遺族基礎年金がいつまで支給されるかは、消滅要件を確認すれば分かります。
なぜなら、消滅要件に該当しない間は、遺族基礎年金が支給されるからです。
遺族基礎年金の消滅要件は、配偶者と子どもで違いがあり、一つでも該当すると受給権は消滅します。
今回の記事では、遺族基礎年金の消滅要件について説明しているので、支給期間を確認する際の参考にしてください。
目次
1.遺族基礎年金はいつからいつまで?
遺族基礎年金がいつからいつまで支給されるかは、法律により決められています。
以下は、国民年金法の条文です。
上記の条文を遺族基礎年金に当てはめると、以下のようになります。
遺族基礎年金の支給期間は、死亡日の属する月の翌月からスタートします。
例えば、令和5年7月15日に死亡した場合、死亡月の翌月である令和5年8月が支給開始月です。
そして、遺族基礎年金は受給権が消滅する月まで支給されます。
問題は、受給権がいつ消滅するかは、受給権者によって違う点です。
遺族基礎年金の受給権者は「子のいる配偶者」と「子」ですが、消滅要件に違いがあります。
関連記事を読む『【遺族基礎年金の支給要件】亡くなった人と遺族に要件がある』
2.配偶者は遺族基礎年金をいつまで受給できる
配偶者が遺族基礎年金の受給権者であっても、消滅要件に該当すると受給権は消滅します。
配偶者の消滅要件は、「配偶者自身の要件」と「子の要件」に分かれています。
2-1.配偶者自身に関する遺族基礎年金の消滅要件
配偶者自身に関する遺族基礎年金の消滅要件は、以下の3つです。
- 配偶者の死亡
- 配偶者が再婚
- 配偶者が養子になった
上記に一つでも該当すると、配偶者の受給権は消滅します。
配偶者が死亡しても受給権は相続されない
遺族基礎年金の受給権は「一身専属権」なので、配偶者が死亡しても相続されません。
ただし、子が受給権を有しているなら、子は自らの権利で遺族基礎年金を受給できます。
配偶者が再婚すると支給も終了
配偶者が再婚すると、遺族基礎年金の受給権は消滅します。
再婚を検討しているなら、遺族基礎年金の受給期間(残り期間)も確認しておいてください。
配偶者が養子になると受給権は消滅(例外あり)
原則として、配偶者が養子になると受給権は消滅します。
ただし、養子縁組の相手(養親)が、直系血族または直系姻族なら消滅しません。
例えば、配偶者が親の再婚相手と養子縁組を結んでも、遺族基礎年金の受給権は消滅しません。親の再婚相手は直系姻族に該当します。
養親が誰になるかで結論が違うので、養子縁組を結ぶ場合は気を付けてください。
2-2.配偶者は子に関する要件でも受給権が消滅
配偶者は子に関する要件でも、遺族基礎年金の受給権が消滅します。
- 配偶者と子の生計が別になった
- 子の受給権が消滅
※子が複数なら全員
遺族基礎年金は子の養育が目的なので、配偶者と子の生計が別になると受給権も消滅です。
また、子の受給権が消滅した場合も、配偶者の受給権は消滅します。
遺族基礎年金は子のいる配偶者が対象なので、前提となる子が条件を満たさなければ、配偶者も条件を満たせないからです。
子の受給権消滅については、次章で説明します。
3.子は遺族基礎年金をいつまで受給できる
子が遺族基礎年金の受給権者であっても、消滅要件に該当すると受給権は消滅します。
子の消滅要件は、「年齢要件」と「その他の要件」に分かれています。
3-1.遺族基礎年金の受給権は子の年齢で消滅
遺族基礎年金の受給権は、子が一定年齢に達すると消滅します。
- 18歳到達年度の3月31日
- 20歳に到達(障害等級該当者)
原則として、子が18歳到達年度の3月31日に達すると、遺族基礎年金の受給権は消滅です。
ただし、子が障害等級に該当する場合は、20歳に到達するまで受給権が存続します。
遺族基礎年金の支給目的は「子の養育」なので、子が成人すれば目的を達成して終了です。
3-2.年齢以外の要件でも子の受給権は消滅
子の受給権は、年齢以外でも消滅します。
- 子の死亡
- 子が結婚
- 子が養子になった
※直系血族・直系姻族を除く - 死後離縁
※亡くなった人が養親の場合
それぞれ簡単に説明していきます。
子が死亡しても受給権は相続されない
遺族基礎年金の受給権は「一身専属権」なので、子が死亡しても相続されません。
たとえ遺族基礎年金の受給期間が短くても、子が死亡すると受給権は消滅します。
子が結婚すると支給も終了
子が結婚すると遺族基礎年金の受給権は消滅します。
ただし、結婚できる年齢が男女とも18歳からなので、結婚により消滅するケースは少ないでしょう。
子が養子になると受給権は消滅(例外あり)
原則として、子が養子になると受給権は消滅します。
例外は、養親が直系血族または直系姻族の場合です。
例えば、子が祖父(祖母)と養子縁組を結んでも、遺族基礎年金の受給権は消滅しません。祖父は直系血族に該当します。
養子縁組を結ぶ場合は、受給権の消滅に注意してください。
死後離縁により親子関係は解消(養親の場合)
亡くなった人が養親であっても、子(養子)は遺族基礎年金を受給できます。
ただし、死後離縁(養子縁組の解消)をすると、親子関係が解消されるので、受給権も消滅します。
死後離縁については、下記の記事で詳しく説明しています。
関連記事を読む『死後離縁とは亡くなった後に養子縁組を解消する方法』
4.遺族基礎年金の受給権消滅と支給停止は違う
遺族基礎年金は受給権が消滅するまで支給されます。
ただし、受給権が消滅していなくても、停止要件に該当している間は支給されません。
遺族基礎年金の停止要件は複数あり、一つでも該当すると支給は停止されます。
例えば、配偶者が受給権を有しているなら、子の遺族基礎年金は支給停止です。
遺族基礎年金の受給権消滅と支給停止は要件が違うので、停止要件も確認しておいてください。
関連記事を読む『【遺族基礎年金が支給停止】4つのケースを分かりやすく説明』
5.まとめ
今回の記事では「遺族基礎年金はいつまで支給されるか」について説明しました。
遺族基礎年金の支給期間は「死亡月の翌月」から「受給権の消滅月」まで。
受給権の消滅要件は、配偶者と子で違います。
配偶者は自身の要件だけでなく、子の要件でも受給権が消滅します。
子の受給権は年齢による消滅だけでなく、その他の要件でも消滅します。
遺族基礎年金は消滅要件に該当すると、支給期間に関わらず終了です。消滅要件に該当しないように注意してください