遺族基礎年金とは遺族に給付される年金の一種【まとめ記事】

遺族基礎年金
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遺族基礎年金とは、遺族に給付される年金の一種です。

亡くなった人が保険料要件を満たしていれば、「子のいる配偶者」または「子」に支給されます。

ただし、子は一定年齢以下である必要があるので、 子がいても支給されないケースはあります。

今回の記事では、遺族基礎年金について説明しているので、疑問を解消する参考にしてください。

目次

1.遺族基礎年金は遺族給付の一種

遺族基礎年金は遺族給付の一種

遺族基礎年金とは、遺族に給付される年金の一種です。

上記をまとめて「遺族年金」と説明するケースもあります。

1-1.遺族基礎年金の目的は子の養育

遺族基礎年金の目的は、遺族である子の養育です。

子の養育が目的なので、遺族に子がいなければ遺族基礎年金は支給されません。

また、子の養育が目的なので、子が成人している場合も支給されません。

詳しくは【2.遺族基礎年金の受給者は配偶者または子】で説明しています。

1-2.遺族基礎年金は国民年金法で定めている

遺族基礎年金に関することは、国民年金法で定められています。

  • 国民年金法37条:支給要件
  • 国民年金法38条:年金額
  • 国民年金法40条:失権

遺族基礎年金の支給要件や年金額も、国民年金法の条文に記載されています。

遺族基礎年金について調べるなら、条文も一度は読んでおきましょう。

2.遺族基礎年金の受給者は配偶者または子

遺族基礎年金の遺族は配偶者または子

遺族基礎年金の受給者は、亡くなった人に生計を維持されていた「子のいる配偶者」または「子」です。

子がいなければ配偶者であっても、遺族基礎年金は支給されません。

2-1.子のいる配偶者が受け取れる

遺族基礎年金の受給者は子のいる配偶者

遺族基礎年金を受け取れるのは、一定年齢以下の子がいる配偶者です。

  • 18歳到達年度の3月31日まで
  • 20歳未満で障害等級1級または2級に該当

上記どちらかに該当する子がいなければ、配偶者は遺族基礎年金を受け取れません。

まずは、子の年齢要件を満たしているか確認してください。

2-2.年齢要件を満たした子が受け取れる

遺族基礎年金の受給者は一定年齢以下の子ども

遺族基礎年金を受け取れる子は、以下の年齢要件を満たした子だけです。

  • 18歳到達年度の3月31日まで
  • 20歳未満で障害等級1級または2級に該当

上記どちらかに該当しなければ、子は遺族基礎年金を受け取れません。

例えば、子が2人で22歳と16歳であれば、16歳の子のみ遺族基礎年金の年齢要件を満たせます。

子どもが複数人いる場合は、年齢要件を満たす子どもの人数を確認してください。

3.遺族基礎年金には亡くなった人の要件もある

遺族基礎年金の受給には亡くなった人の要件もある

遺族基礎年金には遺族要件(配偶者・子)だけでなく、亡くなった人にも要件があります。

  1. 国民年金に加入中
  2. 国民年金に加入していた
    ※60歳以上65歳未満で日本に住所
  3. 老齢基礎年金の受給者
  4. 老齢基礎年金の受給資格者

上記のいずれかに該当して、かつ、保険料要件を満たす必要があります。

3-1.保険料の納付要件が支給条件となる

亡くなった人が国民年金に加入中または加入していた

亡くなった人が国民年金に加入中または加入していた場合、保険料の納付要件を満たす必要があります。

  • 納付済期間と免除期間が合算で国民年金加入期間の3分の2以上
  • 直近1年間に保険料未納期間が無い
    ※令和8年3月末日まで、死亡者が65歳未満

上記のどちらかに該当すれば、亡くなった人の要件は満たせます。

例えば、保険料の納付済期間と免除期間が加入期間の3分の2未満でも、直近1年間に保険料の未納期間が無ければ、遺族基礎年金の要件は満たせます。

亡くなった人がどちらかの条件を満たしている可能性はあるので、必ず年金事務所等で確認しておきましょう。

3-2.保険料の納付期間が支給条件となる

亡くなった人が老齢基礎年金の受給者または受給資格者

亡くなった人が老齢基礎年金の受給者または受給資格者だった場合、保険料の納付期間を満たす必要があります。

  • 保険料納付済期間
  • 保険料免除期間
  • 合算対象期間

上記の期間を合算して25年以上あれば、亡くなった人の要件は満たせます。

4.遺族基礎年金の支給額は定額

遺族基礎年金の支給額は定額です。亡くなった人の保険料納付期間は関係ありません。

遺族基礎年金は子の人数によって支給額が決まります。

4-1.配偶者の支給額は子の人数で加算

配偶者に支給される遺族基礎年金の額

配偶者に支給される遺族基礎年金は、基本額に子の加算額を加えた金額です。

子の加算額は、人数によって違います。

  • 1人目と2人目:各228,700円
  • 3人目以降:各76,200円

以下は、子が1人から4人までの支給額です。

子の人数支給額
1人1,023,700円
2人1,252,400円
3人1,328,600円
4人1,404,800円
遺族基礎年金の支給額

配偶者が遺族基礎年金を受給する場合、最低1人は子が存在します。

支給額は改定率により毎年度少し変わるので、正確な金額は年金事務所等で確認してください。

4-2.子の支給額は人数で分割した額

子に支給される遺族基礎年金は、基本額に2人目以降の加算額を加えた金額です。

  • 2人目:228,700円
  • 3人目以降:各76,200円

以下は、子が1人から4人までの支給額です。

子の人数支給額
1人795,000円
2人1,023,700円
3人1,099,900円
4人1,176,100円
遺族基礎年金の支給額

上記の金額を子の人数で分割すると、1人当たりの支給額が分かります。

例えば、子の人数が2人だった場合。

1,023,700円÷2=511,850円

1人当たりの支給額は、511,850円です。

支給額は改定率により毎年度少し変わるので、正確な金額は年金事務所等で確認してください。

5.遺族基礎年金の支給が停止される

遺族基礎年金の支給が停止されるケース

遺族基礎年金の受給権を有していても、停止要件に該当すると支給は停止されます。

  • 親子関係により支給停止
  • 併給調整により支給停止
  • 所在不明により支給停止
  • 遺族補償により支給停止

停止要件に該当している間は、遺族基礎年金は支給されません。

例えば、配偶者が受給権を有している間は、子の遺族基礎年金は支給停止されます。

ただし、遺族基礎年金の支給が停止されても、受給権は消滅しません。支給停止が解除されると、遺族基礎年金が支給されます。

遺族基礎年金の「支給停止」と「受給権消滅」は似ていますが、別の規定なので注意してください。

6.遺族基礎年金の受給権が消滅

遺族基礎年金を受給していても、消滅要件に一つでも該当すると、受給権は消滅します。

配偶者と子どもの消滅要件は少し違うので、それぞれ説明していきます。

6-1.配偶者の消滅要件には子も関係する

配偶者の消滅要件には、配偶者だけでなく子も関係します。

  • 配偶者の死亡
  • 配偶者が再婚
  • 配偶者が養子になった
    ※直系血族・直系姻族を除く
  • 配偶者と子の生計が別になった
  • 子の受給権が消滅
    ※子が複数なら全員

配偶者の死亡や再婚で、遺族基礎年金の受給権は消滅します。

また、子の受給権が消滅した場合も、配偶者の受給権は消滅します。

なぜなら、遺族基礎年金は子のいる配偶者が対象なので、子の受給権が消滅すると配偶者も受給できないからです。

6-2.子どもの消滅要件には年齢も関係

子の受給要件は、以下に該当すると消滅します。

  • 子の死亡
  • 子が結婚
  • 子が養子になった
    ※直系血族・直系姻族を除く
  • 18歳到達年度の3月31日
  • 死後離縁
    ※亡くなった人が養親の場合
  • 20歳に到達(障害等級該当者)

子の年齢だけでなく、結婚や養子縁組でも遺族基礎年金の受給権は消滅します。

子の消滅要件は複数あるので、一つ一つ確認しておいてください。

7.遺族基礎年金と他の遺族給付との関係

遺族基礎年金と他の遺族給付の関係

遺族基礎年金と他の遺族給付との関係は、組み合わせにより違います。

  • 遺族基礎年金と遺族厚生年金
  • 遺族基礎年金と寡婦年金
  • 遺族基礎年金と死亡一時金

それぞれ説明していきます。

7-1.遺族基礎年金と遺族厚生年金は併給できる

遺族基礎年金と遺族厚生年金は併給可能です。

遺族厚生年金

厚生年金保険法により遺族に支給される年金

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件を両方満たしていれば、2つの遺族年金を受給できます。

どちらかを選んで受給するわけではないので、勘違いしないように注意してください。

7-2.遺族基礎年金を受給中は寡婦年金が支給停止

遺族基礎年金と寡婦年金は併給できないので、遺族基礎年金を受給中は寡婦年金の支給が停止します。

寡婦年金

妻に年金で支給される遺族給付の一種

ただし、遺族基礎年金の受給期間が終了した後に、寡婦年金の受給期間が残っていれば、寡婦年金を受給できます。

寡婦年金の受給期間は60歳から65歳なので、期間が残っているなら忘れずに受給しましょう。

7-3.受給権者がいると死亡一時金はもらえない

遺族基礎年金を受給できる場合、死亡一時金はもらえません。

死亡一時金

遺族に一時金で支給される遺族給付の一種

以下は、国民年金法の条文です。

(支給要件)
第五十二条の二 (省略)
2 前項の規定にかかわらず、死亡一時金は、次の各号のいずれかに該当するときは、支給しない。
一 死亡した者の死亡日においてその者の死亡により遺族基礎年金を受けることができる者があるとき。ただし、当該死亡日の属する月に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したときを除く。

出典:e-Govウェブサイト(国民年金法52条の2第2項)

遺族基礎年金の受給権者だけでなく、他の遺族も死亡一時金がもらえません。

死亡一時金がもらえないケースについては、下記の記事で詳しく説明しています。

8.遺族基礎年金は請求しないと受給できない

遺族基礎年金を受給するには、請求手続きをする必要があります。

なぜなら、遺族基礎年金を受給できる遺族(配偶者・子)がいても、請求しなければ支給されないからです。

8-1.遺族基礎年金の請求に必要な書類

遺族基礎年金を請求する際に必要となる書類は、以下のとおりです。

  • 遺族基礎年金請求書
  • 基礎年金番号通知書
  • 戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票
  • 死亡者の住民票(除票)
  • 請求者の収入が確認できる書類
  • 死亡診断書のコピー
  • 受取先金融機関の通帳等

国民年金遺族基礎年金請求書は、市区町村役場や年金事務所および年金相談センターの窓口にあります。

全国の年金事務所は、以下の日本年金機構のホームページで検索できます。

日本年金機構のホームページ』に移動します。

8-2.遺族基礎年金請求書は市区町村役場に提出

遺族基礎年金請求書の提出先は、住所地の市区町村役場役場です。
※年金事務所および年金相談センターの場合あり。

各市区町村役場には年金の窓口(保険年金課等)があり、遺族基礎年金請求書の提出先になります。

戸籍謄本や住民票を取得する際に役所へ行くので、ついでに遺族基礎年金請求書も提出しましょう。

9.遺族基礎年金は相続財産に含まれない

遺族基礎年金は相続財産に含まれない

遺族基礎年金は遺族に支給されるものであり、相続財産には含まれません。

ですので、相続人であっても、受給要件を満たさなければ受け取れません。

9-1.遺言書でも遺族基礎年金の受給者は指定できない

遺族基礎年金は相続財産に含まれないので、遺言書でも受給者は指定できません。

たとえ遺言書で遺族基礎年金の受給者を指定しても、法律上の効力はありません。遺言書の記載とは関係なく、受給要件を満たした遺族だけが受給できます。
※遺言書の記載事項は決まっています。

誰も受給要件を満たしていなければ、遺族基礎年金を受け取る遺族はいません。

9-2.相続放棄しても遺族基礎年金は受給できる

遺族基礎年金は相続財産ではないので、相続放棄しても受給要件を満たしていれば受け取れます。

また、遺族基礎年金だけでなく、遺族厚生年金についても同じ理由で受給可能です。

遺族基礎年金等の遺族給付は、相続とは無関係なので、相続放棄しても諦める必要はありません。

9-3.遺族基礎年金を受給しても相続税は課税されない

遺族基礎年金は相続財産に含まれないので、受給しても相続税は課税されません。

相続税を計算する場合は、遺族基礎年金を除いた金額で計算します。

遺族基礎年金と相続税は無関係なので、相続税の計算に含めないように気を付けてください。

10.まとめ

今回の記事では「遺族基礎年金」について説明しました。

遺族基礎年金の目的は、遺族である子の養育です。亡くなった人に子がいなければ、遺族基礎年金は支給されません。

ただし、亡くなった人に子がいても、保険料要件を満たしていなければ受給できません。

遺族基礎年金の支給額は、子の人数によって決まります。保険料要件は支給額に関係ありません。

遺族基礎年金を受給中でも、消滅要件に該当すると受給権は消滅します。

遺族基礎年金について疑問があれば、年金事務所等でしっかりと確認しておきましょう。

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