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不在者財産管理人のデメリット6選|欠点を確認しておこう!

不在者財産管理人のデメリット
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不在者財産管理人の選任を検討しているなら、デメリットも知っておいてください。

知らずに申立てをして、後になって後悔する人もいるからです。

  • 予納金の負担
  • 候補者が選ばれない
  • 手続きに時間がかかる
  • 不在者財産の保全
  • 目的達成後も継続
  • 毎月報酬が発生

上記のデメリットを理解したうえで、申立てするか決めてください。

今回の記事では、不在者財産管理人のデメリットを6つ説明しています。しっかりと確認しておいてください。

目次

1.予納金は申立人にとってデメリット

不在者財産管理人の予納金は申立人のデメリット

1つ目のデメリットは、予納金の負担です。

不在者財産管理人の選任申立時に、家庭裁判所から予納金の納付を請求されるケースがあります。

予納金は申立人の負担であり、個々の事例により違いますが、20万円から100万円ぐらいです。

1-1.納付できなければ申立ては却下

申立人の生活状況によっては、納付する金銭が用意できないケースもあります。

ですが、予納金は免除されません。不在者の財産管理に使用する金銭なので、申立人の都合とは別問題だからです。

申立人が予納金を納付できなければ、最終的に申立ては却下(取下げ)になります。

1-2.不在者に流動資産があれば0円もある

予納金は常に発生するわけではなく、不在者の流動資産(金銭等)によっては0円もあります。

なぜなら、財産管理に使用する金銭があるなら、予納金を求める必要がないからです。

【事例】

不在者 |相続人
申立人 |共同相続人
流動資産|遺産分割で取得する金銭

不在者が遺産分割で取得する金銭も流動資産なので、取得額によっては予納金が不要になります。

流動資産が少なければ、足りない分が予納金となります。

不在者の流動資産がいくらになるか、申立前に確認しておきましょう。

2.候補者が選ばれるとは限らない

不在者財産管理人の候補者が選ばれるとは限らない

2つ目のデメリットは、不在者財産管理人の候補者です。

不在者財産管理人の選任申立時に、財産管理人の候補者を立てれます。

ただし、誰を選ぶかは家庭裁判所の権限なので、候補者が選ばれるとは限りません。

2-1.家庭裁判所によって考えが違う

候補者を不在者財産管理人に選任するかは、家庭裁判所によって考えが違います。

  • 親族でも認める
  • 専門家なら認める
  • 内容によって決める

申立先が親族(専門家以外)を認めない運用であれば、親族を候補者にしても意味はないです。家庭裁判所は専門家を選任します。

候補者が選ばれなかったことを理由に、選任を取り消すことはできません。

2-2.専門家を候補者にする場合の注意点

申立人が専門家を候補者にすると、認めてくれる家庭裁判所が多いです。

ただし、注意点が2つあります。

  • 申立てを依頼した専門家は利益相反
  • 専門家は不在者のために働く

間違えやすいので、あらかじめ確認しておいてください。

申立ての依頼と候補者は別にする

不在者財産管理人の選任申立書の作成を専門家に依頼している場合、同じ専門家を候補者にしても選ばれない可能性が高いです。
※利益相反が原因と言われています。

もし知り合いの専門家を候補者にするなら、申立書の作成は別の専門家に依頼した方が良いです。

専門家は不在者のために働く

申立人の用意した候補者(専門家)が選任されても、専門家は不在者のために働きます。

したがって、申立人の要望を拒否するケースも発生します。専門家を候補者にしても、便宜を図ってくれるわけではないです。

3.目的達成までに時間がかかる

不在者財産管理人の選任までには時間がかかる

3つ目のデメリットは、目的達成までに時間がかかるです。

申立人は目的(遺産分割協議や不動産売却)があって、不在者財産管理人の選任申立てをします。

ですが、目的達成までには、思っているよりも時間がかかります。

3-1.申立後に不在者の調査期間がある

不在者財産管理人の選任申立てをしても、すぐに選任されるわけではありません。

家庭裁判所が不在の事実を調査するのに、2ヶ月から3ヶ月はかかるからです。

ちなみに、調査により不在者の所在が判明すると、申立ては却下(取下げ)となります。

3-2.権限外行為許可の申立てが別に必要

不在者財産管理人の選任だけでは、申立人の目的は達成できないでしょう。

不在者財産管理人の権限は管理行為・保存行為だけなので、処分行為(遺産分割協議・不動産売却)は権限外だからです。

権限外の行為をするには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

権限外行為許可の申立ては不在者財産管理人が行いますが、許可を得るまでにも時間はかかります。

4.不在者の財産保全がデメリットになる

不在者財産管理人の財産保全は申立人にとってデメリット

4つ目のデメリットは、不在者の財産保全です。

不在者財産管理人は財産保全が職務であり、あなたの目的(要望)と対立するケースもあります。

4-1.遺産分割協議で不在者の法定相続分を確保

あなたが申立費用を支払って不在者財産管理人を選任しても、遺産分割協議で有利になるわけではないです。

原則として、不在者財産管理人は法定相続分(不在者の持分)を確保します。

遺産分割協議では不在者の法定相続分を確保する

被相続人|父親
相続人 |長男・二男・三男(不在者)
申立人 |長男
費用負担|長男

不在者である三男が父親の面倒を見ていなくても、不在者財産管理人は法定相続分(3分の1)を確保します。

法定相続分を確保できていない遺産分割案では、家庭裁判所から権限外行為の許可を得るのは難しいです。

4-2.不動産の処分ではなく保全を優先

不在者の不動産が処分したくても、保全を優先される可能性はあります。

不在者財産管理人の職務は財産保全であり、財産を増やすのが目的ではないからです。

たとえ不動産の処分により利益が得られる場合であっても、家庭裁判所が許可する保証はありません。

5.不在者財産管理人の仕事は継続する

5つ目のデメリットは、不在者財産管理人の仕事は継続するです。

不在者財産管理人の仕事は財産管理なので、申立人の目的が達成できた後も続きます。

5-1.終了事由が発生するまで仕事は続く

不在者財産管理人の仕事は、終了事由が発生するまで続きます。

  • 不在者が見つかった
  • 財産管理人が選任された
  • 死亡が確認された
  • 失踪宣告された
  • 財産が無くなった

親族を不在者財産管理人の候補者にする場合は、遺産分割協議や不動産の売却では終了しないと伝えておいてください。

終了事由の詳しい説明は下記の記事をご覧ください。

5-2.不在者財産管理人は辞任できない

申立人の目的が達成できても、不在者財産管理人は辞任できません。
※辞任の規定がない。

どうしても辞めたければ、選任取消しを申立てる必要があります。

ただし、不在者の財産が残っていると、取消しは認められない可能性が高いので、改任を申し立てる方が良いでしょう。

6.不在者財産管理人の報酬は毎月発生

不在者財産管理人の報酬はデメリット

6つ目のデメリットは、不在者財産管理人の報酬です。

不在者財産管理人の報酬は毎月発生します。
※請求は1年ごと。

知らない人も多いのですが、選任されているだけでも報酬は請求できます。

6-1.不在者財産管理人の終了まで報酬は続く

不在者財産管理人の仕事は終了事由が発生するまで続くので、報酬も終了事由が発生するまで続きます。

1年続けば報酬も1年、3年続けば報酬も3年です。

報酬は不在者の財産から支払われるので、終了するまで財産は減り続けます。

6-2.財産が0円になると報酬が支払えない

不在者財産管理人の選任時は財産が有っても、報酬の支払いが続くと財産も減っていきます。

そして、不在者の財産が0円になると終了事由に該当します。
※管理する財産が無い。

たとえ管理する財産が残っていたとしても、報酬が支払えなければ専門家は退任するでしょう。
※継続が相当ではないを理由にする。

7.まとめ

不在者財産管理人のデメリット6選

今回の記事では「不在者財産管理人のデメリット」について説明しました。

どんな制度にもデメリットはあるので、不在者財産管理人も例外ではありません。

  • 予納金の負担
  • 候補者が選ばれない
  • 手続きに時間がかかる
  • 不在者財産の保全
  • 目的達成後も継続
  • 毎月報酬が発生

デメリットを知らずに申立てをすると、予想外のトラブルも発生します。

特に金銭面はトラブルになりやすいので、申立前にしっかりと確認しておいてください。

目次