失踪宣告の申立てを自分でする場合、申立書も自分で作成する必要があります。
ただし、家庭裁判所のホームページで確認できる記入例が、自分のケースに当てはまらない人もいます。
※当てはまらない人の方が多いと感じます。
そこで、失踪宣告の申立書を6つのパートに分けて、書き方を細かく説明していきます。
どうしても専門家に依頼できない人は、今回の記事を参考にして申立てをしてください。
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1.失踪宣告の申立書を自分で作成する
失踪宣告の申立書を自分で作成するなら、申立書も自分で取得する必要があります。
まずは、申立書を取得してください。
1-1.申立書の取得方法は窓口またはネット
失踪宣告の申立書を取得する方法は2つあります。
- 家庭裁判所の窓口に取りに行く
- ホームページからダウンロード
どちらの方法でも問題ありません。
家庭裁判所の窓口に取りに行く
申立書はどこで取得しても同じなので、近くの家庭裁判所で大丈夫です。
ただし、平日の昼間しか開いていないので、取りに行く場合は気を付けてください。
ホームページからダウンロード
申立書は裁判所のホームページからダウンロードもできます。
右のリンクから『裁判所のホームページ』に移行可能。
ダウンロードできたら、プリントアウトして使用してください。
1-2.申立書を6つのパートに分けて説明
失踪宣告の申立書を取得できたら、以下の図を確認してください。
失踪宣告の申立書を、6つのパートに分けています。
- 事件名・収入印紙
- 管轄裁判所・記名押印・添付書類
- 申立人の情報
- 不在者の情報
- 申立ての趣旨
- 申立ての理由
次章からは、パートごとに細かく説明していくので、お手元の申立書を見ながら確認してください。
2.失踪宣告の申立書(事件名・収入印紙)
1つ目のパートは、事件名と収入印紙です。
申立書の右上に事件名を書く部分があるので、( )の中に失踪宣告と記入してください。
事件名を記入したら、下の欄に申立手数料として、収入印紙(800円分)を貼り付けます。
ただし、申立書の注意書きにも記載されていますが、貼った印紙に押印はしないでください。
収入印紙については、下記の記事で詳しく説明しています。
関連記事を読む『収入印紙800円分を購入する【家庭裁判所申立書に貼付】』
3.失踪宣告の申立書(裁判所・記名押印)
2つ目のパートは、申立人の記名押印や添付書類についてです。
- 提出先の家庭裁判所
- 申立書の提出日
- 申立人の記名押印
- 申立書の添付書類
それぞれ説明していくので、しっかりと確認しておいてください。
3-1.提出先の家庭裁判所は最後の住所
失踪宣告申立書の提出先は、不在者(生死不明者)の最後の住所を管轄する家庭裁判所です。
○○家庭裁判所
管轄家庭裁判所が支部であれば、下に○○支部と記載します。
○○家庭裁判所
○○支部
最後の住所が外国の場合は、東京家庭裁判所が提出先となります。
3-2.申立書の提出日(郵送日)
提出先の家庭裁判所の下に、申立書の提出日を記入します。
窓口で提出するなら当日の日付、郵送で提出するなら郵送日を記入してください。
※到着日を気にする必要はありません。
3-3.申立人の記名押印(認印で大丈夫)
申立書の申立人欄に、申立人が記名押印してください。
氏名は戸籍と同じ漢字で記入します。普段、旧字を新字で書いている人は気を付けてください。
押印は認印でも大丈夫なので、実印でなくても問題ありません。
※実印で押印しても印鑑証明書は不要。
3-4.申立書の添付書類(戸籍等の通数)
申立書の添付書類欄に、添付した戸籍の通数を記入します。
戸籍2通 原戸籍1通 住民票1通
もちろん、戸籍以外に添付した書類があるなら、申立書に記入してください。
不在者の家族関係説明図や行方不明者届受理証明書などが考えられます。
関連記事を読む『失踪を証する資料|申立ての添付書類として必要になる』
4.失踪宣告の申立書(申立人の情報)
3つ目のパートは、申立人の情報欄です。
あなた(申立人)の情報なので、特に難しくないはずです。本籍、住所、氏名、生年月日、職業を記入してください。
住所の記載で連絡が取れるなら、連絡先欄は記入不要です。
誰が申立人になれるかは、以下の記事で説明しています。
関連記事を読む『失踪宣告の利害関係人の範囲|申立人は限られている 』
5.失踪宣告の申立書(不在者の情報)
4つ目のパートは、不在者の情報欄です。
申立書の左側部分※が空欄になっているので、「不在者」と記入してください。
続いて、不在者の情報を記入していきます。
- 本籍
- 最後の住所
- 連絡先(空欄)
- 氏名
- 職業
不在者に連絡先は存在しないので空欄のままで大丈夫です。
5-1.不在者の本籍(外国人なら国籍)
不在者が日本人であれば、戸籍の記載どおり記入してください。
一方、不在者が外国人であれば、本籍は無いので国籍を記入します。
韓国(大韓民国)、アメリカ合衆国、フィリピン(フィリピン共和国)など
5-2.不在者の最後の住所
住所の上に「最後の」を追加で書いてください。
そして、住民票(除票)や戸籍の附票で確認した、最後の住所を記入します。
最後の住所が外国の場合は、外国の住所を書いてください。
5-3.不在者の氏名・生年月日
不在者の氏名は戸籍の記載どおり記入してください。
生年月日に関しては、不在者の年齢や国籍によって書き方が少し変わります。
不在者が明治や大正生まれなら、申立書に明治や大正も追加で記入してください。
明治13年○月○日生、大正8年○月○日生
不在者が外国人であれば、西暦で生年月日を記入します。
1960年○月○日生
不在者の年齢は、申立書作成時で計算して書いてください。
5-4.不在者の職業(不明でも大丈夫)
不在者の職業を知っていれば、申立書に記入します。
ただし、不在者と交流がなければ、知らない人も多いので「不明」と書いて問題ありません。
6.失踪宣告の申立書(趣旨)
5つ目のパートは、申立ての趣旨です。2枚目の上部になります。
申立ての趣旨に関しては、決まった文言を書くだけです。
申立ての趣旨は、「不在者に対し失踪宣告をするとの審判を求める。」と書いてください。
不在者の事情等も関係ないので、上記のとおり書けば問題ありません。
7.失踪宣告の申立書(理由)
6つ目のパートは、申立ての理由です。2枚目の下部になります。
申立ての理由は、不在者の事情によって違うので、書き方にも決まりはありません。
ただし、私が書く場合は、4つの要素を書いています。
- 申立人と不在者の関係
- 行方不明になった時期
- 不在者の捜索状況
- 審判を求める旨(年数だけ変える)
あなたが理由を書く際の参考にしてください。
7-1.申立人と不在者の関係
まずは、申立人と不在者の関係を書いています。
申立人は、不在者の子です。
申立人は、不在者の弟です。
不在者から見た続柄を書けば問題ありません。
7-2.行方不明になった時期
次に、不在者が行方不明になった時期を書きます。
不在者は、平成13年10月22日に家を出て以降、行方が分かりません。
不在者は、平成13年10月22日に電話で話して以降、連絡が取れなくなりました。平成13年10月29日に家を訪ねましたが不在であり、今日まで行方は分かりません。
行方不明になった日は重要なので、できる限り詳しく思い出してください。
最後に生存が確認できた日から、7年経過した日が死亡とみなされる日です。
関連記事を読む『失踪宣告による死亡日はいつなのか|相続発生日となるので重要 』
7-3.不在者の捜索状況
続いて、不在者の捜索状況を書きます。
申立人は、平成13年11月15日に行方不明者届を警察に提出し、親戚や知人にも行方を聞きましたが、誰も所在を知りませんでした。
警察に行方不明者届を出していない場合は、親戚や知人の聞き取り結果を書くだけでも問題ありません。
関連記事を読む『失踪宣告をするのに捜索願(行方不明者届)は必要なのか? 』
7-4.審判を求める旨(年数だけ変える)
最後は、失踪宣告の審判を求める旨を書きます。
ただし、年数の部分だけ変えて書けば大丈夫です。
不在者が行方不明となって10年以上が経過し、戻ってくる見込みもないので、申立ての趣旨のとおりの審判を求めます。
別の書き方としては、以下のようなパターンもあります。
不在者の住民票が職権消除されてから10年以上が経過しており、戻ってくる見込みもないので、申立ての趣旨のとおりの審判を求めます。
理由の最後に関しては、上記のように書いておけば問題ありません。
8.申立書を提出する前のチェック事項
失踪宣告の申立書に記入が済んだら、提出する前にチェック事項を確認しておきましょう。
- 申立書の一番下に枚数を記入
- 申立書のコピーを取っておく
それぞれ簡単に説明します。
8-1.申立書の一番下に枚数を記入する
申立書の一番下には、枚数を記入する部分があります。
【記入前】
別表第一(1/ )※1枚目
別表第一( / )※2枚目
( )内の右側に総枚数を記入して、左側に何枚目かを記入します。
※1枚目は印字されています。
【記入後】
別表第一(1/2)※1枚目
別表第一(2/2)※2枚目
意外と書き忘れるので、提出前に確認しておいてください。
8-2.申立書のコピーを取っておく
作成した申立書はコピーを取っておきましょう。
なぜなら、失踪宣告の審判確定までは期間が長いので、申立書に何を書いたか忘れやすいからです。
家庭裁判所に申立書を提出しても、コピーが手元にあれば内容を確認できます。
後から申立書を見直す機会もあるので、提出前にコピーを取っておいてください。
関連記事を読む『【失踪宣告の手続き】申立てをしなければ始まらない 』
9.失踪宣告の申立書作成も司法書士に依頼できる
失踪宣告を専門家(司法書士・弁護士)に依頼する場合、申立書も専門家が作成するので気にしなくて大丈夫です。
- 失踪宣告に関する相談
- 失踪宣告の申立書作成
- 添付書類(戸籍等)の収集
- 収入印紙や予納郵券の購入
- 家庭裁判所への提出
時間に余裕が無い人や手続きが難しい人は、専門家に依頼して問題ありません。
ただし、失踪宣告に詳しくない専門家も存在するので、依頼する際は注意してください。
関連記事を読む『失踪宣告は司法書士に依頼できる!経験者は少ないので注意』
10.まとめ
今回の記事では「失踪宣告の申立書」について説明しました。
申立書は家庭裁判所の窓口や裁判所のホームページからダウンロードできます。
失踪宣告の申立書は2枚組で、6つのパートに分かれています。
- 事件名・収入印紙
- 管轄裁判所・記名押印・添付書類
- 申立人の情報
- 不在者の情報
- 申立ての趣旨
- 申立ての理由
書き漏れがないように、一つ一つ確認しながら記入してください。
申立書への記入が済んだら、提出前にコピーを取っておきましょう。
今回の記事では申立書の書き方を詳しく説明しましたが、失踪宣告の効力や死亡日なども重要なので、しっかりと確認しておいてください。
失踪宣告の申立書に関するQ&A
- 申立書の書き方を説明すると依頼は減りませんか?
-
もちろん、減る可能性はあります。
ただし、依頼できない人もいるので、少しでも手助けになればと思い作成しました。 - 分からない部分を質問しても大丈夫ですか?
-
大丈夫です。