死亡届を役所に提出すると、亡くなった人の戸籍に死亡事項が記載されます。
死亡事項で一番重要なのは死亡日です。相続人を調べる際には、必ず死亡日を確認します。
死亡日以外の記載事項については、意味を知っておくだけでも問題ありません。
今回の記事では、死亡届と戸籍について説明しているので、相続手続きをする際の参考にしてください。
目次
1.死亡届を提出すると戸籍に死亡事項の記載
死亡届が市役所等に提出されると、亡くなった人の戸籍に死亡事項が記載されます。
以下は、戸籍の死亡事項です。
各項目について説明していきます。
1-1.戸籍の死亡日は相続で一番重要な項目
死亡事項の1つ目は、亡くなった人の死亡日です。
戸籍に記載される死亡日は、相続で一番重要と言っても過言ではありません。
なぜなら、亡くなった人の死亡日によって、相続人が決まるからです。
相続手続きをする際には、必ず戸籍の死亡日を確認してください。
1-2.同日に亡くなると死亡時分が重要
死亡事項の2つ目は、亡くなった人の死亡時分です。
一般的な相続であれば、死亡時分は重要ではありません。
ですが、家族が同じ日に亡くなっている場合は、死亡時分が重要になります。
以下は、父親と長男が同日に亡くなった場合です。
【例題1】
父親は午前10時30分、長男は午後1時30分に亡くなった。
父親が亡くなった時に長男は生存しているので、長男は父親の相続人となります。
その後、長男が亡くなっているので、長男の相続人を戸籍で確認します。
【例題2】
父親は午後1時30分、長男は午前10時30分に亡くなった。
父親が亡くなった時に長男は生存していないので、長男は父親の相続人となりません。
ただし、長男に子ども(孫)がいれば代襲相続が発生します。
家族が事故等で同日に亡くなっているなら、死亡時分を確認してください。
1-3.死亡地により届出先の役所も決まる
死亡事項の3つ目は、亡くなった人の死亡地です。
亡くなった人の死亡地は、死亡届の提出前なら確認するケースもあります。
※提出先の役所を確認する場合など。
それに対して、死亡届の提出後(戸籍記載後)は、死亡地を確認するケースが思い付かないです。
1-4.戸籍には死亡届の届出日も記載
死亡事項の4つ目は、死亡届の届出日です。
死亡届の届出義務者は、法律で決められた期間内に死亡届を届出る義務があります。
戸籍には死亡届の届出日が記載されるので、期間が経過する前に届出をしましょう。
1-5.届出人は戸籍法で定められた人だけ
死亡事項の5つ目は、死亡届の届出人です。
死亡届の届出人は法律で定められているので、誰でも出せるわけではありません。
以下は、主な届出人です。
- 同居の親族
- 同居人
- 大家・管理人
- 同居以外の親族
- 後見人等
親族が届出人の場合、誰が届出をしても「親族」としか記載されません。
関連記事を読む『死亡届の届出人は誰がなれる?届出義務者と届出資格者を確認』
1-6.本籍地以外に提出すると記載される項目
死亡事項の6つ目と7つ目は、本籍地以外の役所に提出すると記載されます。
- 【送付を受けた日】
- 【受理者】
「送付を受けた日」とは、本籍地の役所に死亡届が到着した日。
一方、「受理者」とは、死亡届を受理した非本籍地の市区町村長です。
死亡届を本籍地の役所に提出した場合、上記2つの項目は記載されません。
戸籍の死亡事項を確認すれば、死亡届を「本籍地」または「本籍地以外」のどちらに提出したか分かります。
2.死亡届の提出先により戸籍への反映期間が違う
死亡が戸籍に反映されるまでの期間は、死亡届の提出先により違います。
なぜなら、本籍地以外の役所(届出人の所在地・死亡地)に死亡届を提出しても、戸籍に死亡事項を記載するのは本籍地の役所だからです。
死亡届を受理した本籍地以外の役所は、本籍地の役所に死亡届を郵送します。
以下は、戸籍法施行規則の条文です。
本籍地の役所に死亡届を提出すると、郵送の手間が省ける分だけ早くなります。
相続手続で戸籍を使用する予定があるなら、死亡事項が記載されるまでの期間を知っておいてください。
関連記事を読む『死亡届の提出先はどの役所?3つの役所から自由に選べる』
3.死亡届以外で戸籍に死亡が記載されるケース
戸籍に死亡が記載されるケースは、死亡届以外にもあります。
- 失踪宣告確定後の失踪届
- 認定死亡による死亡の報告
それぞれ簡単に説明します。
3-1.失踪届により死亡とみなされる日が記載
失踪宣告の審判が確定したら、市役所等に失踪届を提出します。
- 失踪宣告
- 生死不明者を死亡とみなす制度のこと
以下は、失踪届提出後の戸籍です。
失踪届が提出されると、戸籍には「死亡とみなされる日」が記載されます。
失踪宣告の場合、「死亡時分」や「死亡地」は記載されません。
戸籍に死亡とみなされる日が記載されると、相続手続で使用できます。
関連記事を読む『失踪宣告を戸籍に記載するには失踪届の提出が必要』
3-2.認定死亡の報告により死亡が記載
水難や火災等により亡くなった人がいる場合、取り調べをした官公署が死亡の報告をするケースもあります。
以下は、戸籍法の条文です。
以下は、海難事故により死亡の報告がされた戸籍です。
認定死亡の場合、「届出日」や「届出人」ではなく、「報告日」と「報告者」が記載されます。
戸籍に死亡日時が記載されると、相続手続で使用できます。
4.まとめ
今回の記事では「死亡届と戸籍」について説明しました。
死亡届を提出すると、亡くなった人の戸籍に死亡事項が記載されます。
死亡事項には複数の項目がありますが、相続で一番重要なのは「死亡日」です。
死亡日以外の項目を気にするケースは少ないですが、知っておいて損はありません。
相続手続きには戸籍が必須なので、死亡事項についても確認しておきましょう。
死亡届と戸籍に関するQ&A
- Q.戸籍に死亡が記載されるまで2週間以上かかりますか?
- A.提出時期によってはかかる場合もあります。
- Q.記載されている届出人に心当たりがありません。
- A.公設所の長などは肩書が記載されず氏名だけ記載されます。