寡婦年金の受給要件を満たしていても、支給が停止されている間は、寡婦年金を受給できません。
- 妻が60歳未満の間
- 遺族基礎年金を受給中
- 遺族厚生年金を受給中
- 遺族補償による6年間の停止
他の年金を受給中は寡婦年金が停止されます。
他の年金と寡婦年金の受給期間が重なっていなければ、寡婦年金も受給できます。
今回の記事では、寡婦年金の支給停止について説明しているので、停止要件を確認しておきましょう。
目次
1.寡婦年金は妻が60歳になるまで支給停止
寡婦年金の支給が停止されるケース1つ目は、妻の年齢が60歳未満の間です。
寡婦年金の支給要件を満たしていても、妻が60歳未満の間は支給が停止されます。
以下は、国民年金法の条文です。
寡婦年金の支給が開始されるのは、妻が60歳になった月の翌月からです。
例えば、妻が40歳で寡婦年金の受給権を取得しても、実際に支給されるのは20年後になります。
ただし、他の停止要件に該当する場合や、60歳前に受給権が消滅している場合は、60歳になっても寡婦年金は受給できません。
寡婦年金の停止要件だけでなく、消滅要件も確認しておきましょう。
2.遺族基礎年金を受給中は寡婦年金が支給停止
寡婦年金の支給が停止されるケース2つ目は、遺族基礎年金を受給中です。
遺族基礎年金と寡婦年金の支給要件を両方満たしても、同時には受給できません。
以下は、国民年金法の条文です。
原則として、一人一年金なので、どちらかを選んで受給します。
したがって、遺族基礎年金を受給中は、寡婦年金の支給が停止されます。
2-1.寡婦年金よりも遺族基礎年金の支給額が高い
寡婦年金と遺族基礎年金の支給額を比べると、遺族基礎年金の方が高いです。
- 寡婦年金:夫の老齢基礎年金×4分の3
※第1号被保険者期間のみで計算 - 遺族基礎年金:795,000円 +子の加算額
遺族基礎年金と寡婦年金の支給要件を両方満たす場合は、遺族基礎年金を選びます。寡婦年金の支給は停止されますが、遺族基礎年金の方が支給額は高いです。
関連記事を読む『寡婦年金の金額はいくら?【夫の老齢基礎年金×4分の3】』
2-2.遺族基礎年金の受給後でも寡婦年金は受給できる
遺族基礎年金を受給しても、寡婦年金の受給権は消滅しません。
ですので、遺族基礎年金と寡婦年金の支給期間が重なっていなければ、遺族基礎年金の受給後に寡婦年金を受給できます。
【例題1】
遺族基礎年金の受給が50歳で終了した場合。
60歳からは寡婦年金を受給できます。
【例題2】
遺族基礎年金の受給が62歳で終了した場合。
62歳からは寡婦年金を受給できます。
遺族基礎年金を受給しても、寡婦年金の受給権は消滅しないので、年齢確認を忘れないでください。
3.遺族厚生年金を受給中は寡婦年金が支給停止
寡婦年金の支給が停止されるケース3つ目は、遺族厚生年金を受給中です。
遺族厚生年金と寡婦年金の支給要件を満たしても、両方は受給できません。
以下は、厚生年金法の条文です。
原則として、一人一年金なので、どちらかを選んで受給します。
遺族厚生年金を受給するには、寡婦年金の受給を停止する必要があります。
3-1.遺族厚生年金の方が高いなら死亡一時金を選択
寡婦年金と遺族厚生年金を比べて、遺族厚生年金の方が高いなら、死亡一時金を検討してください。
なぜなら、遺族厚生年金を受給する場合でも、死亡一時金は受給できるからです。
寡婦年金よりも遺族厚生年金の方が高いなら、寡婦年金ではなく死亡一時金を選択した方が得になります。
ただし、寡婦年金と遺族厚生年金の支給額については、年金事務所等でしっかりと確認してください。
関連記事を読む『死亡一時金とは遺族に給付される年金の一種【まとめ記事】』
3-2.遺族厚生年金を停止すれば寡婦年金は受給できる
遺族厚生年金よりも寡婦年金の支給額が高い場合、寡婦年金の受給期間(60歳から65歳まで)だけ遺族厚生年金を停止します。
例えば、夫の死亡時に妻が55歳だった場合です。
55歳から60歳までは遺族厚生年金を受給して、60歳から65歳までは寡婦年金を受給。65歳からは遺族厚生年金の受給を再開します。
寡婦年金の支給額が高い場合は、遺族厚生年金の停止も検討してください。
4.労働基準法の遺族補償で寡婦年金は支給停止
寡婦年金の支給が停止されるケース4つ目は、労働基準法の遺族補償が行われる場合です。
夫が業務上死亡すると、労働基準法の規定により、遺族(妻)に遺族補償が行われます。
以下は、労働基準法の条文です。
ただし、労働基準法の規定により遺族補償が行われる場合、寡婦年金の支給は停止されます。
4-1.夫の死亡日から6年間は支給が停止される
夫が業務上死亡すると、死亡日から6年間は寡婦年金の支給が停止します。
以下は、国民年金法の条文です。
寡婦年金の支給は停止されますが、代わりに遺族補償を受け取れます。
4-2.妻の年齢によっては寡婦年金も受給できる
労働基準法の遺族補償が行われる場合でも、妻の年齢によっては寡婦年金も受給できます。
なぜなら、夫の死亡日から6年経過後に、寡婦年金の受給期間(60歳から65歳)があれば、寡婦年金は受給できるからです。
【例題1】
夫の死亡時に妻の年齢が50歳だった場合。
56歳で遺族補償の停止期間は終了しているので、60歳から寡婦年金を受給できます。
【例題2】
夫の死亡時に妻の年齢が55歳だった場合。
61歳で遺族補償の停止期間は終了するので、61歳からは寡婦年金を受給できます。
夫が業務上死亡した場合、寡婦年金の受給期間と重なっているか確認しましょう。
5.まとめ
今回の記事では「寡婦年金の支給停止」について説明しました。
遺族である妻が寡婦年金の受給権を有していても、支給が停止されている間は受給できません。
- 妻が60歳未満の間
- 遺族基礎年金を受給中
- 遺族厚生年金を受給中
- 遺族補償による6年間の停止
遺族基礎年金や遺族厚生年金に関しては、寡婦年金との選択です。寡婦年金を選んだ場合は、遺族基礎年金や遺族厚生年金の支給が停止されます。
遺族基礎年金の受給終了後や、遺族補償による6年間の停止期間終了後に、寡婦年金の受給期間が残っていれば受給可能です。
寡婦年金には受給停止や受給権消滅があるので、しっかりと確認しておいてください。