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相続登記を放置すると5つの問題(デメリット)が発生する

相続登記を放置すると問題発生
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相続登記を放置しておくと、さまざまな問題が発生するのはご存知でしょうか。

  • 遺産分割協議の成立が難しくなる
  • 不動産を売却できない
  • 不動産の固定資産税の支払い
  • 相続登記の手続き費用が増える
  • 相続登記が義務化される

相続登記を放置している間に、相続人が亡くなると遺産分割協議が複雑になります。

相続登記が済んでいなければ、不動産を売却することもできません。

今回の記事では、相続登記の放置により発生する問題を5つ説明しているので、相続登記が済んでいなければ参考にしてください。

1.相続登記の放置により遺産分割が難しくなる

相続登記の放置による1つ目の問題点は、遺産分割協議を成立させるのが難しくなるです。

遺産分割協議は相続人全員の同意がなければ成立しません。

ですが、相続登記を放置していると、さまざまな理由により遺産分割協議を成立させるのが難しくなります。

  • 相続人が死亡
  • 相続人が認知症
  • 相続人が行方不明
  • 相続人の事情が変更

上記の4つを簡単に説明していきます。

1-1.放置している間に相続人が死亡する

相続登記を放置するほど、相続人が亡くなる可能性も高くなっていきます。

遺産分割協議をしない間に相続人が亡くなると、「相続人の相続人」が遺産分割協議の参加者になります。


例えば、亡くなった人の子ども2人(長男・次男)が相続人だったします。

長男が亡くなって相続人が3人(長男・次男・三男)なら、遺産分割協議の参加者は4人となります。

遺産分割協議の参加者変更

遺産分割協議の参加者が2人から4人に変更しています。


相続人もいつかは亡くなるので、時間が経つほど参加者も変更する可能性は高くなっていきます。

参加者の変更があると世代も違い、一度も会ったことがない人と遺産分割協議をする可能性もあります。

相続人同士の関係が近い間に、相続登記は申請しておいてください。

1-2.放置している間に相続人が認知症等になる

相続登記を放置するほど相続人が高齢になるので、認知症等により判断能力が低下する可能性が高くなります。

遺産分割協議も法律行為なので、成立には意思能力が必要になります。

意思能力
自分の行為の意味や結果を判断することができる精神能力のこと

第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

出典:e-Govウェブサイト(民法3条の2)

相続人が認知症等により意思能力を失っていれば、遺産分割協議をしても無効となります。

遺産分割協議に成年後見人が必要になる

遺産分割協議を成立させるには、判断能力の低下した相続人のために成年後見人を選任する必要があります。

成年後見人が判断能力の低下した相続人の法定代理人として、代わりに遺産分割協議に参加します。

ただし、選任手続きに数ヶ月はかかるので、すぐに不動産を売却したいと思っても難しいです。

原則として被後見人に法定相続分の確保

選任された成年後見人は、被後見人のために遺産分割協議で法定相続分を主張します。

相続財産の内容によっては、遺産分割協議の成立が難しくなります。

相続登記を放置せずに、判断能力が低下する前に行動する方が柔軟な遺産分割が可能です。

1-3.放置している間に相続人が行方不明になる

相続登記を放置している間に相続人の行方が分からなくなっても、遺産分割協議から除外することはできません。

たとえ他の相続人全員が同意しても、行方不明者の同意がなければ遺産分割協議は成立しません。

遺産分割に不在者財産管理人が必要になる

遺産分割協議を成立させるには、行方不明者のために不在者財産管理人を選任する必要があります。

不在者財産管理人が行方不明者の法定代理人として、代わりに遺産分割協議に参加します。

ただし、不在者財産管理人制度にはデメリットも多いので、簡単に選任するのは難しいでしょう。

遺産分割協議に家庭裁判所の許可が必要

選任された不在者財産管理人が遺産分割協議をするには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

そして、不在者財産管理人は行方不明者のために、遺産分割協議で法定相続分を確保する必要があります。

法定相続分を確保できていない遺産分割協議では、家庭裁判所の許可を得るのが難しいです。

また、不動産を共有にして処分するにも、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

1-4.放置している間に相続人の事情が変わる

相続登記を放置している間に、相続人それぞれの事情は変わっていきます。

  • 金銭状況の変化
  • 不動産価格の変化
  • 相続人間の感情の変化

例えば、相続が発生した当時は金銭的に問題がなくても、放置している間に金銭面が厳しくなる相続人もいます。不動産を売却して金銭に換えたくても、他の相続人と意見が合うかどうかは分かりません。

他にも、相続登記を放置している間に、相続人同士が疎遠になることもあります。話し合いができる間に相続登記を済ませておきましょう。

 

2.相続登記を放置していると不動産を売却できない

相続登記の放置による2つ目の問題点は、不動産を売却できないです。

亡くなった人の不動産を売却するには、相続登記を済ませておく必要があります。

2-1.不動産を売却するには相続登記が必要

不動産を売却するには相続登記が必要になります。

なぜなら、亡くなった人名義から購入者名義に変更できないからです。

当然ですが、購入者名義に変更できない不動産を、わざわざ購入する人はいないでしょう。たとえ不動産を高額で売却できる話があったとしても、相続登記を済ませなければ売却の話も進みません。

亡くなった人の不動産を売却するなら、相続登記を放置するのは止めておきましょう。

2-2.建物を取り壊すには全員の同意が必要

亡くなった人の建物を取り壊すのであれば、相続登記は不要でも大丈夫です。

ただし、建物を取り壊すのに相続人全員の同意が必要です。

また、建物を取り壊した後の土地を売却するには、原則どおり相続登記が必要になります。

どちらにしても、相続登記を放置するのではなく、話し合いができる間に解決しておいてください。

 

3.相続登記を放置している間の固定資産税

相続登記の放置による3つ目の問題点は、固定資産税の支払いです。

不動産登記の名義を変更しなくても、不動産の所有者は相続人に変更しています。

問題になるのは、相続人が複数人いる場合、固定資産税を誰が支払うかです。

相続人同士の話し合いでまとまれば良いですが、話し合いがまとまらなければ自治体が支払いの代表者を決めます。代表者が支払った固定資産税は、法定相続分の割合で他の相続人に請求できます。

ただし、他の相続人が固定資産税を素直に支払うかは分かりません。

固定資産税の支払いで揉めないためにも、相続登記の放置は早めに解消しておきましょう。

 

4.相続登記の放置が長引くと手続費用が増える

相続登記の放置による4つ目の問題点は、相続登記の手続費用が増えるです。

相続登記を申請するには、戸籍謄本等の添付書類を用意する必要があります。

ですが、相続登記を長期間放置していると、必要な戸籍謄本の枚数が増えたり、別の添付書面が必要になったりします。

また、長期間放置していた相続登記を司法書士に依頼すると、通常の相続登記よりも報酬が増えます。

結果的に、子どもや孫が支払う手続費用が増えるので、相続登記は放置せずに早く済ませておきましょう。

 

5.放置している間に相続登記が義務になる

相続登記の放置による5つ目の問題点は、相続登記が義務化されるです。

現在の法律では相続登記の申請は任意です。

ですが、不動産登記法の改正により、2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されます。

以下は、令和6年4月1日施行の不動産登記法です。

(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

出典:e-Govウェブサイト(改正不動産登記法76条の2)

当然ですが、現時点で相続登記が放置されている不動産も対象となります。相続登記を放置し続けると、罰則が適用されることも考えられます。

できる限り早めに相続登記を済ませておきましょう。

 

6.さいごに

相続登記を放置していると、さまざまな問題が発生します。

  • 遺産分割協議の成立が難しくなる
  • 不動産を売却できない
  • 不動産の固定資産税の支払い
  • 相続登記の手続き費用が増える
  • 相続登記が義務化される

相続登記を放置している間に、相続人の死亡や判断能力の低下等が発生すると、遺産分割協議を成立させるのが難しくなります。

相続登記を済ませなければ、不動産を売却することもできません。

また、相続登記を放置し続ければ、相続登記が複雑になり手間や費用も増えていきます。

2024年には相続登記が義務化されるので、いつかは相続登記を申請することになります。

相続登記は放置するのではなく、できる限り早めに済ませておきましょう。