生死不明者を死亡とみなす手続きである「失踪宣告」は、司法書士にも依頼できます。
司法書士と弁護士どちらに依頼しても、効力に違いはありません。
ただし、慣れている専門家は多くないので、相談する際は注意してください。
今回の記事では、失踪宣告と司法書士について説明しているので、悩みを解決する参考にしてください。
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1.法律により失踪宣告も司法書士に依頼できる
失踪宣告の依頼は誰に対しても可能ではなく、法律により司法書士と弁護士に限られます。
※弁護士の説明は省略。
以下は、司法書士法の条文です。
失踪宣告の申立書は裁判所提出書類なので、司法書士も作成できます。また、失踪宣告に関する相談も可能です。
司法書士と弁護士以外には、失踪宣告を依頼できないので注意してください。
2.司法書士に依頼すると何をしてくれる
失踪宣告を検討している人にとって、司法書士が何をしてくれるかは気になる点です。
あくまでも、私が失踪宣告の依頼を受ける場合ですが、以下に挙げておきます。
- 失踪宣告に関する説明
- 申立書作成に必要な書類の収集
- 失踪宣告の申立書作成
- 収入印紙や予納郵券の購入
- 現地調査(住所が存在する場合)
- 調査報告書の作成
- 家庭裁判所への提出
- 申立書提出後の相談
簡単に内容も説明していきます。
2-1.失踪宣告に関する説明
まずは、失踪宣告に関する説明をします。
- 失踪宣告で発生する法律行為
- 失踪宣告しない場合の問題点
- 失踪宣告にかかる期間や費用
失踪宣告の説明を受けたうえで、失踪宣告するのか決めてもらっています。
関連記事を読む『失踪宣告しないとどうなる?死亡を原因とする行為が発生しない』
2-2.失踪宣告に必要な書類の収集(不足分)
失踪宣告の申立書作成に必要な書類も、司法書士が収集します。
- 利害関係を証する書類
※相続関係を証明する戸籍 - 生死不明者の住民票(戸籍の附票)
※依頼人が取得しているケースが多い
すでに依頼人が収集しているケースも多いので、不足している戸籍があれば司法書士が収集するイメージです。
関連記事を読む『失踪宣告の申立書を6つのパートに分けて書き方を細かく説明』
2-3.現地調査が必要なケースも存在する
生死不明者の住民票が残っていると、現地調査が必要になるケースもあります。
【事例】
申立人が横浜市在住で、生死不明者の住民票が大阪市に存在したケース。
申立人から住民票上の住所に手紙を出した結果、「あて所に尋ねあたりません」で返送されました。
その後、実際に住民票上の住所を訪ねて、別人が住んでいる事実を確認しました。
司法書士に現地調査も依頼するなら、別途料金が発生します。
住民票が職権消除されている場合は、自治体が確認済みなので現地調査は不要です。
関連記事を読む『住民票が職権消除されている!失踪宣告等にも関係する記載 』
2-4.生死不明者に関する調査報告書の作成
私が失踪宣告の依頼を受ける場合は、生死不明者に関する調査報告書も申立書に添付しています。
※必須書面ではない。
- 生死不明になった経緯
- 生死不明者の家族構成
- 各親族が最後に会った時期
- 生死不明者の捜索状況
- 現地調査の報告
失踪宣告の申立書とは別に書面を作成して、家庭裁判所に提出しています。
2-5.家庭裁判所に申立書を提出した後の相談
失踪宣告の申立書を家庭裁判所に提出した後も、相談は可能なので安心してください。
- 失踪宣告が認められた後の流れ
- 失踪届提出後の相続手続き
一般的に、失踪宣告するのは相続手続きを進めるためなので、相続の相談も受けています。
関連記事を読む『失踪宣告を戸籍に記載するには失踪届の提出が必要 』
3.失踪宣告を司法書士に依頼する場合の報酬
失踪宣告を司法書士に依頼する場合の報酬は、各事務所により違います。
※報酬額は自由に設定できる。
みかち司法書士事務所の報酬額は、5万5,000円(税込み)です。
ただし、失踪宣告には実費も必要なので、依頼する場合は確認しておいてください。
- 戸籍等の発行手数料(数千円)
- 収入印紙(800円)
- 予納郵券(約4,500円)
- 官報公告料(約5,000円)
現地調査も司法書士に依頼する場合は、別途料金が発生します。住民票の住所が遠方であれば、料金も高くなります。
住民票が職権消除されていれば、現地調査は不要です。
現地調査が不要なケースであれば、失踪宣告の費用は約7万円(報酬+実費)。
関連記事を読む『【失踪宣告の費用は5つ】失踪者の事情により金額が違う 』
4.失踪宣告は慣れた専門家に相談
私の考えになりますが、司法書士と弁護士どちらに依頼するかは、あまり重要ではありません。
なぜなら、生死不明の期間が7年以上であれば、どちらに依頼しても失踪宣告は認められるからです。
もちろん細かい部分に違いはありますが、重要度は低いと考えています。
重要なのは、どちらに依頼するかではなく、慣れた専門家に相談・依頼する点です。
大都市は除きますが、地方の司法書士や弁護士で、失踪宣告に慣れている人は少ないでしょう。
※失踪宣告の申立件数自体が少ない。
実際、地元の専門家に断られて、私に依頼してきた人も多いです。
失踪宣告にはデメリットもあるので、相談・依頼する際には必ず確認しておいてください。
関連記事を読む『失踪宣告にもデメリットはある|3つの欠点を確認しよう 』
5.まとめ
今回の記事では「失踪宣告と司法書士」について説明しました。
司法書士も法律により裁判所提出書類(失踪宣告の申立書)が作成でき、相談に応じることもできます。
※司法書士・弁護士以外は不可。
ただし、失踪宣告に慣れている専門家でなければ、相談・依頼を断るケースもあります。遠方でも依頼は可能なので、探しているならご連絡ください。
専門家の報酬は各事務所により違うので、高いと感じたら他の事務所も確認してみましょう。
失踪宣告と司法書士に関するQ&A
- 司法書士と弁護士ではどちらの料金が安いですか?
-
事務所により違います。弁護士より高い司法書士も存在します。
- 遠方からでも司法書士に依頼できますか?
-
問題ありません。
- 失踪宣告を司法書士に依頼しても認められますか?
-
生死不明の期間を満たしていれば、専門家の違いは関係ありません。
- 失踪宣告の依頼はありますか?
-
現在は月に1件ほどのペースで依頼を受けています。