デザイン変更に伴い、表示が一部崩れています。

失踪宣告をするのに捜索願(行方不明者届)は必要なのか?

失踪宣告に捜索願は不要
  • URLをコピーしました!

失踪宣告を検討しているが、捜索願を出していないので、失踪宣告できないのか不安に思っていませんか?

失踪宣告に捜索願が必要だと勘違いしている人も多いです。捜索願と失踪宣告に直接の繋がりはありません。

捜索願を出していなくても、失踪宣告の条件を満たしていれば、失踪宣告は認められます。

今回の記事では、失踪宣告と捜索願について説明しているので、失踪宣告の参考にしてください。

司法書士から一言捜索願は旧名称で、現在は行方不明者届という名称に変わっています。

目次

1.捜索願は失踪宣告をするのに必須ではない

結論から言えば、行方不明者の捜索願(行方不明者届)は、失踪宣告をするのに必須ではありません。

申立人と行方不明者の関係性によっては、捜索願を出していない申立人もいます。あるいは、行方不明に気付いた時点で、数十年経過している人もいます。

実際、みかち司法書士事務所で依頼を受けた失踪宣告でも、捜索願を出していないケースの方が多いです。

もちろん、警察に捜索願を出しているなら、失踪宣告の申立をする際に添付書面として使用します。

2.なぜ、失踪宣告に捜索願が必須だと勘違いするのか?

失踪宣告の申立をするのに、捜索願(行方不明者届)が必須だと勘違いしている人もいます。

2-1.失踪宣告に関係なく捜索願を出している

そもそも、捜索願を出している人は、家族を探すために捜索願を出しています。

例えば、一緒に暮らしていた家族が行方不明になれば、失踪宣告に関係なく捜索願を出しています。捜索願を出しても行方不明者が見つからず、年月の経過により失踪宣告の申立をします。

つまり、失踪宣告をするために捜索願を出したのではなく、結果的に捜索願を失踪宣告に使用しているだけです。

2-2.捜索願を出している失踪宣告しか経験がない

失踪宣告の実務を経験しているなら、捜索願が必須ではないことも知っています。

ただし、失踪宣告の相談を受けた専門家が、捜索願を出した人からしか依頼を受けたことがない可能性はあります。

捜索願を出している失踪宣告の依頼しか受けていなければ、捜索願が必須だと勘違いする専門家もいるでしょう。

3.捜索願は失踪を証する資料の一つに過ぎない

失踪宣告の申立をする際には、申立書だけでなく「失踪を証する資料」も必要になります。

以下は、失踪宣告の申し立てについて説明している、裁判所のホームページです。

(2) 標準的な申立添付書類

不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
不在者の戸籍附票
失踪を証する資料
申立人の利害関係を証する資料(親族関係であれば戸籍謄本(全部事項証明書))

出典:裁判所ウェブサイト(失踪宣告)

家庭裁判所が申立添付書類として求めているのは、失踪を証する資料です。捜索願(行方不明者届)と指定しているわけではありません。

捜索願以外の書類であっても、失踪を証する資料に該当するなら問題ありません。

あくまでも、捜索願は失踪を証する資料の一つに過ぎません。

4.捜索願以外の資料を添付して失踪宣告をする

捜索願(行方不明者届)を出していないなら、捜索願以外の資料を添付して失踪宣告をします。

具体的には、職権消除された住民票(戸籍の附票)を、失踪を証する資料として使用します。

職権消除

市区町村の職務に基づく正当な権限等により住民票を消除すること

住民票を職権消除されて以降、新しい住所が記載されていなければ、住所不定となります。

ですので、職権消除されている人は「不在者」と言えます。
※不在者とは住所(居所)を去った人。

不在者の生死が7年以上不明であれば、失踪宣告の申し立てをすることが可能です。

通常、職権消除された日から7年以上経過していれば、職権消除された住民票は失踪を証する資料に該当します。

5.失踪宣告で捜索願が役に立つのは事実

失踪宣告の申し立てをするのに、捜索願(行方不明者届)は必須ではありません。

ですが、捜索願を出していると、いつから行方不明なのかを証するのに役立ちます

なぜかというと、住民票が職権消除されていても、行方不明になった日は分かりません。他の書面(上申書)で行方不明になった日を証する必要があります。

捜索願を出していれば、いつから行方不明になったのか証しやすいです。

例えば、捜索願を平成25年7月1日に出していれば、行方不明になった日は平成25年7月1日よりも前のはずです。
※捜索願を出した日以後に生存確認できた場合は除く。

捜索願が出せるのであれば、捜索願を出しておいて損はありません。

5-1.行方不明者届受理証明書を取得しておく

行方不明者届を出しているなら、行方不明者届受理証明書を取得しておきましょう。

証明書が「失踪を証する資料」となるからです。

失踪宣告の申立書に行方不明者届を記載するだけでなく、証明書も証拠として提出してください。

5-2.行方不明者届が受理されるとは限らない

失踪宣告のために行方不明者届を出そうとする人もいます。

ですが、警察に行方不明者届を出しても、受理されるとは限りません。

行方不明になってから数十年経っているや、行方不明になった経緯も不明であれば、警察が届出の受理を拒否する可能性はあります。

行方不明者届は探すための手続きであり、失踪宣告するための手続きではありません。

6.まとめ

今回の記事では「失踪宣告と捜索願」について説明しました。

失踪宣告をするのに、捜索願(行方不明者届)は必須の書類ではありません。捜索願がなくても失踪宣告は認められます。

あくまでも、捜索願は「失踪を証する資料」の一つに過ぎません。他の資料で失踪を証することも可能です。

ただし、捜索願を出していれば、失踪宣告の役に立つのは事実なので、捜索願を出しておいて損はありません。

普段、失踪宣告に関わることは少ないので、不明な点があればお気軽にご相談ください。

失踪宣告と捜索願に関するQ&A

捜索願を出していませんが、依頼は可能ですか?

可能です。

行方不明者届受理証明書の発行を警察に断れました。

問題ありません。その旨を記載して申立てします。

目次