、家庭裁判所の許可を得ることで相続放棄することができます。

ただし、借金等以外を理由にする場合は、特段の事情が無ければ許可を得ることは難しいです。

相続が発生した場合は、相続財産についてしっかりと把握しておきましょう。

相続人の中に行方不明の人がいると相続手続が進みません。

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