遺言書に何を記載するかは、本人(遺言者)が自由に決めれます。
ただし、法的効力が発生するかは別問題です。
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遺言書に記載して法的効力が発生するものを、「遺言事項」といいます。
遺言事項は民法やその他の法律で定められており、全部で14あります。
- 遺産の分割
- 相続分の指定
- 遺贈
- 遺言執行者の指定
- 特別受益者の持ち戻し免除
- 遺留分侵害額の負担割合
- 相続財産の担保責任
- 認知
- 相続人の廃除
- 未成年後見人の指定
- 信託
- 保険金受取人の変更
- 一般社団法人の設立
- 祭祀主宰者の指定
今回の記事では遺言事項について説明しているので、これから遺言書を作成するなら参考にしてください。
遺言事項(1)遺産の分割
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遺言事項の第1項目は、遺産の分割です。
遺言者は遺産分割に関して、以下を記載できます。
- 遺産分割方法の指定
- 一定期間の遺産分割禁止
以下は、民法の条文です。
(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百八条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
1-1.遺産分割方法の指定
遺言者は相続財産の遺産分割方法を指定できます。
遺産分割方法は複数ありますが、一番多いのは相続財産の取得者を指定する方法です。
遺言者は、遺言者の有する下記の土地を、長男○○(生年月日)に相続させる。
所在 ○○市○区○○町○丁目
地番 ○○番○
地目 宅地
地積 120.00㎡
遺言者は、遺言者の有する下記の土地を、二男○○(生年月日)に相続させる。
所在 ○○市○区○○町○丁目
地番 ○○番○
地目 雑種地
地積 250㎡
相続財産の分割方法を指定しておけば、相続人同士での遺産分割協議は不要になります。
ただし、指定されていない相続財産があると、当該相続財産に関しては遺産分割協議が必要です。
第3者に遺産分割方法の決め方も委託できますが、一般的ではないので説明は省略します。
1-2.一定期間の遺産分割禁止
遺言者は相続の開始日(死亡日)から5年を超えない範囲で、遺産分割を禁止できます。
遺言者は、遺言者の全財産について、その分割を相続開始時から5年間禁止する。
遺産分割の禁止を記載するケースは少ないですが、以下のような場合が考えられます。
例えば、相続人の中に未成年者(14歳)がいるので、成年になるまで遺産分割を禁止するケースです。

遺産分割を禁止していない場合、未成年者の親権者が遺産分割協議に法定代理人として参加します。本人に参加させたいなら、成人するまで禁止するのも方法の一つです。
ちなみに、5年を超える範囲で禁止しても、5年に短縮されるので注意してください。
遺言事項(2)相続分の指定
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遺言事項の第2項目は、相続分の指定についてです。
遺言者は遺言書で相続人の相続分を指定できます。
以下は、民法の条文です。
(遺言による相続分の指定)
第九百二条 被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。
2-1.指定相続分は法定相続分より優先

遺言書で相続分を指定した場合、法定相続分より指定相続分が優先されます。
例えば、相続人が3人(長男・二男・三男)だった場合、法定相続分は各3分の1です。
遺言者は、以下のように相続分を指定する。
長男〇〇〇〇(生年月日) 2分の1
二男〇〇〇〇(生年月日) 4分の1
三男〇〇〇〇(生年月日) 4分の1
上記の遺言により、相続分は下記のようになります。
相続人 | 法定相続分 | 指定相続分 |
---|---|---|
長男 | 3分の1 | 2分の1 |
二男 | 3分の1 | 4分の1 |
三男 | 3分の1 | 4分の1 |
相続人は指定相続分を前提として、遺産分割協議を行います。
関連記事を読む『【法定相続分】相続割合は法律で決まっている』
2-2.相続分の指定だけでは遺産分割協議が必要
遺言書で相続分の指定だけすると、相続発生後に遺産分割協議が必要になります。
なぜなら、具体的に誰が何を取得するかは、相続分の指定だけでは分からないからです。
相続人は指定相続分を前提として、話し合いにより財産の取得者を決めます。
したがって、特定の相続人に財産を取得させたいなら、遺産分割の方法を指定した方が良いです。
遺言事項(3)遺贈
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遺言事項の第3項目は、遺贈です。
遺言者は遺言書に記載することで、財産を遺贈できます。
- 遺贈
-
遺言によって財産の一部または全部を譲ること
以下は、民法の条文です。
(包括遺贈及び特定遺贈)
第九百六十四条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
3-1.遺贈の相手は相続人以外も可能
遺贈により財産を譲る相手(受遺者)は、相続人以外の第3者も可能です。
相続人以外に遺贈する場合は、氏名・住所・生年月日で相手を特定します。
遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を、〇〇〇〇(住所、生年月日)に遺贈する。
※不動産の表示省略
「誰に」「何を」遺贈するかが重要なので、他人が読んでも分かるように書いてください。
相続人以外への遺贈については、下記の記事で詳しく説明しています。
関連記事を読む『遺贈は相続人以外に財産を残す手段|遺言書の作成が条件となる』
3-2.遺贈の種類によって書き方が違う
遺言事項である遺贈は2種類あり、書き方が違います。
包括遺贈は割合を指定
包括遺贈とは財産に対する割合を指定して遺贈する方法です。
例えば、全財産を遺贈する場合は、全部包括遺贈となります。
遺言者は、遺言者の有する全財産を、〇〇〇〇(住所、生年月日)に包括遺贈する。
一方、相続財産の一部を遺贈する場合は、一部包括遺贈となります。
遺言者は、遺言者の有する全財産の2分の1を、〇〇〇〇(住所、生年月日)に包括遺贈する。
一部包括遺贈の注意点としては、相続発生後に遺産分割協議が必要になる点です。特別な理由がなければ、特定遺贈にした方が良いでしょう。
特定遺贈は財産を指定
特定遺贈とは財産を指定して遺贈する方法です。
例えば、Aには不動産、Bには預貯金を遺贈する場合です。
遺言者は、遺言者の有する下記の土地を、A(生年月日、住所)に遺贈する。
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番
地目 雑種地
地積 ○○㎡
遺言者は、遺言者の有する下記の金融資産を、B(生年月日、住所)に遺贈する。
○○銀行〇〇支店 普通預金
口座番号 ○○○○○○○
口座名義 ○○
「誰に」「何を」遺贈するのか分かるように書いてください。曖昧な書き方をすると、相続発生後にトラブルになりやすいです。
遺贈の書き方については、下記の記事で詳しく説明しています。
関連記事を読む『【遺言書で遺贈】文例を交えて「誰に」「何を」が分かる書き方を説明』
遺言事項(4)遺言執行者の指定
遺言事項の第4項目は、遺言執行者の指定です。
遺言者は遺言書で遺言執行者を指定できます。
- 遺言執行者
-
遺言の内容を実行する人
以下は、民法の条文です。
(遺言執行者の指定)
第千六条 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
遺言執行者を指定しておくと、相続手続きをスムーズに進めることができます。
4-1.指定した方が遺贈は楽になる
遺言書に遺贈を記載するなら、遺言執行者を指定した方が良いでしょう。
なぜなら、遺言執行者がいないと、相続人全員が遺贈義務者となり、受遺者(遺贈を受ける人)と共同で手続きを行う必要があるからです。
一方、遺言執行者がいれば、受遺者と共同で手続きを行います。
遺言者は、遺言執行者として、下記の者を指定する。
住所
職業
氏名
生年月日
遺言執行者は受遺者もなれるので、受遺者を指定しておけば、単独での手続きも可能です。
関連記事を読む『遺言執行者を指定するメリットはあるのか?』
4-2.指定されても就任は辞退できる
遺言により遺言執行者に指定されても、強制ではないので辞退も可能です。
あくまでも指定しているだけなので、就任するかは本人(指定された人)が決めます。
したがって、遺言書を作成する前に、就任の意思を確認しておいてください。
※事情が変わって辞退するケースはある。
遺言執行者に指定された人が就任を辞退した場合、家庭裁判所に選任の申立ても可能です。
関連記事を読む『遺言執行者の辞退と辞任では手続きが大きく違う』
遺言事項(5)特別受益者の持ち戻し免除
遺言事項の第5項目は、特別受益の持ち戻し免除です。
遺言者は遺言書で、特別受益の持ち戻しを免除できます。
- 特別受益
-
相続人が被相続人から生前に受けた特別な利益のこと
(特別受益者の相続分)
第九百三条
3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
相続の計算をする際には、相続人同士で不公平にならないよう、特別受益を相続財産に持ち戻して計算します。
ただし、被相続人(遺言者)が法律の規定と異なった意思表示をしたときは、その意思に従います。
持ち戻し免除の意思表示の方法は決まっていないので、遺言書での意思表示も可能です。
遺言事項(6)遺留分侵害額の負担割合
遺言事項の第6項目は、遺留分侵害額の負担割合です。
遺言者は遺言書で、遺留分侵害額の負担割合を決めれます。
以下は、民法の条文です。
(受遺者又は受贈者の負担額)
第千四十七条
二 受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
遺贈等により相続人の遺留分を侵害している場合、相続人(遺留分権利者)は遺留分侵害額請求ができます。
遺留分侵害額の負担割合は民法で決まっていますが、遺言書で負担割合を変更できます。
例えば、AとBに各1,000万円を遺贈した場合です。
本来であれば、遺贈の価格が同じなので、AとBの負担割合は同じになります。
遺言者は、1,000万円をA(住所、生年月日)に遺贈する。
遺言者は、1,000万円をB(住所、生年月日)に遺贈する。
遺言者は、遺留分侵害額を、先ずBから負担すべきと定める。
上記のような遺言書を作成すると、遺留分侵害額の負担はBの遺贈から行います。Bの遺贈分で足りなければ、Aに対して請求できます。
遺言事項(7)相続財産の担保責任
遺言事項の第7項目は、相続財産の担保責任です。
遺言者は遺言書で、相続財産の担保責任について決めれます。
以下は、民法の条文です。
(遺言による担保責任の定め)
第九百十四条 前三条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。
各共同相続人は、他の相続人に対して相続分に応じて担保責任を負います。
例えば、遺産分割協議により建物を取得したが、現地に行って確認すると建物が壊れていた場合です。
建物を取得した相続人は損をしたことになるので、他の相続人は相続分に応じて負担します。
ただし、被相続人(遺言者)は、遺言書で担保責任について決めることができます。
遺言事項(8)認知
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遺言事項の第8項目は、遺言書で認知するです。
遺言者は遺言書で、非嫡出子の子どもを認知できます。
- 認知
-
法律上の親子関係が発生する
以下は、民法の条文です。
(認知の方式)
第七百八十一条 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。
8-1.子を特定する情報を記載
遺言書には子を特定する情報を記載します。
- 本籍
- 氏名
- 生年月日
遺言者は、本籍・〇〇〇〇(生年月日)を認知する。
遺言による認知であっても、子が成人している場合は本人の承諾が必要になります。
関連記事を読む『【遺言認知とは】遺言者が亡くなると効力の発生する認知のこと』
8-2.届出には遺言執行者が必要
遺言書で認知する場合、遺言執行者が認知の届出します。
遺言執行者以外は届出ができないので、注意してください。
以下は、戸籍法の条文です。
第六十四条 遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から十日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、第六十条又は第六十一条の規定に従つて、その届出をしなければならない。
遺言書で認知するなら、遺言執行者の指定も記載しておくべきです。指定がなければ、相続発生後に余計な手間が発生します。
遺言事項(9)相続人の廃除
遺言事項の第9項目は、相続人の廃除です。
遺言者は遺言書で、推定相続人の廃除を請求できます。
- 推定相続人の廃除
-
家庭裁判所の審判により相続権を剥奪すること
(遺言による推定相続人の廃除)
第八百九十三条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
9-1.廃除するかは家庭裁判所が判断
相続人の廃除は遺言事項ですが、廃除するかは家庭裁判所が判断します。
遺言書に記載した場合であっても、法律上の要件を満たす必要があります。
以下は、民法の条文です。
第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
- 被相続人に対する虐待
- 被相続人に対する重大な侮辱
- 推定相続人に著しい非行
上記に該当しなければ、相続の廃除は認められません。
遺言書に廃除を記載するなら、具体的な事情も記載しておいた方が良いです。
遺言者の二男〇〇〇〇(生年月日)は、日常的に遺言者へ暴行を加えるなど虐待を続けるので、遺言者は二男〇〇〇〇を廃除する。
遺言の効力発生時に被相続人(遺言者)はいないので、遺言執行者に前もって事情を説明しておく必要もあります。
9-2.遺留分を有する相続人が対象

相続廃除の対象となるのは、遺留分を有する相続人です。
- 配偶者
- 子ども
- 直系尊属
※子がいない場合
したがって、兄弟姉妹(代襲相続人である甥姪を含む)は除外されています。
相続人である兄弟姉妹に財産を残したくない場合は、遺言書で別の人に残せば大丈夫です。
遺言事項(10)未成年後見人の指定
遺言事項の第10項目は、未成年後見人の指定です。
遺言者(親権者)は遺言書で、未成年後見人および未成年後見監督人を指定できます。
以下は、民法の条文です。
(未成年後見人の指定)
第八百三十九条 未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
(未成年後見監督人の指定)
第八百四十八条 未成年後見人を指定することができる者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。
10-1.指定できるのは最後に親権を行う人
遺言で未成年後見人を指定できるのは、「最後に親権を行う人」です。
したがって、他に親権者がいる場合や、遺言者が親権者でない場合は、未成年後見人を指定できません。
例えば、未成年者の実父母であっても、親権者でなければ指定できないです。
※養親が親権者である場合等。
遺言書で未成年後見人を指定するなら、親権者が自分だけか確認してください。
10-2.指定により就任する人は役所に届出
遺言者は、未成年者である長男〇〇〇〇(生年月日)の未成年後見人として、以下の者を指定する。
住所
職業
氏名
生年月日
遺言書の指定により未成年後見人に就任する人は、10日以内に後見開始の届出をする必要があります。
以下は、戸籍法の条文です。
第八十一条 民法第八百三十八条第一号に規定する場合に開始する後見(以下「未成年者の後見」という。)の開始の届出は、同法第八百三十九条の規定による指定をされた未成年後見人が、その就職の日から十日以内に、これをしなければならない。
② 届書には、次に掲げる事項を記載し、未成年後見人の指定に関する遺言の謄本を添付しなければならない。
一 後見開始の原因及び年月日
二 未成年後見人が就職した年月日
届出をする際は遺言書も添付書類となりますが、自筆証書遺言(法務局保管を除く)の場合は、先に検認が必要になるので注意してください。
遺言事項(11)信託
遺言事項の第11項目は、遺言による信託の設定です。
遺言者は遺言書で、信託の設定ができます。
以下は、信託法の条文です。
(信託の方法)
第三条 信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。
一 (省略)
二 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法
非常に間違えやすいのですが、銀行の遺言信託とは別ものになります。
あくまでも、遺言書による信託の設定です。自分が亡くなった後で、財産を信託財産にする方法になります。
遺言事項(12)保険金の受取人変更
遺言事項の第12項目は、保険金の受取人変更です。
遺言者は遺言書で、保険金の受取人変更もできます。
以下は、保険法の条文です。
(遺言による保険金受取人の変更)
第四十四条 保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。
遺言者は、下記生命保険契約の死亡保険金受取人を、〇〇〇〇(生年月日)から〇〇〇〇(生年月日)に変更する。
証券番号
契約締結日
保険者
保険契約者
遺言書による保険金の受取人変更は、保険法により認められています。
ただし、遺言書で保険金の受取人変更をすることには、リスクもあるので気を付けてください。
関連記事を読む『遺言書で生命保険金の受取人を変更する書き方や危険性について』
遺言事項(13)一般社団法人の設立
遺言事項の第13項目は、一般社団法人を設立する意思表示です。
遺言者は遺言書で、一般社団法人を設立する意思表示ができます。
以下は、一般社団法人に関する法律の条文です。
(定款の作成)
第百五十二条
2 設立者は、遺言で、次条第一項各号に掲げる事項及び第百五十四条に規定する事項を定めて一般財団法人を設立する意思を表示することができる。この場合においては、遺言執行者は、当該遺言の効力が生じた後、遅滞なく、当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
一般社団法人を設立する意思表示をして、定款に記載する内容を遺言書に記載しておきます。
一般社団法人を設立するには、遺言執行者が必要になるので、忘れずに指定しておきましょう。
遺言事項(14)祭祀主宰者の指定
遺言事項の第14項目は、祭祀主宰者の指定です。
被相続人(遺言者)は、遺言書で祭祀主宰者を指定できます。
- 祭祀主宰者
-
お墓などの祭祀財産を承継する人
(祭祀に関する権利の承継)
第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
遺言者は、以下の者を、祭祀主宰者として指定する。
住所
職業
氏名
生年月日
祭祀主宰者の指定方法については、特に決まりがありません。したがって、遺言書での指定も可能です。
15.まとめ
遺言事項は法律により決まっています。
- 遺産分割
- 相続分の指定
- 遺贈
- 遺言執行者の指定
- 特別受益者の相続分
- 遺留分侵害額の負担割合
- 相続財産の担保責任
- 認知
- 相続人の廃除
- 未成年後見人の指定
- 信託
- 保険金受取人の変更
- 一般社団法人の設立
- 祭祀主宰者の指定
民法で決まっている遺言事項もありますし、民法以外の法律で決まっている遺言事項もあります。
また、法律で意思表示の方法が決まっていなければ、遺言書で意思表示することもできます。
遺言書を作成する際は、遺言事項に該当するか確認しておきましょう。