相続登記をしないで滅失登記を申請することができる

亡くなった人の建物を取り壊した場合、相続登記を省略できるのはご存知でしょうか。

相続登記を申請しなくても、建物の滅失登記を申請することができます。滅失登記は相続人の1人から申請できますし、他の相続人の同意も不要です。

今回の記事では、相続登記と建物の滅失登記について説明しているので、建物を相続した場合は参考にしてください。

1.建物を取り壊したら滅失登記が必要

建物を取り壊した場合、取り壊しの日から1ヶ月以内に滅失登記を申請します。

(建物の滅失の登記の申請)
第五十七条 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(不動産登記法57条)

滅失登記は義務なので気を付けてください。

1-1.相続登記は省略することができる

亡くなった人が建物を所有していた場合、通常は相続登記をすることになります。

ですが、相続登記をする前に建物を取り壊した場合は、相続登記は省略して滅失登記を申請できます。

すでに取り壊されている建物の相続登記をする必要性が無いので、滅失登記だけで大丈夫です。相続登記の申請費用も安くないので、勘違いして申請しないよう注意しましょう。

1-2.亡くなった人が滅失登記を済ませていない

亡くなった人が建物の滅失登記を済ませていない場合があります。

相続人は滅失登記の申請義務を引き継いでいるので、相続人から滅失登記を申請します。

(一般承継人による申請)
第三十条 表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。

出典:e-Govウェブサイト(不動産登記法30条)

亡くなる前に取り壊している場合は、そもそも建物を相続していないので、相続登記は気にしなくていいです。

 

2.滅失登記は相続人の1人から申請できる

建物の滅失登記は相続人の1人から申請できます。

たとえ相続人が複数人いたとしても、他の相続人の同意等も不要となります。

すでに建物は取り壊されているので、滅失登記を申請しても他の相続人に不利益は発生しないからです。

ちなみに、相続登記を済ませている場合でも、滅失登記は共有者の1人から申請できます。

2-1.滅失登記に必要な添付書類は少ない

建物の滅失登記を自分で申請する場合は、添付書類も自分で用意する必要があります。

以下が、主な添付書類となります。

  • 滅失証明書
  • 相続を証する戸籍謄本

滅失証明書には実印で押印

建物が滅失していることを証明する書類です。

解体業者が滅失証明書を用意している場合もありますし、こちらが用意した滅失証明書に署名捺印をしてもらうこともあります。

滅失証明書には実印での押印が必要で印鑑証明書も添付します。

戸籍謄本で相続を証明する

亡くなった人の死亡を証する戸籍謄本(除籍謄本)と、相続人であることを証する戸籍謄本を添付します。

相続登記を済ませている場合は不要です。

2-2.滅失登記の依頼は土地家屋調査士

建物の滅失登記を専門家に依頼する場合は、司法書士ではなく土地家屋調査士となります。

同じ不動産登記なのですが、滅失登記は表示登記なので土地家屋調査士の担当です。

(業務)
第三条 調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
(省略)
二 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理

出典:e-Govウェブサイト(土地家屋調査士法3条2項)

表示の登記は土地家屋調査士

土地家屋調査士に依頼することは少ないので、滅失登記を依頼する際は間違えないように気を付けてください。

 

3.相続人が建物を取り壊す際の注意点

亡くなった人の建物を相続人が取り壊すなら、以下の2つに注意してください。

  • 取り壊しには相続人全員の同意が必要
  • 建物に抵当権が設定されていないか確認

3-1.取り壊しには相続人全員の同意が必要

建物の滅失登記は相続人の1人から申請できるのですが、前提となる建物の取り壊しは相続人全員の同意が必要となります。
*遺言書や遺産分割協議で取得者を決めた場合は除く。

建物が相続人全員の共有になっている場合、取り壊しには相続人(共有者)全員の同意が必要だからです。

建物の取り壊しは全員の同意

たとえ建物が老朽化していたとしても、1人で勝手に取り壊すことはできません。取り壊す前に他の相続人の同意を得ておきましょう。

3-2.建物に抵当権が設定されていないか確認

亡くなった人の建物を取り壊す前に、建物の登記簿を確認しておいてください。

もし、建物に抵当権が設定されていれば、抵当権設定者に連絡を入れた方が良いです。

抵当権が有効(負債が残っている状態)であれば、連絡せずに取り壊すと損害賠償請求される可能性もあります。

亡くなった人が不動産を所有していた場合は、必ず登記簿を確認するようにしてください。

 

4.滅失登記と固定資産税の関係

原則として、滅失登記を申請しなければ固定資産税の通知が届きます。

なぜなら、固定資産税の課税対象は、家屋課税台帳に記載されている建物だからです。

家屋課税台帳
登記されている建物を記載する台帳

建物を取り壊していても滅失登記をしなければ、登記上は建物が存在しています。滅失登記を済ませないと、建物が存在するとして固定資産税が課税されます。

ただし、市役所等が建物の取り壊しを把握している場合は、固定資産税の通知は届きません。

注意固定資産税は1月1日現在の所有者に課税されます。

 

5.土地の相続登記は省略できない

亡くなった人が建物と土地を所有していた場合、建物を取り壊せば建物の相続登記は省略できます。

ですが、土地の相続登記は省略できないので、更地にした後で売却するのなら忘れずに申請しておきましょう。

また、更地の状態で管理する場合であっても、相続登記を放置するとデメリットが多いので気を付けてください。

 

6.さいごに

亡くなった人の建物を取り壊した場合、相続登記は省略して滅失登記をすることができます。すでに建物は存在していないので、わざわざ相続登記をする意味がないからです。

滅失登記の申請は相続人の1人から申請できます。他の相続人の同意も不要です。

相続人が建物を取り壊す場合、以下の2つに注意してください。

  • 取り壊すには他の相続人の同意が必要
  • 建物に抵当権が設定されていないか確認

滅失登記を申請するのと建物を取り壊すのは別問題です。抵当権が設定されていれば、抵当権者に連絡を入れましょう。

建物の相続登記は省略できますが、土地の相続登記は省略できません。

亡くなった人の建物の取り壊す場合は、前もって相談や確認をしておいてください。

相続登記の義務化も決定しているので、後回しにするメリットがありません。

後回しにすると相続が複雑になり費用も増えるので、できる限り早めに登記をしましょう。

相続登記に関する記事も複数ありますので、悩みを解決するための参考にしてください。

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