不動産の共有者が高齢者消除されていても、死亡の効力はないので、不動産は共有状態のままです。
もし共有解消を目指すなら、失踪宣告の申立てにより、高齢者消除された人を死亡とみなして、手続きを進める方法もあります。
高齢者消除された人であっても、要件を満たしていれば失踪宣告は可能です。
今回の記事では、高齢者消除された人の失踪宣告について、詳しく説明しているので参考にしてください。
記事作成者
失踪宣告は40記事作成
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司法書士 小嶋高士
大阪司法書士会 第4921号
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1.高齢者消除された人も失踪宣告できる
高齢者消除により戸籍から消除されている人も、失踪宣告の対象となります。
- 高齢者消除に死亡の効力はない
- 高齢者消除された人は生死不明
- 失踪宣告は生死不明者が対象
高齢者消除されても死亡の効力はないので、生死不明になっている状態です。
1-1.高齢者消除されても死亡ではない
戸籍に高齢者消除が記載されていても、法律上の死亡にはなりません。
なぜなら、高齢者消除は戸籍の整理が目的であり、行方不明者の死亡を推定しているだけです。
高齢者消除された人は死亡している可能性が高いだけで、死亡が確認されたわけではありません。
死亡の効力を発生させるには、次のいずれかの方法しかないです。
- 死亡の証拠を見つける
- 失踪宣告の申立てをする
実際は死亡しているが戸籍上のミスで載っていないのであれば、死亡している証拠を提出して戸籍を訂正してもらってください。
※年数が経っているので証拠を見つけるのは難しい。
証拠が見つからない場合は、失踪宣告により死亡とみなすしかありません。
関連記事を読む『【高齢者消除と失踪宣告の違い】4つのポイントで比較説明』
1-2.失踪宣告により死亡とみなされる
失踪宣告の申立てが認められると、高齢者消除された人も死亡とみなされます。
「死亡とみなす」なので、法律上の死亡です。
失踪届(失踪宣告が終わった後に出す届)を市役所等に提出すると、戸籍に以下のような記載がされます。
死亡とみなされる日 |令和〇年〇月〇日
失踪宣告の裁判確定日|令和〇年〇月〇日
死亡とみなされる日が、高齢者消除された人の死亡日です。相続発生日にもなるので、日付は必ず確認してください。
失踪宣告の死亡日については、下記の記事で詳しく説明しています。
関連記事を読む『失踪宣告による死亡日はいつなのか|相続発生日となるので重要』
2.高齢者消除された人を失踪宣告する要件
高齢者消除されていても、常に失踪宣告できるわけではなく、2つの要件を満たす必要があります。
- 最後に確認できた日から7年経過
- 法律上の利害関係を有している
上記を満たしていなければ、失踪宣告は認められません。
2-1.最後に確認できた日から7年経過
要件の1つ目は、高齢者消除された人が最後に確認された日から7年経過しているです。
(失踪の宣告) 第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
最後に確認された日がいつになるかは、主に次の3つで判断します。
- 最後に生存を確認した日
- 住民票が職権消除された日
- 高齢者消除された日
最後に生存を確認した日が分かるなら、その日から7年経過しているか確認してください。
最後に生存を確認した日が分からない場合は、住民票が職権消除されていないか確認してください。職権消除されているなら、消除された日を最後に確認できた日にします。
何も情報が無いときは、高齢者消除された日から7年経過しているかで判断します。
通常、高齢者消除されている人であれば、生死不明の期間が7年以上経過しているので、1つ目の要件は満たしてる可能性が高いです。
関連記事を読む『失踪宣告の要件は2つ!「生死不明の期間」と「家庭裁判所への申立て」』
2-2.法律上の利害関係を有している
要件の2つ目は、高齢者消除された人の失踪宣告に法律上の利害関係を有しているです。
(失踪の宣告) 第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
長期間生死不明であっても、法律上の利害関係がなければ、失踪宣告の申立てはできません。
具体的に誰が該当するかというと、高齢者消除された人の推定相続人に該当する人です。
▼家族構成
高齢者消除|祖父
推定相続人|孫
祖父(父方)の戸籍を確認したら高齢者消除されていた。父親は亡くなっており、なぜ祖父が死亡になっていないかは不明。
祖父が失踪宣告により死亡とみなされると、孫が代襲相続により相続人になるので、孫は利害関係人に該当します。
失踪宣告の利害関係人については、下記の記事で詳しく説明しているので参考にしてください。
関連記事を読む『失踪宣告の申立人になれる「利害関係人」の範囲とは?』
3.高齢者消除された人の失踪宣告手続き
高齢者消除された人の失踪宣告手続きについて、重要な点を2つ説明していきます。
- 申立先は従来の住所で決まる
- 戸籍が失踪を証する書類になる
実際に手続きする場合は、しっかりと確認しておいてください。
3-1.従来の住所で管轄家庭裁判所は決まる
高齢者消除された人の失踪宣告は、従来の住所を管轄する家庭裁判所に提出します。
- 従来の住所
-
行方不明者が過去に住んでいた住所
第百四十八条 失踪の宣告の審判事件(別表第一の五十六の項の事項についての審判事件をいう。次項において同じ。)は、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
▼住所情報
大阪市〇〇町〇丁目〇番〇号
平成23年4月14日職権消除
過去の住所が大阪市だと分かるので、大阪家庭裁判所が失踪宣告の管轄になります。
住民票除票や戸籍附票で過去の住所が確認できるなら、該当する家庭裁判所に提出してください。
もし過去の住所が不明の場合は、東京家庭裁判所が管轄になります。
3-2.高齢者消除された戸籍が失踪を証する書類
高齢者消除された人の失踪宣告では、戸籍が「失踪を証する書類」になります。
なぜなら、市役所等は次の2点を確認したうえで、高齢者消除しているからです。
- 戸籍の附票に住所の記載なし
- 生存を証する資料が存在しない
高齢者消除されている事実が、不在者の失踪を証明しています。
後は、親族への聞き取りをまとめた書面などが、失踪を証する書類になります。
関連記事を読む『失踪を証する資料|申立ての添付書類として必要になる』
4.失踪届を提出すると高齢者消除は消除される
失踪宣告の審判が決定・確定した後に、市役所等へ失踪届を提出すると、高齢者消除の記載は訂正により消除されます。
イメージとしては、以下のような流れです。
- 戸籍に高齢者消除が記載
- 行方不明者の失踪届を提出
- 戸籍に失踪宣告が記載
- 高齢者消除は訂正により消除
ただし、失踪届の届出人が何かするわけではなく、役所側がする手続きなので気にしなくて大丈夫です。
もし高齢者消除の記載が消除されていなくても、失踪宣告による死亡日が記載されていれば、相続等の手続きは問題なくできるので安心してください。
関連記事を読む『失踪宣告が戸籍に記載されるのは失踪届を提出した後』
5.失踪宣告できない場合の代替手段
高齢者消除されている人を失踪宣告したいと考えても、利害関係人に該当しなければ、申立てはできません。
その場合、失踪宣告の代替手段は2つあります。
- 不在者財産管理人を選任する
- 所在等不明共有者持分取得の申立て
目的によって手段を変えるというイメージです。
5-1.不在者財産管理人を選任する
高齢者消除されている人が遺産分割協議の参加者に含まれている場合、不在者財産管理人の選任でも遺産分割できます。
なぜなら、不在者財産管理人を選任すれば、高齢者消除されている人の代理人として遺産分割協議に参加できるからです。
遺産分割協議を成立させるという目的だけなら、不在者財産管理人の選任でも達成できます。
ただし、次のような問題があるので注意してください。
- 予納金が必要になる可能性
- 持分割合は確保する必要がある
あくまでも、失踪宣告できない場合の代替手段として考えた方が良いでしょう。
関連記事を読む『不在者財産管理人の予納金は申立人の負担となる』
5-2.所在等不明共有者持分取得の申立て
高齢者消除されている人が不動産の共有者に含まれている場合、所在等不明共有者持分取得でも共有解消できます。
- 所在等不明共有者持分取得
-
所在等が不明な共有者の持分を時価相当額を支払って取得する制度
不動産の共有解消が目的なら、不在者財産管理人を選任するよりも、所在等不明共有者持分取得の方がお勧めです。
- 予納金は不要
- 単独の手続き
申立てをするのに予納金は不要ですし、単独の手続きなので他人との調整も少ないです。
もちろん、高齢者消除されている人の持分割合が大きいと、支払う金額も大きくなる点には注意してください。
※不動産の時価が高額の場合。
所在等不明共有者持分取得は比較的新しい制度なので、まだまだ利用件数は少ないですが、役立つケースは多いです。
関連記事を読む『共有者が所在不明でも不動産の共有持分を取得する方法は3つある』
6.高齢者消除された人の失踪宣告に関するQ&A
高齢者消除された人の失踪宣告に関して、よくある質問と回答をまとめました。
失踪宣告が却下される可能性はありますか?
可能性は低いですが、行方不明者の情報が見つかれば却下されるケースもあります。
高齢者消除されている人の失踪宣告をしない場合、罰則等はありますか?
ありません。親族に高齢者消除された人がいても、失踪宣告する義務はないです。
高齢者消除された人の年齢によって、失踪宣告に違いはありますか?
特にありません。年齢が高齢であっても手続き自体は同じです。
失踪宣告をした後に、死亡が判明した場合はどうなりますか?
自動的に失踪宣告は消除されないので、取消しの申立てが必要です。
上記以外にも、失踪宣告のQ&Aは50以上あるので参考にしてください。

6.まとめ
戸籍に高齢者消除が記載されても死亡の効力はないので、不動産の共有持分が残るなど実務上の問題が発生します。
その場合、失踪宣告の申立てをすることで、高齢者消除された人を死亡とみなし、共有解消を進めることも可能です。
失踪宣告の申立てには、次の2点を満たす必要があります。
- 生死不明が7年以上である
- 法律上の利害関係を有している
利害関係を有していない場合は、不在者財産管理人の選任や所在等不明共有者持分取得といった代替手段を検討してください。
もし高齢者消除された人の失踪宣告を検討しているなら、お気軽にお問い合わせください。



